FXのみならず、トレードの世界で頻出するのがレバレッジです。
そこで、レバレッジの仕組みやリスク、ゆったり為替が多用しているレバレッジの大きさ等を確認しましょう。
レバレッジとは
レバレッジとは、少ない自己資金で大きな額のトレードができることを意味します。
この説明でしばしば使われるのが、てこ(または、シーソー)です。下の絵は、自己資金10万円で100万円を持ち上げているイメージ図です。
要するに、元手は10万円でも100万円のトレードができますよ、ということです。
レバレッジの仕組み
自己資金は10万円で投資額は100万円という場合、差額の90万円はどこからやってくるのでしょうか。
株式投資でレバレッジを使う場合、信用取引が一般的でしょう。この場合、お金を借りて取引します。文字通りの借金です。よって、金利を支払います。
では、FXの場合はどうでしょうか。FXの場合は、金利を支払いません。なぜなら、FXの場合は借金ではないからです。
FXの仕組み
これを理解するには、そもそもFXって何だ?というところまで戻る必要があります。
FXで通貨ペアを取引する場合、実際に通貨を買っているわけではありません。
例えば、米ドル円を買う場合、実際に米ドルを買うわけではありません。その証拠に、米ドル円を買っても、口座残高に米ドルは表記されません。円のままです。
では、米ドル円を買うとは、どういうことなのか?です。
FXにおいては、「計算上、米ドル円を買ったことにする」という扱いになります。
計算上買ったというだけで、米ドルを保有しません。よって、米ドル円を買っても、銀行の外貨預金口座に送金できません。
また、計算上買うというだけですので、「口座は円だけなのに、ユーロ米ドルを買う」という離れ業(?)も可能になります。ユーロも米ドルも持っていないのに、取引できます。
そして、取引が終了すると、損益が確定します。確定した損益分だけ、口座残高が変動します。この仕組みを、差金決済と呼びます。
以上の通り、FXで取引するとき、借金するわけではありません。
レバレッジを使うという場合、「計算上、口座残高よりも大きな金額で取引したことにする」というだけです。よって、金利の支払はありません。
取引と残高
差金決済について、図を見ながら確認しましょう。
下は、為替取引と残高の変化の様子です。一番左で、米ドル円を買っています。残高は、真ん中の列です。買った後に円安になり、含み益になっても、残高に変化はありません。
決済して利益を確定した時点で、残高が増えます。
一方、含み損益を反映した残高を、評価額と呼びます(FX口座によって、呼び方が多少異なります)。一番右の列が、評価額を表しています。
レバレッジの計算方法
次に、レバレッジの計算方法を確認しましょう。簡単です。取引額を入金額で割れば、レバレッジを計算できます。
例えば、米ドル円=100.00円のとき、1万ドル買ったとします。円に換算しますと、100万円です(100円×10,000ドル)。
そして、口座残高は10万円だったとします。
この場合、レバレッジは10倍です。すなわち、投資額は、口座残高の10倍です。
実効レバレッジ
なお、レバレッジの考え方の一つに、実効レバレッジ(じっこうればれっじ)があります。
上の計算方法と、少し異なります。計算する際、口座残高でなく有効証拠金を使います。また、取引しているポジションの現在の評価額を用います。
- 口座残高:実際に口座にある金額
- 有効証拠金:口座残高に、評価損益を加えたもの
例で確認しましょう。
米ドル円=100.00円で、1万ドル買いました。投資額は100万円です。そして、口座残高は10万円です。
その後、米ドル円=110円になりました。
このとき、1万ドルの評価額は110万円(含み益が10万円)です。そして、有効証拠金は20万円です(口座残高+評価損益)。
実効レバレッジは、110万円を20で割って、5.5倍になります。
実効レバレッジでの管理は難しい
では、レバレッジでトレードを管理する場合、どちらの方法を使うと良いでしょうか。実効レバレッジを使わない方が、断然分かりやすいです。
その理由は、実効レバレッジを計算する際に、評価損益を使っているからです。
上の例では、米ドル円を買った直後の実効レバレッジは、10倍です。その後、米ドル円=110円になった時、実効レバレッジは5.5倍に下がりました。
その後、米ドル円=95円になったとしましょう。実効レバレッジは19倍です。
実効レバレッジの場合、口座残高は全く変化していないのに、相場の動きによってレバレッジがすさまじく上下動します。
これでは、口座残高が適正かどうかを判断するのが難しくなります。評価損益に関係なく数字が決まる方が、トレードをする際に便利です。
下のグラフは、レバレッジの変化です。左の列で、取引の様子を示しています。口座残高が10万円のとき、基本の計算方法だと、レバレッジは評価損益に関わらず10倍で一定です。
ところが、実効レバレッジの場合、評価損益によってレバレッジの数字が大きく変動します。資金管理が難しくなると予想できます。
レバレッジのかけ方
では、レバレッジの設定方法を確認しましょう。FXでレバレッジを使うには、どのようにすればよいでしょうか。
特に気にすることなく、取引さえすればOKです。自動的にレバレッジがかかります。
口座残高が100万円の場合、最大で2,500万円まで取引可能です。米ドル円=100.00円で2万通貨取引すれば、取引額は200万円になります。すなわち、レバレッジは2倍です。
特に意識しなくても、レバレッジが使えます。すなわち、意識していないと、いつの間にか高すぎるレバレッジをかけてしまう可能性があります。
FX口座には、レバレッジを表示する欄があります。その欄を見ながら、レバレッジをかけすぎないように注意します。
レバレッジのリスク
レバレッジはメリットであり、同時にリスクを含んでいます。
口座残高100万円で、米ドル円=100.00円のとき10万通貨を買うとします。レバレッジは10倍です。
この状況で、米ドル円=101円になって決済したとしましょう。利食い額は10万円です。口座残高100万円に対する利益率は、10%です。
もし、レバレッジを使えたなかったとしたら、1万通貨だけ買うことになります。すなわち、利益は10分の1の1万円となり、利益率は1%となります。
レバレッジが使えることにより、大きな利幅を得ることができます。
同時に、逆のことも言えます。レバレッジが使えることにより、大きな「損失」を被る可能性があります。
これが、レバレッジのリスクです。
最大レバレッジの規制
上の解説の通り、リスクもあればメリットもある、それがレバレッジです。では、レバレッジをどこまで高くすることができるでしょうか。
日本の個人向けFXの場合、最大レバレッジは25倍と決められています。この数字は、国や地域ごとに異なります。
先進国の場合、日本の25倍は特に厳しい規制というわけではありません。
いわゆるタックスヘイブン等で設立されたFX業者の場合、数百倍~1,000倍といったレバレッジで取引できる場合があるようです。
しかし、そのようなFX業者が日本で営業するのは、違法です。
日本の法律を守る姿勢がないFX業者が、顧客の財産を守るために努力するとは考えづらいです。そのような業者に入金してトラブルが発生しても、海外なので交渉は難航するでしょう。
よって、金融庁に登録された合法なFX業者で取引することが、大切です。
金融庁登録のFX業者なら、何かトラブルがあった場合、日本の法律や各種制度を利用して自分の資産を守る仕組みがあります。
ゆったり為替のレバレッジ
では、ゆったり為替は、どれくらいのレバレッジで取引しているでしょうか。
ゆったり為替は、取引する際にレバレッジを基準としていません(ゆったり為替の資金管理方法は、下のリンク先記事でご案内しています)。
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レバレッジで表現するなら、「1倍を超えることは、ほとんどない」です。すなわち、0倍台です。安全重視でトレードしています。
なお、ただ今、1万円をトレードで100万円にするプロジェクトを実行中です。FX口座に文字通り1万円だけ入金していれば、レバレッジは相当高くなるはずです。
1万円のために、わざわざそれをするのは面倒です。そこで、既に資金が入っている口座で、1万円だけ使って取引しています。すなわち、レバレッジは0倍台となります。
1万円だけ口座に入金して取引する場合、レバレッジは10倍以上になることもあるでしょう。
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