ユーロポンド(EURGBP)は、先進国通貨ペアです。その割には、人気度はやや低調な印象です。
そこで、この通貨ペアの長期チャートを見ながら、値動きの特徴を確認しましょう。興味深い発見があるかもしれません。
ユーロポンド(EURGBP)の長期チャート
最初に、長期チャートを確認しましょう。セントラル短資FXからの引用です。
ユーロは、比較的新しい通貨です。決済通貨として使われ始めたのは1999年ですが、下のチャートは1997年以降の表示です。
上のチャートを見ますと、いくつかの特徴が見えてきます。
上値抵抗線と下値抵抗線
下の通り、赤で補助線を引いてみました。ユーロポンド(EURGBP)=0.7000の位置です。
1997年から2007年まで、為替レートの上値抵抗線は、0.7250付近にあったことが分かります。
何度も上値トライをしていますが、この為替レートを超えることができず、反落を繰り返しました。
しかし、2008年に入ると、大きく上昇しました。
これで補助線としての役割は終わったかと思いきや、まだ機能していました。
ユーロポンドは下落したのですが、2015年半ば以降、0.7000付近でピタリと止まりました。そして、レンジを形成しました。
その後、再び上昇しました。
月足チャートで考える場合、数百pipsくらいは誤差として考えることができます。すなわち、ユーロポンドは0.7000付近が重要な為替レートだと分かります。
ペナント
もう一つ、別の視点で見てみましょう。ペナントです。下の通り、2つのペナントを描きました。
2つのペナントを見ると、ある特徴が見えてきます。
為替レートが、ペナントの頂点よりもずっと前の地点で、上または下方向に移動している、という点です。
これは、ユーロポンドに限ったことではありません。月足ですと、他の通貨ペアでも見られます。
米ドル円の長期チャート
下は、米ドル円の長期チャートです。1997年くらいからペナントを作っている様子が分かります。
しかし、ペナントの頂点に達する前に、赤矢印の時点で下方向に抜けていった様子が分かります。
ゆったり為替の予想ですが、2007年のサブプライムローン問題が無視できるほどに小さな問題だったなら、赤矢印の地点で反発してペナントを継続したのでは?と思います。
しかし、2007年以降のイベントは、全世界を揺るがす問題でした。
2007年当時は、景気に強気な見方をしていた人も多かったわけですが、チャートは世界の状況を素直に反映していたということになります。
イベントを確認しながら考察
もう少しチャートを詳しく確認しつつ、今後の見通しを考察します。各種イベントと為替レートの関係を、見ていきましょう。
2007年まで、値動きが小さい状況が続きました。しかし、点Aの部分で、大きく上に跳ねています。
2007年末から2008年初めにかけてのことです。すなわち、サブプライムローン問題を発端とするイベントが原因だろうと予想できます。
そして、リーマンショックを経て、2008年12月に高値0.98を付けました(点B)。
米国が傾いていた状況ですので、代わりにユーロが選ばれたということでしょう。ユーロ圏は、世界第2位の経済圏です。
しかし、ユーロ圏諸国で問題が多発します。代表格は、ギリシャです。国家財政を粉飾していたことが明らかになり、てんやわんやの大騒ぎです。
ユーロ圏崩壊も現実味を持って語られる有様りさまで、ユーロの価値は下落しました。しかし、点Cで踏みとどまっています(2015年)。
下値支持線が、強さを発揮しました。
その後、2016年に、再び為替レートが上昇しています。何があったか?ですが、イギリスのEU離脱問題です。6月24日の国民投票で、イギリスのEU離脱が決まりました。
こうして、ポンドが弱くなり、為替レートが上昇しました。
その後、レンジで推移しています。ユーロ圏とイギリスの間に、劇的なイベントがなかったことを示しています。
為替レートは素直に動く模様
以上、イベントを確認しながら、長期チャートを確認しました。
確認した範囲で言えそうなのは、「ユーロポンドは、大きなイベントや簡潔なチャート分析に対して、素直に反応するのでは?」ということです。
2007年まで、世界ではいろいろなことがありましたが、ユーロ圏とイギリスの関係は、安定していたでしょう。すなわち、レンジです。
その後、大きなイベントに合わせて上下動しています。
2017年からは、再び安定した関係になったようです(イギリスのEU離脱問題はありましたが、決定的な結果は出ずに不安定な状況が続きました)。
2020年以降の見通し
以上の考察を踏まえて、2020年以降の見通しを考えてみましょう。
ユーロ圏とイギリスの関係が、為替レートに素直に反映されてきたことを踏まえると、今後の値動きも同様だと想定できます。
将来のイベントは、予見できません。
よって、大きなイベントが起きるたびに、「このイベントは、ユーロとイギリスのどちらが強くなる要因だろうか?」を考えることになります。
この記事を投稿した時点で、最も直近のイベントはイギリスのEU離脱でした(2020年2月1日)。
これがイギリスにとってどうなるのか、記事を投稿した時点では不明です。イギリスの自由度が高くなりますので、大きく発展するかもしれません。
その一方で、EUとの通商では、多少なりとも壁ができることになります。これがマイナスに作用するかもしれません。
週足チャート
今後の直近の値動きの参考にするために、週足チャートを見てみましょう。
現在の為替レートは、0.8400辺りの下値支持線付近にあると分かります。この下値支持線を下方向に抜けると、大きく下落しそうです。
ただし、レンジから離れて動く場合、ダマシになることもしばしばです。よって、ダマシに注意しながら売ることになるでしょう。