ノルウェークローネ円(NOKJPY)を取引できるFX業者は少ないですが、複数あります。
そこで、この通貨ペアの特徴を確認しつつ、適したトレード手法を検討します。
ノルウェークローネ円(NOKJPY)のチャート
値動きの特徴をざっくりと知るには、長期チャートを見ると便利です。パッと見た印象で、何となく分かります。その印象を維持しつつ、徐々に表示範囲を狭くしていきます。
下は、1990年以降のチャートです。線が太い感じになっていますが、日足を使ってチャートを作ったためです。
このチャートを見るだけで、一定の特徴が分かります。下の通りです。
1995年くらいまでは、円高基調でした。その後、レンジになった様子が分かります。この値動きは、円を含む通貨ペアでよく見られます。米ドル円も豪ドル円も、同様です。
上のチャートで、水平線を引いています。これは、サポートラインです。12円弱くらいのところにあります。
為替レートがこの水準まで円高になると、なぜか反発するという動きが繰り返されてきました。20年も続いたサポートラインですから、大変強力です。
ところが、チャートの最も右の部分で、為替レートがサポートラインを破って円高方向に進んでいることが分かります。そこで、この部分を詳細に確認しましょう。
月足チャート
下は、2010年以降の月足チャートです(みんなのFXから引用)。白線は、サポートラインです。2020年3月の部分で、一気に円高に進んでいることが分かります。
なぜ、2020年3月なのでしょうか。直観的には、新型コロナウイルス問題を受けた急落だろうと予想できます。しかし、その理解では不十分かもしれません。
と言いますのは、スウェーデンクローナ円(SEKJPY)の値動きを見れば分かります。下は、スウェーデンクローナ円の月足チャートです。2008年以降の表示です。
スウェーデンクローナ円も、2020年3月に円高になっています。しかし、長期的なサポートラインで反発しています。
チャートを見ただけでは、この時期に何か特別なことがあったようには見えません。
地理条件
ノルウェークローネ円(NOKJPY)の話なのに、スウェーデンクローナ円を持ち出しました。これはなぜか?ですが、この2つの通貨ペアは似たような動きをするからです。
下は、google mapです。矢印の先に、ノルウェーがあります。その東側(右隣)に、スウェーデンがあります。
日本から見て、似たような条件にあります。そこで、値動きもそっくりになるということでしょう。
ノルウェークローネ円が大きく円高になった理由
では、ノルウェークローネ円(NOKJPY)だけが一方的に円高になった理由は、何でしょうか。おそらく、原油価格が影響しているでしょう。
2020年2月末から、原油先物価格が一気に低下しました。2020年4月には、マイナスに突入しました。
マイナスというのは、イメージしづらいです。通常、商品を買う時、お金を支払います。マイナスということは、商品をもらって、お金ももらうということになります。
数字としてマイナスがありうることは、理解できます。しかし、現実に起こるとは思えない数字です。それが発生しました。
ノルウェーは、産油国
ノルウェーは、産油国です。近年は産出量が低下していますが、今でも主要な産業です。
よって、新型コロナウイルス問題に加えて、2020年2月末以降の原油価格急落を受けて、大きく円高になったのだろうと予想できます。
なお、原油先物がマイナスに突入した4月を見ますと、為替レートはやや持ち直しています。
というわけで、原油価格は、ノルウェークローネ円の為替レートを決める重要な要因であるものの、それだけで決まるわけではない、と分かります。
原油価格はどうなるか
では、将来の原油価格は、どうなるでしょうか。確実なことは分かりませんが、長期で見れば上昇すると予想できます。
なぜなら、人口が増えているからです。また、新型コロナウイルス問題は、5年も10年も継続するとは思えません(継続したら、世界経済はどうなることやら)。
人口が増えて需要が高まれば、価格が上昇します。好景気になれば、さらに需要が高くなります。
よって、原油価格は、(いつ上昇するかは不明ですが)長期的には上昇すると予想できます。すなわち、ノルウェークローネ円にとっては、円安要因の一つだと言えそうです。
トレード手法
以上の考察を元に、トレード手法を検討します。長期チャートをもう一度見てみましょう。20年くらい続いたサポートラインが終了している様子が分かります。
今後、このサポートラインは、レジスタンスラインになる可能性があります。すなわち、12円程度よりも円安になりづらいということです。
では、このまま円高になるか?ですが、それも想定しづらいです。と言いますのは、ノルウェーは先進国だからです。
先進国通貨ペアと新興国通貨ペア
トルコリラ円や南アランド円など新興国通貨ペアは、基本的に円高が継続してきました。
また、世界情勢が不安定になると、為替レートが表示されなくなったり、相場が消滅するリスクがあります(少しだけですが)。
2020年4月には、「トルコリラ円の為替レートを表示できなくなる可能性がある」という注意喚起が、各FX会社から公表されました。
ノルウェークローネ円では、そういった警告はありませんでした。これが、先進国通貨ペアの強みです。
円安か円高か
では、中長期的な方針として、円高方向・円安方向のどちらを志向すれば良いでしょうか。
- 円安方向:レジスタンスラインがある。
- 円高方向:先進国通貨ペアだと、どうか。
こう考えると、どこかでレンジになるのでは?と予想できます。1995年~2020年くらいにかけて、12円~19円くらいのレンジになりました。
範囲は不明ながらレンジになると考えると、トレードしやすそうです。
中長期なら、リピート系注文が候補
中長期でレンジになるなら、リピート系注文が候補になります。
リピート系注文は、当ブログでしばしば出てくるトレード手法です。とても楽なので、ゆったり為替のお気に入りです。上限と下限だけ決めて、後は売買を繰り返すだけOKです。
下は、リピート系注文のイメージ図です。底値で買おうと思わず、円高になるたびに少しずつ買って、少し含み益が出たら決済するという繰り返しです。
日足でも、レンジを形成しやすい
なお、ノルウェークローネ円(NOKJPY)は、日足でもレンジを形成しやすいです。下のチャートは、2019年10月~2020年2月の日足です。
四角部分2つで、レンジを形成しています。
上の期間以外でも、レンジになっているのを見つけるのは、比較的容易です。すなわち、リピート系注文に向いているということになります。
スイングトレードも候補になる
分かりやすいレンジを見つけやすいということは、トレンドを狙うスイングトレードも、やりやすいかもしれません。
上のチャートの場合、白枠1と2の間に、上昇と下落の部分があります。トレンドを狙う場合、この動きを狙います。
また、トレンドになると、何日も連続で陽線や陰線が出ることが珍しくありません。上の日足チャートの場合、2週間くらい連続で、陽線や陰線が出ています。
その他の部分のチャートを見ても、トレンド時には、陽線や陰線が連続で出現しやすいことが分かります。
スワップポイント
スイングトレードの場合、スワップポイントは重要でありません。しかし、リピート系注文の場合は、比較的重要です。
そこで、ノルウェークローネ円(NOKJPY)のスワップポイントを確認しましょう。
スワップポイントは、FX業者ごとに大きく異なります。そこで、両国の政策金利を比較することにします。下は、2009年以降の政策金利推移です。
ノルウェーも日本も、政策金利は低水準だと分かります。一番右部分を見ますと、ほとんど差がありません。
よって、ノルウェークローネ円を買っても売っても、スワップポイントが収益に与える影響はほとんどない、と予想できます。
ちなみに、下のスワップポイントは、みんなのFXの数字です。2020年5月について、買っても売っても0円でした。
- 買い:0円
- 売り:0円
一般的には、買いと売りでスワップポイントの数字は異なります。例えば、下の通りです。
- 買い:10円の受取
- 売り:20円の支払
この差は、FX業者の収益になります。みんなのFXは、この収益を放棄しています。すなわち、顧客にとって有利です。ありがたく使わせていただきましょう。
スプレッド比較
ノルウェークローネ円(NOKJPY)は、為替レート水準が小さいです。概ね、11円~12円台で推移しています。そこで、スプレッドが重要になってきます。
リピート系注文の場合は、スプレッドの重要性はやや落ちます。しかし、狭い方が良いです。そこで、比較しました。
取引可能なFX業者は少ないので、表も小さくなります。
FX業者 | スプレッド(例外あり) |
みんなのFX | 1.9銭 |
SBIFXトレード | 2.50銭~8.80銭 |
外為どっとコム | 2.1銭 |
ヒロセ通商 | 2.4銭~7.3銭 |
なお、SBIFXトレードについて、取引数量が1通貨~1,000通貨の範囲なら、スプレッドは1.89銭(原則固定)です。
しかし、ノルウェークローネ円は、為替レート水準が小さいです。1,000通貨で取引すると、利食いしても、収益がとても少額になります(同様に、損切りしても、痛くもかゆくもない…かも)。
基本的には、1万通貨単位の取引が多くなるでしょう。そう考えると、みんなのFXが有利です。