FXにおいて、資金管理は重要な項目です。
そして、資金管理の方法はいくつかあるでしょう。代表的なのはレバレッジです。
しかし、レバレッジで管理する方法は、相場の急落時に機能しづらい面があります。その理由を考察しつつ、別の資金管理方法を考察します。
ちなみに、ゆったり為替はレバレッジで資金管理をしません。
資金管理しないトレード
最初に、資金管理しないトレードの失敗例を確認します。
資金管理しないトレードとはすなわち、自己資金に対して大きすぎるトレードをする状態です。
例えば、自己資金は全額で100万円だとします。そして、米ドル/円=100円のときに20万通貨買うとします。レバレッジ20倍です。
この場合、放置して成功すれば、自己資金は一気に数百万円を超える大成功を収めるかもしれません。その一方で、強制ロスカットになるかもしれません。
資金が増えるかどうか。それは運の要素が大きくなります。
FXに投入できる自己資金全額を賭けるので、痺れる展開になりそうです。トレードというより、もはや賭けです。
高勝率のトレードでも資金管理が必要
上のような極端な例でなくても、高勝率のトレードでも最終的に損する場合が少なくありません。
FXは難しいと言われますが、ゆったり為替がFX会社にヒアリングした範囲では、顧客の勝率は7割くらいあるそうです。しかし、最終的に損してしまいます。
なぜか?と問われれば、回答は1つしかなさそうです。「利食い額よりも損失額の方が大きいから」です。
- トレード1:1万円の利益
- トレード2:1万円の利益
- トレード3:1万円の利益
- トレード4:10万円の損失
上の例の場合、3勝1敗で勝率7割5分。しかし、7万円の損です。
利幅と損失幅について管理ができていれば、このような例を回避できるはずです。
デモトレードのキャンペーンは20倍以上で攻める
話がそれますが、FX会社が、デモトレードでキャンペーンを開催する場合があります。
上位100名に豪華景品!という具合です。
この場合、豪華景品を獲得したいなら、資金管理は無視でレバレッジ20倍以上で取引します。でないと、上位入賞はできないからです。
ただし、デモトレードと現実を混同しないよう、注意が必要です。デモトレードのハイレバ取引で成功してしまうと、現実でも可能なように思えてしまいます。
そして、現実で実行して撃沈…。自分のお金がリスクにさらされているリアルなトレードだと、デモトレードのようにはいかないです。
資金管理で確実度を上げる
以上を見ますと、ギャンブル的に痺れる展開を好むなら、資金管理無視で取引するのが選択肢になります。
しかし、この取引で利食いできるとしても、繰り返すとどこかで大損で終了しそうです。そこで、1回だけやって、2度としないというのも選択肢になります。
しかし、1度成功してしまうと、次も狙いたくなるのが人情です。こうして、大半の人が敗れ去っていく様子を予想できます。
そこで、資金管理が重要になってきます。
レバレッジによる資金管理方法
例えば、入金額が100万円だとします。そして、取引額は200万円だとします。この場合、レバレッジは2倍となります。
米ドル円=110円で1万通貨買うと、取引額は110万円です。55万円を入金していたら、レバレッジは2倍です。
レバレッジ1倍なら超安全圏、2倍でも安全、5倍だとどうかな…そんな風に管理するのが一般的だと思います。
メリット
レバレッジで管理するメリットは、その分かりやすさでしょう。
自己資金が100万円でレバレッジを3倍にするなら、トレード金額は300万円までOKという計算です。米ドル円=100円なら、3万通貨まで保有できます。
資金が少々増えても、最大3万通貨という数字を変えずにトレードして、資金がしっかり増えてきたら、最大4万通貨などど変更していけます。
デメリット
この方法のメリットは、簡単にできることです。難しいことを勉強しなくても分かります。
ところが、大きなデメリットがあります。それは、含み損を明示的に考慮していないことです。長期トレードでも短期トレードでも、同様です。
それぞれについて、デメリットを確認します。
長期トレードの場合
上の例で、米ドル/円のポジションを持ちました。そして、円高になったとしましょう。レバレッジ2倍ですから、余裕なはずです。
しかし、多くの人は、心穏やかに過ごすことはできないでしょう。焦って損失を計上する姿が見えてきます。
増える含み損の恐怖
米ドル/円の為替レートと、含み損の推移を列挙します。
米ドル/円=106円:含み損4万円
米ドル/円=104円:含み損6万円
(以下、続く…)
ブログ記事で数字を書くだけでは、この恐怖感が伝わりません。
実際にポジションを持っていて、長期保有でスワップポイントも狙っています。円安になって、大きく利食いするのが目的です。
この状況で、円高になりました。含み損です。
含み損は、急激に増えたり、ジワジワ増えたりします。FX口座を見ますと、損失が赤く表示されているのが分かります。
口座を確認するたびに、ジワジワと増える含み損。この恐怖が分かる人は多いはず。
米ドル/円の値動き
下は、米ドル/円の日足チャートです(FXプライムbyGMOから引用)。やや右肩上がりのレンジが続いた後、大きく円安になりました(上側の矢印)。
ここだ!と考えて買ったとします。レバレッジは2倍ですから、安全です。
ところが、新型コロナウイルス問題の影響を受けて、一気に円高になりました。悲惨です。
今まで、1日あたり60銭くらいの値動きで推移してきたのに、1か月も経過しない間に、10円(1,000銭)以上の円高。
世の中は騒然としています。各種イベントが中止され、学校も休校。マスコミも大騒ぎ。そして、自分の口座を確認すると、含み損が一気に増えています。
この調子で、米ドル/円=100円になったら、含み損はいくらになるでしょう?
そもそも、強制ロスカットになる為替レートを、把握していません(レバレッジで管理しているから)。いつ強制ロスカットになるか、分からない…恐怖でしかありません。
この値動きと含み損増加で、余裕でいられる人は多くないでしょう。特に、レバレッジを資金管理の基準にしている場合です。
短期トレードの場合
次に、短期トレードの場合のデメリットを確認します。
米ドル/円=100円で、1万通貨買いました(レバレッジは3倍)。このときは100銭の損切りになってしまい、損失額は1万円でした。
次も、レバレッジ3倍で1万通貨買いました。再び損切りとなり、このときは200銭の損でした(損失額は2万円)。
すなわち、同じレバレッジ3倍でも、トレードごとに損失額が大きく異なります。どこで損切りするかというのは、チャート形状によって変化します。
よって、「固定で100銭の含み損でで損切り!」とやるのは難しいです。
トレードごとに損失額が異なるというのは、資金管理の上で少々厄介です。1トレードで大きな損失を計上すると、精神的なダメージが大きくなります。
含み損を基準にする資金管理
そこで、レバレッジを使わないで、必要な証拠金と含み損を基準にする方法もあります。
ゆったり為替は、常にこの方法を使っています。例えば、当ブログで実行してきた豪ドル円の長期リピート系FXです(結果を公開中)。
【参考記事】トライオートFXのリアルトレード
レバレッジが何倍かというのは、知りません。レバレッジの数字は、必要ないからです。
必要なのは、以下の数字です。
- どこまで円高になったら、含み損はいくらになるか
- どの為替レートになったら、強制ロスカットになるか
- 強制ロスカットになったら、実現損はいくらになるか
重要なのは、「為替レートがどこまで円高になったら、含み損はいくらになるか(買いの場合)?」をあらかじめ把握しているという点です。
あらかじめ知っていると、ストレスを緩和できる
どこまで円高になったら、いくらの含み損になるか。これを知っていたとしても、含み損はストレスです。面白くありません。
しかし、取引開始前に、既に確認した数字です。よって、「残念だけれど、事前のシミュレーションが実現しちゃったねえ…」という感じで過ごせます。
焦ることはありません。どこまで円高になれば強制ロスカットになるのか、既に知っています。
強制ロスカット水準(または損切り注文)が近くになった!というところまで来たら、以下の選択肢があります。
- そのまま放置(反転に期待)
- ポジションの一部を損切り(証拠金に余裕を持たせるため)
- 証拠金を追加投入
取引する前に考える
ちなみに、これらの選択肢は、取引を開始する前に考えておきます。
含み損が膨らんで強制ロスカットが近くなってから考えるのは、良くありません。大きな損を見せつけられた状態で、適切な判断をするのは困難です。
そして、取引前にこれらの選択肢を考えていると、気づくでしょう。「この含み損が出る時点で、自分は冷静でいられるだろか」と。
耐えられないなと思う場合、それは取引数量が大きすぎるということです。そこで、取引数量を小さくします。
リピート系FXならば、1注文の取引数量を減らすというほかに、注文と注文の間の距離を広くするという案もあります(20銭ごとに買うという設定を、25銭ごとにしてみるなど)。
こうして、自分にとって不都合な為替レートが実現する場合を、事前に考察します。
その結果、悪い事態が実現してしまっても、比較的冷静に過ごせるようになります。損切りになる場合、残念ですが、「仕方ないな」と冷静に受け入れることができます。
短期トレードの資金管理方法
損失額を基準とする資金管理は、短期トレードでもメリットがあります。レバレッジでなく「想定損失額」を基準とする方法です。
想定損失額とは、「取引開始時の損切り注文が実現する場合の、損失額」です。この方法のメリットは、損失額が分かりやすいことです。
例えば、1トレードの損失額を1万円に設定したとしましょう。
この場合、10回損切りしたら10万円の損、20回なら20万円です。とても分かりやすいです。自己資金が100万円だとすると、1回損したら1%だな、と分かります。
デメリットは、トレードするたびに、取引数量を計算しなければならないことです。
想定損失額が1万円だとします。この場合、取引数量は以下の通りです。
- 損切りまで200pipsの場合:5,000通貨
- 損切りまで100pipsの場合:10,000通貨
- 損切りまで50pipsの場合:20,000通貨
損切りまでの距離が遠くなれば、取引数量が少なくなります。損切りまでの距離が近ければ、取引数量は多くなります。
上の例は、区切りが良い距離なので、分かりやすいです。損切りまでの距離が70pipsだから取引数量は…と考えるのは大変なので、エクセルで管理しています。
1回のトレードでの損失許容額
次に、1回のトレードでの損失許容額をいくらにすべきか、考えます。
例えば、自己資金が100万円だったとしましょう。レバレッジ3倍という基準を設けていたとしても、1回のトレードで10万円を失う見込みだったら、損失額が少々大きすぎるのでは?と感じます。
裁量トレードでは、連敗がつきものです。たまたま不調で連敗してしまい、資金が半分になると、精神的なダメージが大きいです。
100万円が50万円に減る場合、資金は2分の1になります。そして、残った50万円から100万円に戻そうとする場合、資金を2倍にしなければなりません。
すなわち、「減らすのは簡単、戻すのは大変」です。
よって、自己資金の大きさや、損失に対する精神的な耐久能力によって、1回の損失額の大きさを決めることになります。
1トレードの損失許容額の例
例えば、自己資金が100万円だとしましょう。そして、損失に対する精神的な耐久能力は高くないとします。
この場合、1回のトレードでの損失許容額を5,000円~1万円くらいに設定するのが、適切な資金管理になるかもしれません。
損失許容額が小さすぎると、トレードを繰り返して利食いしても、資金がなかなか増えません。その一方で、損失に対する許容額が小さいのですから、こんな感じになりそうです。
逆に、1万円くらい、痛くもかゆくもないという場合、1回のトレードでの損失許容額は1万円~数万円くらいになるでしょう。
レバレッジを基準にすると、少々難しいか
1トレードの許容損失額を設定したい場合、レバレッジを基準としたトレードだと、資金管理が難しくなります。
レバレッジを一定にしてルールを守っても、損失額は毎回異なるからです。損失許容額を超える場合があるかもしれません。
よって、ゆったり為替は、損失額を基準とした資金管理をしています。
ただし、レバレッジを基準とした管理はダメだというわけではありません。また、今回ご案内した方法でない、別の方法もあるでしょう。
自分はどちらの方がやりやすいか、というのが基準になります。
資金管理ツールをプレゼント中
なお、ただ今、みんなのシストレ口座を開設して取引しますと、ゆったり為替特製の証拠金計算ツール(エクセル)とレポートを差し上げています。
レポートは、いかにしてリピート系FXで成功するか?に焦点を当てていますが、裁量トレードに応用可能です。
そして、この資金管理ツールは、レバレッジでなく損失見込み額(含み損)を基準にしています。
指揮管理ツールの使い方イメージにつきましては、下の記事でご確認ください。
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