ストリーミング注文とは、取引画面に表示された為替レートで取引できる注文です。
成行注文と比較しながら、確認します。
ストリーミング注文とは
FX業者は、インターバンク市場(銀行間市場)から、為替レート情報をもらっています。その情報を元にして、顧客に為替レートを提示しています。
下の絵は、この様子を描いています。
このため、どのFX業者の為替レートも、似た数字になります。
一般的に、ある会社では米ドル円=100.00円の時に、別の会社では101.20円を提示する、ということはありません。
下は、DMMFXの発注画面です。右上を、赤枠で囲みました。注文タイプはストリーミングになっています。
この状態で、発注画面中ほどにある為替レートの数字をクリックすると、画面に書いてある数字で注文が成立します。
青い部分「108.322」をクリックすると、108.322円で売ります。赤い部分「108.325」をクリックすると、108.325円で買います。
ストリーミング注文は、特定の為替レートで注文を実行することよりも、発注したら即時に注文が成立することを目的としています。
成行注文との違い
以上の説明をしますと、成行注文との違いが分かりません。
成行注文も、今すぐ注文を成立させるために使います。上の解説の単語を「ストリーミング」から「成行注文」に変えても、違和感なく意味が通じます。
この2つの注文の違いは、スリッページを許容するかどうか?です。
注文画面に表示された数字で、注文が約定します。
FX業者のシステムが注文を受け付けた時の為替レートで、注文が約定します。
為替レートが決まる様子の図を、再掲します。1、2、3と数字があります。
データ転送は、瞬時と思えるほどのスピードです。しかし、時間の誤差があります。その差は、0.01秒かもしれません。しかし、完全な同時ではありません。
この、ほんのわずかな時間に為替レートが変わることがあります。
すると、発注したレートと実際に約定した為替レートが、わずかに異なる場合があります。これがスリッページです。
成行注文の場合、このスリッページを容認します。FXのシステム構成上、どうしようもないです。
「いや、その誤差も認めないぞ!」というのが、ストリーミング注文です。顧客の取引画面に表示された為替レートで約定させます!という方法です。
これができるのは、高速インターネットが普及したからです。よって、2000年代には、個人向けFX市場にストリーミング注文はありませんでした。
2010年代になって出現してきた、比較的新しい注文方法だと言えます。
相場の動きが激しいときは、約定しないことも
なお、このストリーミング注文ですが、相場が荒れて値動きが大きい場合には、注文が成立しないことがあります。
いわゆる約定拒否です。
顧客が、成行注文でなくてストリーミング注文を使う理由は何でしょうか。それは、不利な為替レートで取引したくないからです。
米ドル円=100.00円で買いたかったのに、100.02円で買わされた!となったら、腹が立つでしょう。
ところが、FX業者の側から見ますと、顧客が発注したときは確かに100.00円の表示だったけれど、システムが受け付けた時は100.02円であって、これはどうしようもない…となります。
この場合、注文が通らない現象(約定拒否)が起きるかもしれません。
注文が通らないリスクを緩和するには、スリッページ許容額をあらかじめ指定します。
スリッページ許容額とは、「スリッページは嫌だけれど、この範囲のスリッページなら認めてあげてもいいよ」という設定です。
先ほどのDMMFXの発注画面にも、スリッページを認める設定があります。
上の発注画面の中ほど、矢印の先の白枠に「スリッページ」という欄があります。初期設定はOFFになっています。
この設定を変えることによって、どれくらいまでならスリッページを認めてもいいよ、という数字を指定できます。
成行注文だけが使われる場合
参考までに、ストリーミング注文でなくて成行注文「だけ」が使われる例を確認しましょう。
- 強制決済注文(強制ロスカット)
- 全ポジションの一括決済
すなわち、スリッページよりもスーパー重要な事態に直面している場合です。
強制ロスカットになる事態でストリーミング注文を使うと、決済注文が約定しない可能性があります。この場合、傷口がさらに広がってしまうかもしれません。
全ポジションの一括決済も、同様です。様々な通貨ペアでポジションを持っていて、為替レートに関わらず全部一気に決済!というのは、通常の状態ではありません。
今すぐ決済しないとマズいという状態でしょう。この場合も、成行注文で執行されます。
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