バックテストのやり方4種類
バックテストのやり方には、いくつもの方法があるでしょう。そこで、どのようなやり方があるのか、概観しましょう。
バックテストのやり方4種類
バックテストの意味は、いくつかあるように思います。一つ目は、ある特定のトレード手法が有効かどうか、過去の為替レートを使って検証することです。
その検証で好成績ならば、今後もそのトレード手法は有効なのでは?と期待できます。
もう一つは、何か特徴的な値動きがないか、過去の為替レートを使って分析することです。この場合、分析した結果を使って、何かトレードに生かせるか考えます。
以下、4つのやり方を考察します。
チャートを眺める
チャートを眺めて考えるのは、立派なバックテストです。最も基本的な方法とさえ言えるでしょう。
長期間のチャートを眺めて、何か特徴的な動きを探します。
このやり方は、プログラミングの知識不要なのがメリットです。根気があれば実行可能ですので、ゆったり為替は多用しています。
とはいえ、1分足や1時間足で実行すると辛いです。日足でもできますが、週足や月足でバックテストをするときに使うことが多いのでは?と思います。
下のリンク先の記事では、チャートを見るだけでバックテストができた例をご案内しています。
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エクセル
ゆったり為替は、エクセルでバックテストを繰り返してきました。理由は簡単で、エクセルを使うのが得意だからです。
表計算ソフトを使う仕事をしていたり、表計算ソフトが得意ならば、積極的に取り入れたいです。
岡三オンライン証券の「岡三RSS」は、エクセルを用いたトレードシステムです。ヒストリカルデータのダウンロード、分析、発注、自動売買ができます。
エクセルが得意な場合、岡三オンライン証券が有力候補です。
エクセルのバックテストに問題があるとすれば、データが大きくなると保存や読み込みに時間がかかることでしょう。その場合は、ファイルを分割します。
また、各種インジケーターを使う場合のバックテストは、エクセルは得意でないように思います。
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5分足や1時間足などでバックテストをする場合は、MT4が活躍します。
例えば5分足ですと、1日のデータ量は膨大です。12個(1時間)×24時間=288個にもなります。この288個のそれぞれに、始値・高値・安値・終値があります。
これほどデータ量が多くなると、MT4などの専用ツールが有効です。
また、MT4はインジケータを使ったバックテストが大得意です。技術さえあれば何でもできてしまうのでは?と思えるほどです。
その反面、技術がないと不自由を感じてしまうのがデメリットです。プログラミング言語をどこまで勉強する気があるか?にかかっています。
しかし、MT4を利用して取引するだけでしたら、MT4は難しくありません。特にFXTFは、初心者向けのサービスが充実しています。
FX業者のシステム
FX業者自身が、バックテストをするためのシステムを提供しています。
例えば、マネーパートナーズです。自分のオリジナルのトレード方法を構築してバックテストすることができます。
「MT4は敷居が高すぎるけれど、インジケーターを使ったバックテストをしたい」という方に向いています。
MT4に比べれば、圧倒的に簡単に操作できます。
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4つのやり方の比較
以上、バックテストの4つのやり方を考察しました。次に、それぞれのやり方を比較してみます。
どれだけ簡単にできるか
どうせなら、簡単にバックテストができる方が良いです。それを基準にすると、以下の順位になるでしょう。
- チャートを眺める
- FX業者のシステム
- エクセル
- MT4
チャートを眺めるのが、最も簡単です。プログラミングに関する知識は全く不要なので、メリットが大きいです。
MT4は難しいので仕方ありません。ただし、プログラミングの知識がなくても、バックテストやEA制作ができるツールが販売されています。
それを使うと、難易度を下げることができます。
どこまで高度にバックテストできるか
簡単にバックテストができても、機能が不十分ではいけません。この視点で順位付けしてみます。
- MT4
- エクセル
- FX業者のシステム
- チャートを眺める
概ね、先ほどと反対の順位になりました。
なお、「月曜日の値動きはどうだろう?」といった特殊なバックテストは、FX業者のシステムでは困難です。この種のバックテストは、エクセルが得意です。
その一方で、インジケータを使う場合は、FX業者のシステムの方が使い勝手が良いように思います。
よって、一律に順位付けするのは難しいですが、MT4が1位というのは間違いないでしょう。
結局は、ユーザーがバックテストに求めるものは何か?によって、やり方が変わってくると言えそうです。とはいえ、チャートを眺めるのは基本です。これは外せないでしょう。
インジケーターの種類は、とてもたくさんあります。
今回は、その中でも有名な、移動平均線のゴールデンクロスについて、バックテストをしてみましょう。
バックテストの例
では、マネーパートナーズ「HyperSpeed NEXT」を使って、移動平均線のゴールデンクロスのバックテストをしてみます。
移動平均線のゴールデンクロスとは、短い期間の移動平均線が、長い期間の移動平均線を下から上に抜けている状態を言います。
ゴールデンクロスが出現したら買いサインというのが、一般的です。
イメージ図は以下の通りです。赤線の5日移動平均線が、20日移動平均線を下から上に突き抜けています。
今回は日足で、短い期間は5日、長い期間は20日にしてみます。この数字は自由に変更できます。
マネパでバックテスト
今回使用するツールですが、マネーパートナーズの Hyper Speed Next です。とても簡単にバックテストができます。その他の条件は以下の通りです。
通貨ペア | ポンド円 |
検証期間 | 2010/1/4~2020/1/9 |
足 | 日足 |
取引数量 | 1万通貨 |
利食い | 利益率が1%になったら |
損切り | 損失率が1%になったら |
このツールの特徴は、過去10年間のデータを使えることです。
過去10年間にわたって好成績だと分かれば、これからも使えるのでは?と予想できます。結果は、以下の通りです。マネーパートナーズの画面です。
数字がたくさん並んでいるので、主なところを抜粋します。
総損益 | 119,460円 |
総取引回数 | 69回 |
勝ち | 39回 |
負け | 30回 |
平均利益 | +14,605円 |
平均損失 | △15,005円 |
過去10年間この方法で取引した結果、12万円くらいの利益を計上しています。
まずは、このトレード方法を採用するための条件をクリアしました。マイナスだったら採用しづらいです。
損益の推移グラフ
マネーパートナーズの機能で優れているのは、最終的な結果が表示されるのみならず、途中経過もしっかり把握できることです。
すなわち、取引の経過と損益状況がグラフで確認できます。下は、損益推移のグラフです。
緑色の破線(横線)は、損益ゼロを意味します。横軸は、トレード回数です。
最初のうちは、成績がマイナスに沈んでいました。その後、一気に改善しましたが、途中で損益がゼロになっています。
その後、再度復活して10年間を経過したという推移です。
右肩上がりのグラフになっていますが、これでは実際のトレードに採用しづらいことが分かります。
ストラテジーを改善
というわけで、ストラテジー(取引ルール)を改善して、より良い結果を目指します。
なお、マネパでは、取引一つ一つの情報を詳細に確認できます。すなわち、約定した日や個別トレードの損益を確認できます。
バックテストをしたいけれどもMT4の壁に阻まれてきた方にとって、とても使いやすいだろうと思います。
ゴールデンクロスの優位性
結論として、ゴールデンクロスでは好成績を残しづらいのか?ですが、今回の結果だけで判断できません。
- 米ドル円や豪ドル円など、他にも通貨ペアはたくさんあります。
- 移動平均線を5日と20日にしましたが、別の数字でもOKです。
- 日足でなく、1時間足や4時間足でも検証できます。
- 利食いや損切りの位置を変更すれば、成績が変わってきます。
このブログで全て紹介するのは無理があります。この辺りは、皆様自身で確認をお願いします。
そして、これはいいかも?という設定に遭遇したら、さらに精査します。その精査をクリアしたら、実際のトレードで使えるかもしれません。
下は、精査の必要性を考察した記事です。
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精査の例を挙げますと、「トレードをした時期を確認したところ、相場が大波乱の時に取引している例があった」としましょう。
現実にそのような場面に遭遇したら、取引しないで様子見するのが通常だと思います。よって、その取引はしなかったことにします。
こうして検証結果を修正していくと、より現実的な姿が見えてきます。
パラメータ変更例
ちなみに、下の損益グラフは、上の設定から一部変えてみたものです。
利食い:+100銭
損切り:△100銭
利益率が1%になったら利食いというのは、現実のトレードでは面倒臭いかもしれません。そこで、分かりやすい「銭(pips)」で計測し直したものです。
最初の検証と比べると、損失幅が小さくなっています。
最終的な利幅は小さくなるものの、損が小さい方がトレードしやすいだろうと思います。こんな感じで、気軽にバックテストができます。
他社のヒストリカルデータを使える
なお、マネパの場合、他社のヒストリカルデータ(為替レートのデータ)を使えます。マネパで取引できない通貨ペアでバックテストしたいときなどに、重宝します。
以下、その方法です。
1.CSV形式で為替レートを準備しておきます。
2.メニューバーから、「バックテスト」→「ストラテジ一覧」を選択します(赤の矢印部分)。
3.一覧からストラテジを選択し、「バックテスト実行」を選択します。ここでは、「乖離率のクロス売買」というストラテジを選択しています。
4.画面中央左にある「詳細設定」タブをクリックします。
5.切り替わった画面で「インポートデータを使用する」にチェックを入れます。
赤枠内の「参照」ボタンを押して、データファイルを選択します。最後に、画面下の「開始」ボタンをクリックすると、検証結果が表示されます。