ポンド円(GBP/JPY)の長期チャート推移と見通し

ポンドは、良くも悪くも市場参加者の注目を浴び続けています。

直近ではEU離脱交渉、その前は、EU離脱のための国民投票。そこで、ポンド/円の長期チャートを使って、見通しや特徴を確認しましょう。

ポンド/円の長期チャート

長期見通しを考えるとき、ゆったり為替は過去数十年分のデータで考えます。すなわち、単なる予想でなく、過去の事実に基づいた考察です。

例えば、「政策金利の上昇は、円安に結び付くだろう」といった話に対して、即座には同意しません。

過去の事実と異なることが珍しくないからです。そこで、事実はどうだったか?を調べます。

そして、もっともらしい話と過去の事実に大きな差があるときが、大チャンスです。「本当は…だよ」と言わずに黙ってトレードすれば、勝利が近づきます。

イギリスのEU離脱

この視点で考えますと、イギリスのEU離脱は過去に例がありません。

連合王国が解体されるかも?という話が時々出てきますが、連合王国が解体されたこともありません。よって、過去実績に基づいた考察ができません。

(イギリスは、イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの連合王国です。)

ただ、自然に考えるなら、イギリスの連合王国解体&各地域の独立は、ポンド安の原因になるでしょう。

その一方で、イギリスのEU離脱は、長期的に見てポンド高・ポンド安どちらの原因になるのか、正直なところ分かりません。

離脱を機に、自由度を高めて発展するかもしれませんし、米国との連携が一気に進むかもしれません。逆に、デメリットの方が大きくなるかもしれません。

というわけで、長期チャート中心に考察します。

長期チャート【40年以上】

最初に、1976年以降のチャートを確認します(DMMFXから引用)。40年以上ですから、大変な長さです。

ちなみに、現行の外国為替制度が公式に始まったのが、1976年です。

ポンド/円の長期チャート

チャートの左側にある高値は、1980年の570円です。大変な円安です。その後、一直線かと思えるスピードで円高が進み、その後、レンジに移行しています。

すなわち、ポンド/円の推移は、2つの期間に分けられます。

円高からレンジに移行したきっかけは何か?ですが、時期を見ますと、おそらくバブル経済の崩壊でしょう。

バブル経済崩壊以前、日本の経済成長は目覚ましいものがありました。すなわち、国力を反映して、円が強くなります。

バブル崩壊以降は成長が止まったため、為替レートもレンジ相場に移行したという理解です。

ポンド/円=500円時代の推移を検証しても、現代のトレードに結び付けるのは難しそうですので、バブル崩壊後の1990年代前半以降のチャートを見てみましょう。

30年チャート

下は、30年チャートです。40年チャートと比較しますと、形状が大きく異なります。

ポンド/円の長期チャート

最高値は250円くらい、そして、安値は120円くらいのレンジ相場になっています。

とはいえ、チャートの右半分を見ますと、高値が次第に安くなっている様子が分かります。すなわち、円安になりづらいということです。

さらに、下のように赤線を引きますと、ペナントになっていることが分かります。

ポンド/円の長期チャート

ペナント終了後は円高・円安どちらになるのか不明ということが多いですが、上の形を見ますと、円高圧力が強いと分かります。

すなわち、ペナント終了後は円高になるのでは?という見通しが立ちます。

なお、ペナントにつきましては、下のリンク先記事でご確認いただけます。

ペナントの見方・読み方

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「危機=円高」だった

さらに詳しく、長期チャートを観察しましょう。大きく円高になったのはどういう時か?です。

下のチャートに、数字で1~4を付けました。いずれも、大きく円高になった時期です。

ポンド/円の長期チャート

1は、バブル経済崩壊後の円高です。円高のクライマックスは、1995年の阪神・淡路大震災です。

2は、1997年~1998年に起きたアジア経済危機での円高で、3は、2008年のリーマンショックです。

リーマンショックの円高は強烈で、わずかな期間で、ポンド/円は250円近くから130円くらいまで円高になった様子が分かります。

この時に買いポジションを持っていたら…痛い損切りになったことでしょう。

そして4は、2016年のEU離脱を問う国民投票です。わずかな時間で30円(3,000銭)くらい円高になりましたので、これも強烈でした。

とはいえ、1~3の円高と比べると、小粒な感じがしてしまいます。危機が起きるときのポンドの反応は、とてもすさまじいと分かります。

特徴的なのは、日本が直接かかわっていようがいまいが、危機になったら必ず円高になってきたことです。これは、豪ドル/円などと同じ特徴です。

【関連記事】豪ドル円の見通し【長期】とトレード手法

この傾向が今後も続くなら、大きなショックがあるときには円高に要注意です。

10年チャート

さらに、10年チャートを確認しましょう。2007年以降(リーマンショック前)からの表示ですので、正確には10年よりも長期間です。

ポンド/円の長期チャート

こうして見ますと、高値は徐々に切り下がっている一方、底値は堅いことが分かります。具体的には、120円前後です。

この辺りまで円高が進むと、横ばいになったり反発したりしやすいという傾向が続いてきました。

  • 高値は切り下がる
  • 底値は堅い

この2つが続くと、為替レートの動く範囲が狭くなってきます(既に確認しましたペナントです)。

ペナントの基本的な考え方は、「最終的に、上または下方向に大きく動きやすい」です。今回もこれが当てはまる場合、どちらかと言えば円高警戒なのでは、と言えそうです。

ただし、100%円高だと見込むのは危険です。

「円高警戒を強めに持つけれども、円安に振れても対応できるように準備」くらいでいると、波乱相場がやってきても、落ち着いて対応しやすいです。

週足チャート

月足を詳細に見てきました。次に、週足チャートで確認しましょう(表示期間は、2018年~2020年の2年間)。

ポンド/円の長期チャート

縦軸の目盛りは10円(1,000銭)です。そして、長いひげがチラホラと見えます。すなわち、値動きが大変大きかったと分かります。

これは、EU離脱問題を受けた動きもありますし、新型コロナウイルス問題での波乱相場も含まれています。

全体的な動きとしては、レンジ相場ながら円高気味でもある、そんな状態です。

ということは、円高方向を警戒しながらリピート系FXで取引してきたら、大変素晴らしい成績を収められただろうと分かります。

では、リピート系FXをしましょう…という話になるかと言えば、なかなか難しいです。EU離脱問題がこじれて大幅円高になるのでは?という恐怖があるからです。

では、売り注文でリピート系FXをすれば良いのでは?となりますが、イギリス・EU間で素晴らしい合意ができるかもしれません。

この場合は、巨大な円安が実現するかもしれません(実際には、巨大な円安とはなりませんでしたが、それは後から見て言えることであって、事前に断定することはできません)。

というわけで、リピート系FXで取引する場合は、証拠金額に比べて十分に小さな数量で取引することで、安全度を高めることができます。

中長期的な見通し

イギリスのEU離脱問題について、さらにゴタゴタが出てくるかもしれません。よって、難しいですが、中長期の見通しを以下の通り考えています。

  • 130円あたりで、いったん円高が止まる可能性
  • 120円割れまでは、下落余地あり
  • 連合王国解体となれば、さらに下落する可能性
  • EU離脱の長期的影響は、分からない

いずれにしましても、ポンド/円を長期保有という選択肢について、採用は簡単ではありません。

連合王国

余談になりますが、イギリスの連合王国は、いつできたでしょうか。調べてみますと、1707年です。

江戸時代…と書いても、日本とイギリスで場所が違いすぎてピンときません。そこで、当時発行された銀貨で見てみましょう。当時の国王は、アン女王でした(下の画像)。

アン女王

ふっくらした容貌です。アンティークコイン.JPを見ますと、国王の順序と容貌が、コインの肖像とともに理解できます。長い歴史です。アン女王は、記事の下の方にあります。

さらに調べてみますと、イングランドが圧倒的な経済力・人口を使って、スコットランドやアイルランドを支配下に置いてきた様子が分かります。

古い話で恐縮ですが、2006年~2007年シーズンのチャンピオンズリーグで、セルティックの中村俊輔が、フリーキック2発でマンチェスター・ユナイテッド(マンU)を撃破しました。

セルティックファンの喜び方が尋常でなかった記憶があります。

今思うと、セルティックの本拠地グラスゴーは、スコットランドにあります。一方、マンUは、スーパースターが集合したイングランドのチームです。

スコットランドとイングランドの確執を感じます。

今回のEU離脱問題も、北アイルランドやスコットランドは離脱に反対でした。しかし、イングランドの人口が圧倒的なので、イングランドの意向で決まってしまいました。

下の地図は、EU離脱の国民投票結果です。スコットランド(イギリスの北部分)は、真っ黄色です。すなわち、EU残留派多数です。北アイルランドは少々意見が割れていますが、全体としては残留です。

そして、イングランドは離脱です。

イギリス国民投票

開票の模様は、下のリンク記事で確認いただけます。両地域では、連合王国から離脱して独立しようという話もある模様ですが、歴史的経緯も含んだ話になります。

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