長期トレードのやり方

投資の基本は、「安値で買って高値で売る」です。FXの場合は、「高値で売って安値で買い戻す」も基本形とみなせるでしょう。

そこで、長期トレードのやり方を考察します。

長期トレードとは

長期トレードという場合、使う人によって期間が異なります。スキャルピングが好きな人の場合、ポジション保有時間が5分と言えば長期と言えるかもしれません。

一方、月足でトレードする場合、ポジション保有期間が1か月だと、短期の部類に入るでしょう。

ここで考察する長期トレードは、ポジション保有期間がおおむね3ヵ月~1年以上(数年以上もあり)というイメージです。

保有し続けて、利食いを狙います。また、損切りになることもあるでしょう。結果がどうなるか。それは分かりません。

取引を開始した時点で、私たちができることは、ほとんどありません。後は、自分で決めたトレードを自分で邪魔しないように、じっと見守るだけです。

この「見守る」という行動ができるかどうか。これが勝敗を分ける要素の一つです。

ただし、この「見守りの技術」は、月足や週足に限ったことではありません。日足、時間足、15分足、どれを取って見ても必要な技術です。

これができないと、利食いできても利幅はとても小さくなります。すなわち、「利小損大」への道を突き進む可能性があります。

特徴

次に、長期トレードの特徴を考察します。

インジケーター不要

月足チャートを使う場合は特に、インジケーター不要というのが特徴です。

というのは、インジケーターとは過去の為替レートを加工することでトレード機会を探すものです。月足だと、1つの足ができるのに1か月もかかります。

インジケーターのシグナルを待っていると、その間に為替レートが遠くに進んでしまうことが珍しくありません。

すなわち、取引できません。

デイトレードだったら、あるトレードチャンスを逃しても、すぐに次の機会を待つという切り替えが可能でしょう。月足の場合は、なかなかそうはいかないかもしれません。

待ち時間が長いからです。

そこで、インジケーターを使わないというトレードが多くなります。

ただし、週足の場合は、インジケーターを使っても十分トレードできます。ボリンジャーバンドなどを使って、週足でトレードしても面白いかもしれません。

どのFX口座でもOK

特定のFX口座の機能を使いたいと思えば、そのFX口座で取引する必要があります。

しかし、長期トレードの場合は、どのFX会社を使ってもOKです。特別な機能が必要というわけではないからです。

成行注文、指値注文、逆指値注文、OCO注文。これだけで十分です。これ以上は不要ともいえるので、どのFX口座を使っても問題ありません。

スプレッドも考えなくてOK

FX会社の間では、スプレッド競争が盛んです。米ドル/円に至っては、0.2銭が主流となっています。インターバンク市場のスプレッドよりも狭いという勢いです。

しかし、長期トレードについては、スプレッドは無視してもOKです。

というのは、利食いする場合、500pips、1,000pipsという数字だからです。利幅が1,000pipsということは、1万通貨の取引でも利幅は10万円になります。

長期トレードは、資金力が不十分で大きな数量で取引できない場合でも、比較的大きな利幅を見込めるメリットがあります。

これだけ損益幅が大きいと、スプレッド競争で0.1pipsの差を比較するのは意味がありません。誤差にもならないという感じです。

そこで、長期トレードの視点でFX口座を選ぶとき、重要なのは以下の通りになります。

  • 取引システムが使いやすい
  • スワップポイントが顧客不利でない

取引システムについては、自分で使ってみる必要があります。使いやすいかどうかというのは、自分の感性だからです。

メリット

このような長期間のトレードになりますと、大きなメリットがあります。それは、「取引開始が数日~数週間程度遅れても、問題ないことが多い」ということです。

一般的に、忙しかったり出張があったりして、何日もチャートを見られないという場合は少なくないでしょう。

しかし、長期トレードの場合、数日程度の遅れは問題にならないことが多いです。1か月くらい取引が遅れてもOKな場合も、少なくありません。

よって、忙しい人に適したトレードだと言えそうです。

デメリット

上の点はメリットですが、それが同時にデメリットになる場合もあります。それは、「取引頻度が高くない」ということです。

デイトレードの場合、1日のうちに何度も取引可能かもしれません。しかし、長期トレードの場合はそうはいきません。そこで、取引対象とする通貨ペア数を多くする必要があります。

米ドル/円だけで取引するのも良いですが、それだけだと、取引機会は数年に1回くらいしかないかもしれません。

そこで、もっと取引機会が欲しい場合は、長期トレードに加えて、短期でもトレードをすることになります。

長期または短期のいずれかに絞る必要はありません。

長期トレードに必要なもの

安値で買って高値で売る場合、最初に安値で買って、次に高値で売ることを目指します。この手法で成功するために必要なものを、確認します。

長期チャート

長期トレードで必要なのは、長期チャートです。と言いますのは、歴史的な安値をチャートで確認するためです。

可能なら、バブル崩壊以降くらい(1990年代前半以降)を表示できるのが望ましいです。

と言いますのは、円を含む主要通貨ペアは、バブル崩壊前後から値動きが大きく変わったからです。下は、米ドル/円の長期チャートです(DMMFXから引用)。

1976年以降を表示しています。

米ドル/円の長期チャート

米ドル/円に限らず、豪ドル/円なども似たような動きになっています。下は、上のチャートに矢印等を追加したものです。

バブル崩壊くらいまで、大きく円高になったことが分かります(左側矢印)。その後は、長期レンジになっています(赤い四角)。

米ドル/円の長期チャート

ということは、安値で買う場合、赤い枠部分のチャートを準備したいです。

2000年くらい以降の表示でも、長期トレードは可能です。しかし、1990年代に重要な値動きがある場合、それを見落としてしまう可能性がありますので、要注意です。

スワップポイント

チャートと並んで重要なのが、スワップポイントです。

と言いますのは、長期トレードで年単位でポジションを保有している間、スワップポイントがプラスかマイナスかというのは、とても大きいからです。

とはいえ、多くの場合、円を売って外貨を買えば、スワップポイントはプラスになることが一般的です。

2020年現在、円を含む主要通貨ペアのスワップポイントは、ほぼゼロ近辺で推移しています。よって、スワップポイントの重要性は以前ほどではなくなっています。

継続的にマイナスではないことが、とても大切です。

なお、スワップポイントは、FX会社ごとに数字が大きく異なります。過去の推移を把握することも、容易ではありません。

そこで便宜的に、政策金利で考えることもできます。

例えば、「米国と日本の政策金利を比較して、米国の方が高ければ、米ドル/円を買う時のスワップポイントはプラスだ」という具合です。

資金と精神力

また、資金と精神力も必要です。

資金

資金はどれくらい必要か?ですが、多額でなくても構いません。

例えば、米ドル/円を、歴史的安値あたりで買えたとします。すなわち、米ドル/円=80円くらいです。

そして、過去最安値は75円くらいです。75円よりも円高にならないと想定するなら、1,000通貨買う時に必要な証拠金は、1万円に満たない額です。

もちろん、大きな資金を投入することも可能です。

少ない資金で長期トレードできる理由ですが、歴史的安値を狙って買おうとしているからです。

高値で買う場合、そこから円高になる場合に備えて、十分な資金を準備しなければなりません。この違いは大きいです。

精神力

精神力と書くと大げさかもしれませんが、要するに待つことです。長期トレードですから、ポジションを年単位で保有してもおかしくありません。

その間に、ちょっとした含み益で利食いせず、最終的に大きな利食いをするために、待ちます。

とはいえ、ポジションを持ち続けるのは、意外に大変です。下の米ドル/円の月足チャートで、その様子をシミュレーションします。

米ドル/円の長期チャート

赤数字1部分で、期待通り買ったとします。2012年1月前後です。その後、2014年くらいになると、レンジ相場になりました(赤数字2部分)。

上のチャートは月足ですから、赤数字2の期間は1年以上になります。

その間、上昇もせず下落もせず、時間だけが過ぎていきます。最終的には円安になりましたが、円高に反落する可能性もあります。

この状態でポジションを持ち続けるのは、大変です。

この場合は、ポジションの一部だけ利食いする案があります。この利食いで、気持ちを楽にします。

その後円安になったら、残りのポジションで利食いします。円高に反転したら、既に一部を利食いしていますので、気持ちを穏やかにできます。

主要通貨ペアの値動き

では、以上の前置きを頭の片隅に置きつつ、主要な通貨ペアを概観しましょう。

取引する際には、シミュレーションも大切です。

1993年以降の米ドル/円

下のチャートは、1993年以降のチャートです。今回は「安値で買って高値で売る」を考えていますので、安値に注目しましょう。

米ドル/円の長期チャート

  • 安値1:1995年の米ドル/円=79円
  • 安値2:2011年の米ドル/円=75円

米ドル/円の円高記録は、70円台半ばから後半だと分かります。この2つの年は、特徴的な出来事がありました。

1995年:阪神淡路大震災

震災後、当時の円高記録79円を記録しました。

2011年:東日本大震災

震災後、円高新記録の75円を記録しました。

今後どうなるか不明ながら、「円高時に大災害がある場合、円高記録を更新する可能性がある」を想定して行動するのが候補になります。

トレード手法

では、再び、米ドル/円の円高記録が視野に入ってきたとしましょう。安値で買う長期トレードを考えます。

歴史的安値になったから買う、という方法でも構いませんが、それでは焦る場面があるかもしれません。

と言いますのは、円高記録を更新する可能性があるからです。

1995年3月、当時の円高記録米ドル/円=79円を記録しました。そして2011年頃、その記録が近づいてきた時点で大きく買ったとします。

実際には、79円を超えて75円になりました。

79円までしか想定していなかった場合、年単位で含み損のプレッシャーを感じることになります。これは厳しいです。

かと思いきや、当時、財務省・日銀による円売りドル買いの市場介入が実行されていました。こちらは円安要素です。

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円高要素と円安要素が入り混じり、精神的にストレスを抱えることになります。よって、歴史的円高だから買うという場合、一気に買うのではなく、少しずつ買うのが案になります。

超円高の日本を想像する

なお、どこまで円高になりうるか?ですが、シミュレーションしてみるという案もあります。

リーマンショック(2008年)から2012年前半までの超円高時代、こんなことが良く噂されていました。

「これ以上円高になると、日本から製造業がなくなる」です。

日本で製造して輸出する場合、円高は不都合です。卸売価格1ドルの商品を輸出する場合、1ドル=120円ならば売上120円ですが、1ドル=80円だと80円しかもらえません。

「円高で売上が3分の2になったから、給料も即3分の2にします」というわけにもいきません。高コストで低収入なら、企業を維持するのが大変です。

ここから、想像力を膨らませます。例えば、米ドル/円=60円の世界を考えます。

  • 日本の製造業は、余程の体力がない限り、海外に逃げるか衰退
  • イノベーションがない限り、日本の産業は空洞化する
  • 日本は法人税等が不利であり、日本でのイノベーションは期待薄
  • さらに、少子高齢化で活力が失われる
  • そんな国の通貨を欲しいと思うか?(いや、思わない)
  • ということは、超長期的には円が敬遠されて円安になるのでは?

ならば、超円高になった時点で、円売りドル買いをすれば良いのでは?という発想が可能です。

この案を採用する場合、超円高時は米ドル/円の買いです。

ただし、上の諸点は想像力を膨らませてシミュレーションした結果です。そこで、レバレッジは1倍台、最大でも2倍に抑えます。

米ドル/円=80円でレバレッジ2倍で買えば、米ドル/円=50円を割り込んでも強制ロスカットを回避できます。

各通貨ペアの円高記録

上の米ドル/円と同様にして、他の通貨ペアについても考察できます。ここで、主要な通貨ペアの円高記録を確認しましょう。

  • 米ドル/円:75円
  • ユーロ/円:88円
  • ポンド/円:116円
  • 豪ドル/円:55円
  • NZドル/円:42円
  • カナダドル/円:60円

この数字に近い為替レートになったら、円高記録を更新するリスクを警戒しつつ、長期トレードを検討できます。

歴史的安値が出現した年

また、円高記録が出現した年代を確認します。〇は、円を含む主要な通貨ペアで、歴史的安値が出現した年です。

2000年 〇
2001年 〇
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年 〇
2009年 〇
2010年 〇
2011年 〇
2012年 〇
2013年
2014年
2015年
2016年 〇

出現頻度が意外に高い

以上の通り、長期間を通してみますと、意外に歴史的安値の出現回数が多いと分かります。

歴史的な安値が出現してから買いたいけれど、今はそうではない…という場合も、何年か待てばチャンスがやってくるかも?ということになります。

ただし、歴史的安値が出現するときは、何らかのショックが起きている時でもあります。そのような状況でも買えるか?が勝負の分かれ目になりそうです。

ざっくり見て、こんな感じです。

  • 2000年~2001年くらい:ドットコムバブルの崩壊
  • 2000年~2001年くらい:ユーロの信頼度が低い
  • 2008年以降~:リーマンショック後の混乱期
  • 2016年:イギリスのEU離脱問題

何年も安値にならない場合もある

歴史的な安値が頻発する時期もあれば、逆に、何年にもわたって出現しない場合もあります。

この時期は、全体的に円安になっているということです。

この期間は、投資の王道「安値で買って高値で売る」はお休みです。何か別の手法を使ったり、FX以外のトレード対象に視野を広げたりできます。

長期トレードに向かない通貨ペア

その一方で、この記事でご案内している長期トレードに向かない通貨ペアがあります。それは、トルコリラ/円などの新興国通貨ペアです。

下のチャートは、FXプライムbyGMOからの引用です。

トルコリラ/円の長期チャート

1993年8月には、9,000を記録しています。この数字は極端ですが、2000年以降も、基本的には円高で推移しています。

この記事では、安値で買った後の円安を期待する長期トレードを考察しています。

よって、トルコリラ/円などの新興国通貨ペアで長期トレードする場合は、円安でなくスワップポイント重視で考察することになります。

 

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