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ユーロ/円の長期チャートと見通し

ユーロは、前身のECU(エキュ)から考えると歴史が長いですが、ユーロそのものは1999年に導入された新しい通貨です。

よって、長期チャート分析をする場合、このブログでは30年~40年以上を基本としていますが、ユーロ/円は1999年からの分析となります。

ユーロ/円の長期チャート(20年チャート)

というわけで、1999年以降の月足チャートを確認しましょう(DMMFXから引用)。大雑把に判断するなら、レンジかペナントか?という形状をしています。

ユーロ/円の長期チャート

ユーロ/円=100円

このチャートから、値動きの特徴を掴みましょう。

最初に、下の通り補助線を引きました。ユーロ/円=100円のラインです。

ユーロ/円の長期チャート

100という数字はキリが良く、自然と注目を集める数字です。そして、矢印部分を見ますと、しっかりと100円を下回っていることが分かります。

キリが良い数字を下回れば、そのまま円高が進んでもおかしくないですが、ほどなくして反発し、そして大きく円安になっています。

・2000年の底値

左側の矢印部分の下落要因は、1997年のアジア経済危機、2000年くらいのドットコムバブル崩壊に求めることも可能ですが、新通貨ユーロに対する疑念もあったろうと予想できます。

数多くの国が一つの通貨を使うのは例がないため、本当に機能するのかどうか、懐疑的な見方が出ても不思議はありません。

怪しいと思えば、米ドルや円と交換して資産保全を図ります。これも、円高になった理由の一つでしょう。

・2012年の底値

右側の矢印部分は、2007年のサブプライムローン問題、2008年のリーマンショック等の一連の流れを受けての円高です。

底値は2012年後半です。

この時期、ユーロ圏の崩壊がささやかれていました。ユーロの財政基準を満たせない国が複数あり、特にギリシャの状態がひどかったためです。

ところが、ユーロ/円は2015年にかけて大幅円安です。

これは、アベノミクスが原因でしょう。米ドル/円でも同様に、大幅円安になりました。

・100円の考え方

以上の通り考えますと、純粋にチャート分析を採用して「100円を下回ったら買い」とするのは難しいように見えます。アベノミクスがなかったら、さらに下落したかも?

しかし、この為替レート水準で反発したという実績が2回できたため、次の値動きに影響する可能性があります。

よって、100円を下回ったら、上昇警戒です。

また、「100円を下回ったら円高に突き進むぞ!」と決め打ちするのはリスクが高いと分かります。

ペナント

長期チャートを使って、もう一つ特徴的な値動きが分かります。ペナントです。

ユーロ/円の長期チャート

上のチャートに、補助線を2本引きました。上側は、上値抵抗線(レジスタンスライン)です。

2008年を頂点にして、高値が徐々に切り下がっている様子が分かります。

  • 2008年7月:170円
  • 2014年12月:150円
  • 2018年2月:137.5円

数字を具体的に見ますと、高値がどんどん下がっている様子が分かります。

そして下側の線は、下値支持線(サポートライン)です。こちらは逆に、下値が徐々に切り上がっています。

  • 2000年10月:89円
  • 2012年7月:94円

このまま行くと、2本の補助線がぶつかり合います。そうなる前に、為替レートは上または下方向に抜けていくと予想できます。

そして、教科書的には、抜けた方向に大きく動きやすいと言われます。上のチャート形状を見ますと、ペナントが終了するのはしばらく先に見えますが、頭の片隅に入れて良さそうです。

2つ目のペナント

ちなみに、ペナントがもう一つあります。下の通りです。先ほどよりも小さい三角形です。

ユーロ/円の長期チャート

2013年以降を表示したのが、下のチャートです。概ね10年チャートです。

ユーロ/円の長期チャート

チャートを見ますと、安値になっている点が2つあります。

左側は、2016年6月、すなわちイギリスのEU離脱を問う国民投票です。そして右側は、新型コロナウイルス問題を受けた値動きです。

こちらのペナントは、頂点が近づいてきました。上に抜けるか?それとも下か?に注目です。

最初に見ました大きなペナントが有効に機能する場合、円高方向に進む可能性が高めになります。よって、ペナントのみでチャート分析する場合、円高方向に警戒です。

ユーロ/円の長期見通し

なお、ペナントが終わった後の値動きですが、「レンジ相場が継続」という場合もあります。

こう書いてしまうと、「円安になるかもしれないし、円高かも…とはいえ、レンジもある」ということですから、何も言っていないも同然に見えます。

しかし、結果として円高になる場合、ペナントを使ってトレードポイントを見つけられます(円安・レンジも同じ)。

どのような値動きになっても良いように準備しつつ、取引ポイントを見つけるために、チャート分析を駆使できます。

では、相場はどう動くか不明ながら、以上の分析を受けて長期見通しを検討します。

  • 小さいペナントが終了したら、円高方向を警戒

小さいペナントの上側の線は、大きいペナントの線でもあります。すなわち、1本の線ではありますが2つの機能を持っています。

その分だけ、強力に作用すると判断できますので、やや円高警戒です。

そして、実際に円高になる場合、大きなペナントの下値支持線が目標値になります。すなわち、100円前後が目途になりやすいと考えられます。

スワップポイントの推移

長期チャートでトレードを考える場合、スワップポイントの動向も確認したいです。

スワップポイントはFX会社ごとに異なりますので、ユーロ圏と日本の政策金利差を比較します。

日本とユーロ圏の政策金利

2008年までは政策金利差が大きく、ユーロ/円を買うスワップポイント狙いが可能でした。その後も、2014年まではスワップポイント狙いが何とか可能でした。

しかし、その後の政策金利は、両方とも0%近辺で推移しています。

スワップポイント狙いのトレードはできなくなりましたが、買う場合も売る場合も、スワップポイント損を重視しないでトレードできます。

これは大きなメリットです。

ペナント終了後の値動きは不明ですが、上昇する場合・下落する場合、いずれでも気兼ねなくトレード可能です。

経済指標

ユーロ圏の中央銀行であるECBが政策金利を決めるにあたり、ユーロ圏の経済指標を参考にします。そして、ユーロ圏の経済指標は、ユーロ加盟国のデータを基に作られます。

そこで、加盟19か国の国名と、それぞれの国のGDPが全体に占める割合(2019年)を確認しましょう。

  国名 GDP
ドイツ 28.9%
フランス 20.3%
イタリア 15.0%
スペイン 10.4%
オランダ 6.8%
ベルギー 4.0%
オーストリア 3.3%
アイルランド 3.0%
フィンランド 2.0%
ポルトガル 1.8%
ギリシャ 1.6%
スロバキア 0.8%
ルクセンブルク 0.5%
リトアニア 0.4%
スロベニア 0.4%
ラトビア 0.3%
エストニア 0.2%
キプロス 0.2%
マルタ 0.1%

なお、表の左にある☆マークは、いわゆるPIIGSです。2010年前後~2015年あたりにかけて、ユーロ圏崩壊の危機の原因とされた国々の最初の文字を並べたものです。

  • p:ポルトガル
  • I:イタリア
  • I:アイルランド
  • G:ギリシャ
  • S:スペイン

PIIGSはPIGS(豚)に通じる並び順になっています。おそらく、敢えてこの並べ順にしたのでしょう。周辺諸国のPIIGS諸国に対する感情が良く分かる表現です。

また、表から明らかなとおり、ドイツとフランスが圧倒的なGDPを誇っており、19か国中の2か国で全体の半分を占めています。

そこで、各国の経済指標を元にユーロ/円の取引を考える場合、ドイツ・フランスの2か国を見ればOKということになります。

ただし、2010年代のユーロ崩壊か?という大イベントの主役だったギリシャを見ますと、1.6%しかありません。

よって、市場が注目する案件が出てきた場合は、GDPに関わらず注目することになります。

長期チャート分析・見通し
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