トラリピのリスクと初心者向け設定

トラリピのリスクは何でしょうか。これが分かれば、対策を練ることができます。対策を練れば、負ける確率を減らし、勝つ確率を高められるでしょう。

そこで、リスクを確認した後、初心者向けの設定を考察します。

為替レート急落はトラリピ特有のリスクでない

SNS等を見ていると、為替レートが急落したとき、トラリピで損したという投稿が多くなるように見えます。

ということは、為替レートの急落がトラリピのリスクでしょうか。

おそらく、それは誤りです。

トラリピに限らず、裁量トレードでも何でも、買っているときに為替レートが急落すれば、損になります。また、急落に備えて売りのトラリピをすれば、収益を上げられます。

為替レートの急落は、トラリピ特有のリスクではありません。また、為替レートの上下動があるから、利食いするチャンスが生まれます。

では、トラリピ特有のリスクとは、何でしょうか。

トラリピ最大のリスク

トラリピ最大のリスクは、自己資金を常に相場に置いていることです。すなわち、トラリピは常に取引を継続しています。

裁量トレード(為替レートの上下動を狙って行う手動取引)では、ほぼあり得ないでしょう。裁量トレードの場合と比較します。

裁量トレード

裁量トレードの場合、取引開始のタイミングをジッと待ちます。そして、ここがチャンスだと思った時点で、取引開始です。

その後、為替レートの推移に従って、利食いまたは損切りとなります。そして再び、取引の機会をうかがいます。

トレードチャンスでない間はポジションを持ちません。ポジションを持っていなければ、為替レートがどのように動いても資金は減りません。

要するに、安全です。

トラリピ

一方、トラリピは、ひとたび取引を開始したら、ずっと発注を繰り返すのが基本です。

私たちが起きているときも寝ているときも、相場が大混乱のときも穏やかなときも、ひたすら注文を継続します。すなわち、自己資金を常にリスクにさらしています。

これが、トラリピ最大のリスクです。裁量トレードには存在しないリスクと言えるでしょう。

しかし、トラリピは24時間稼働するから価値があります。私たちが何もしなくても、勝手に利食いを繰り返してくれます。

これは、裁量取引には存在しないメリットです。

リスクの回避方法

トラリピ特有のリスクが分かりました。そこで、このリスクを回避または軽減する方法を考察します。

裁量トレードのように取引する

リスク回避方法として、裁量トレードと同じようにトラリピをするという案があります。

これからレンジなると思えば、レンジの範囲で売買を繰り返します。そして、そろそろレンジが終わると思えば、そこでトラリピを終了します。相場を読んでいますから、裁量トレードです。

しかし、この方法は、一部のトレーダーを除いて困難だと予想できます。

なぜなら、的確に相場を読む必要があるからです。的確に相場を読める場合、トラリピをわざわざする必要性は薄いです。相場を読めるという前提ですから。

トラリピの場合、広い範囲に数多くの注文をばらまき、放置するのが基本です。この方法を採用する理由は、相場を読めないからです。

よって、トラリピで裁量トレードのように取引するという案は、多くの人には難しい選択肢となります。

急落歓迎と言える範囲で発注する

そこで、考え方を変えます。急落は避けるべきものでなく、歓迎すべきものとします。

と言いますのは、急落を避けようとしても、いつ起きるか分かりません。避けるのは大変です。また、避けられずに急落に巻き込まれて損したくありません。

一方で、トラリピは為替レートの上下動で利食いを繰り返す手法です。

ならば、急落を歓迎しようという話になります。急落でロスカットにならなければ、為替レートの乱高下で多数の利食い回数を確保できます。

豪ドル/円の長期チャート

この思考を極端にしたのが、ゆったり為替のトレード設定です。下の月足チャートは、豪ドル/円です。

豪ドル円の長期チャート

1995年からの表示です。これを見ますと、円高記録は55円前後、円安記録は100円台だと分かります。

ならば、この範囲で広くリピート系注文(トラリピ等)をすればリスクを軽減できる、という話になります。

赤枠は、取引の範囲(例)です。赤枠よりも円安で買うと、その後の円高で含み損が巨大化するのが嫌です。そこで、円安部分での買いは控えます。

この設定なら、5円や10円の大暴落があっても余裕です。むしろ、たくさん約定してくれるのでうれしいです。発注範囲を広くすることにより、為替レートの急落を味方にすることができます。

大きな範囲で設定するデメリット

では、大きな範囲で取引するデメリットは何でしょうか。リスク回避のために採用していますが、リスクを完全に回避するのは不可能です。

資金効率が良くない

55円~85円くらいの範囲で発注するとします。そして、為替レートは85円前後で推移しているとします。

この場合、55円~80円くらいの発注が無駄になります。すなわち、その巨大な範囲で発注するために準備した資金は、口座内で眠り続けることになります。

資金効率が良くないです。

しかし、損してしまうことと比較したら、資金効率が多少悪くても問題ありません。損しないことが重要です。

豪ドル/円=30円

豪ドル/円=30円と書きましたが、20円でも10円でもいいです。要するに、いまだかつてない超円高が実現したら、さすがにロスカットになります。

この場合、対応は困難です。損切りになるでしょう。ただ、豪ドル/円=30円が実現するか?と問われれば、「実現しないだろう」と回答したいです。

スワップポイントがマイナスになるとき

また、超円高になると同時に、スワップポイントが逆転するのも、具合が悪いです。数多くのポジションを持ち、毎日のスワップポイントがマイナスになるからです。

これについては、将来の話なので何とも言えません。そこで、過去はどうだったか?を確認しましょう。

スワップポイントはFX業者ごとに異なります。そこで、豪州と日本の政策金利を比較しましょう。「豪州-日本>0」ならば、豪ドル/円を買うときスワップポイントは基本的にプラスです。

日本と豪州の政策金利

1995年以降のグラフですが、常に豪州の政策金利が上にあります。日本はゼロ付近に張り付いてます。豪州の政策金利は、どんどん下がっています。今後、どうなるでしょうか。

仮に、日本よりも政策金利が低くなるとしたら、豪州もマイナスになるということです。

多少の逆転はありうるかもしれませんが、大幅な逆転は想定しづらいのでは?と感じます。

初心者向け設定

以上のデメリットを把握したうえで、次の考察です。トラリピ初心者ならば、どのような取引設定が良いでしょうか。

初心者だからと言って、負けて良いはずはありません。また、難しすぎてもイケません。ほど良いところを探してみましょう。まず、トラリピをする前に確認すべきことから考察します。

相場は初心者に手加減しない

FX相場は、階級制がありません。初心者もスーパーマンも、同じ相場で戦います。そして、勝つ人は、負ける人から容赦なくお金を回収します。これが相場です。

相場で損したら、そのお金は消えてなくなるのではありません。勝った人の収益になります。

これが、スポーツ等と決定的に異なる点の一つです。

サッカーなどのように、「小学生の部」「高校生の部」といった区別がありません。すなわち、多くの場合、初心者はプロに搾取されます。

この搾取を避けながら、資産増加を目指します。トラリピを使っても、この状況は変わりません。FXは大変な世界だな、と分かります。

初心者でも、最初は自由に取引してみる

ではどうするか?ですが、最初は、トラリピで自由に取引して構わないと思います。たいていの場合、負けて終わりになるでしょう。それで構わないと思います。

負けて初めて、「トラリピをちゃんと勉強しないとダメだな」とわかります。

ゆったり為替が、初心者からFXについて教えてほしいと言われるとき、「まずは自由に取引して、負けましょう。負けてからが勝負です。」という趣旨の言葉を返します。

自分のお金を失わないと、本気になれないでしょう。

「お金を失う前にしっかり勉強しよう」という気合がある場合は、大変すばらしいです。ゆったり為替にはない能力です。この能力を持っている場合は、トラリピを勉強するところから始めましょう。

一気に大きく成功したいか、着実に進みたいか

次に考えるのは、FXで一気に成功したいか、着実に前に進みたいか?です。

一気に成功したい場合は、トラリピは不向きです。裁量トレードを勉強して、複利運用でガツガツと利食いする方が早道です。

一方、着実に前進したい場合、あるいは、FXに投入できる時間があまりないから、可能なら自動売買で放置している間に稼ぎたいという場合は、トラリピが選択肢になります。

裁量トレードとトラリピのうち、一つを選ぶ必要はありません。両方選んでもOKです。

初心者のうちは、自分の適性がどこにあるのか分からないと予想できます。よって、いろいろやってみるという選択肢が良いのでは?と思います。

初心者のトラリピ方針

では、初心者向けのトラリピの方針を考えましょう。初心者向けですから、難しいのはダメです。よって、以下の条件を考えました。

  • 馴染み深い先進国通貨ペア
  • スワップポイントが常にプラス
  • 取引範囲を設定しやすい
  • 情報を得やすい
  • 細かい値動きを読まない

順に見ていきます。

先進国通貨ペア

初心者向けで、いきなり豪ドル/NZドルなどを対象にするのは、心理的に難しいでしょう。やはり、米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円などが対象になりやすいです。

また、トルコリラ/円などの新興国通貨ペアは避けます。新興国特有のリスクがあるためです。

スワップポイント

日々のスワップポイントがマイナスになると、落ち着きません。プラスの方がいいです。

また、スワップポイントがプラスやマイナスに変わりやすいのも、初心者向けとは言えないでしょう。10年も20年もプラスのまま、という通貨ペアが取り組みやすいです。

取引範囲の設定が分かりやすい

難解なチャート形状だと、初心者向けではありません。取引設定を考えるのが難しいです。

どこまでトラップ(売買注文)を設定して、為替レートがどうなったら損切りするか、というのが分かりやすい通貨ペアが良さそうです。

情報を得やすい

何かがあっても、英語や現地語を読まないと情報を得づらいというのも避けたいです。日本語でゆっくり読んで、間違いのない判断をしたいです。

細かい値動きを読まない

初心者向けの設定なので、日足チャートなどで相場を読もうと思っても、それは難しいでしょう。そこで、月足チャートや週足チャートを使って、ざっくりと相場を眺めることにします。

以上の5つを踏まえますと、候補となる通貨ペアは、いくつかに絞られそうです。下の3つあたりでしょうか。カナダドル/円などでも良いでしょう。

  • 米ドル/円
  • 豪ドル/円
  • NZドル/円

最も馴染み深いという意味で、豪ドル円のチャートを見てみましょう。

豪ドル円のチャート

豪ドル円の月足チャートは、形状がわかりやすいです。下の通りです。

豪ドル円の長期チャート

1995年以降の表示で、最低値は55円くらいです。1995年、2000年そして2008年に超円高を記録しています。55円あたりの数字はとても遠いですが、過去の下限を判定しやすいです。

この意味で、初心者向けと言えるでしょう。

55円~85円くらいの範囲で買いのトラリピをすれば、放置で取引できそうです(円安すぎる位置で買うと、その後の円高で含み損が痛いです。そこで、円安部分の取引は見送ります)。

ただし、豪ドル円=55円の円高記録を更新する可能性はゼロではありません。この点には注意が必要です。

これが怖い場合は、豪ドル円=80円くらいを上限にしても良いでしょう。

注意事項

注意事項としては、「トラリピでうまくいっても複利運用しない」ことです。

スワップポイントや利食いで資金が増えると、その資金を使って注文数を増やしたくなります。しかし、我慢です。初心者だけでなく経験者もやりがちですが、耐えます。

と言いますのは、為替レートが不都合な方向に動いてしまう場合に、備える必要があるからです。

含み損がどうしようもなく大きくなったら、損切りします。このとき、最終的に利益になるか損になるかは、下の合計値次第です。

  • 今までの利食いとスワップポイント益の合計値
  • 損切りの損失額

獲得した資金を使って複利運用してしまうと、損切りしたときにマイナスになってしまいます。それではイケません。円安になるときは、もちろんプラスです。

  • 円安になるとき:全ての取引が利食いで終わる
  • 円高になるとき:取引を続けて利食いを繰り返す
  • スーパー円高:損切りしても、今までの利食いでプラスの成績

こうなれば、為替レートがどうなっても構いません。すなわち、初心者ですが完全勝利です。

円高が進んで損切りになってもプラスで終われるよう、トラリピで得た利益は確実に保管したいです。

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