チャート分析で有名な方法の一つに、ペナントがあります。ゆったり為替も、しばしば利用します。
そこで、その見方や読み方について、確認しましょう。
ペナントとは
ペナントとは、三角保ち合い(さんかくもちあい)とも呼ばれます。イメージ図は、下の通りです。
青線は、為替レートの動きを示します。
為替レートの上下動が次第に小さくなっていく様子を、描いています。
為替レートの高値と高値を、直線で結びます。同様に、為替レートの安値と安値を、直線で結びます。すると、上の図のように、最終的に直線が1点で交わる様子が分かります。
為替レートは、この2つの直線の間を動いていきます。しかし、最終的に、動く範囲がなくなってしまいます。
よって、最終的には直線を突き抜けて、上または下に進んでいくことが珍しくありません。上の図では、上方向に進んでいる様子が分かります。
この、上または下に突き抜ける動きを狙おうというのが、このトレードの趣旨です。
(ただし、ペナントが終了しても上または下に進まず、レンジに移行する場合もあります。)
時間軸
では、このチャート分析手法は、どの時間軸のチャートで使うのが良いでしょうか。
回答としては、どの時間軸でもOKです。日足でも月足でも、様々な時間軸のチャートで利用できるという特徴があります。
下は、米ドル円の月足チャートです(DMMFXから引用)。見事なペナントになっている様子が分かります。
上のチャートで、高値は2015年です。そして、チャートの右端は2019年末です。5年くらいをかけて、ようやく1つのペナントが完成しました。
短い足だったら、わずかな時間で完成するでしょう。
目標値
ここでは、為替レートが上方向に進む場合を考察しましょう。この場合、買いの取引です。では、目標値をどこに置けばよいでしょうか。
人によって、目標値の置き方は変わってくるでしょう。ここでは、3つの方法をご案内します。
ペナント開始時の高値
ペナント開始時の高値を、利食いの目標値とすることができます。下の図で確認しましょう。
最初の高値は、チャート左側にあります。そこから、水平線を引きます(破線で書いています)。この為替レートが、目標値になります。
ペナント開始時の高値と安値
もう一つは、ペナント開始時の高値と安値を使う方法です。2種類あります。
上のチャートの左側をご覧ください。最初の高値と安値の間で、矢印の破線を引きました。
そして、ペナントの頂点(赤線の交点)から、この矢印の距離だけ進んだ点Aを目標値とする方法です。
もう一つは、ペナント内部で最後の押し目となった部分から、矢印の距離だけ進んだ点Bを目標値とする方法です。
どの目標値が最も良いか
3つの目標値をご案内しました。では、どれが最も適切でしょうか。回答としては、「どれでも良い」となります。
ペナントは、今まで無数に登場してきました。仮に、どれか1つの正答率が極めて高いなら、残りの2つの目標値は使われなくなり、人々に忘れられていることでしょう。
ところが、3つあります。すなわち、それぞれが有効に機能する場面があるということです。
そこで、自分にとって最も使いやすいと思う目標値を使えばOKでしょう。
3つ全部使っても良い
3つの目標値全てを使うという方法も、あるでしょう。例えば、3万通貨を取引していて、目標値が以下の通りだったとします(仮の数字です)。
- 120.00円
- 123.00円
- 125.00円
この場合、120円、123円、125円で1万通貨ずつ利食いするという方法があります。
相場の節目や目標値に到達するたびに、少しずつ決済します。この部分決済は、実戦においても活躍します。
最終目標値に到達するまで決済を我慢するという方法も、採用可能です。しかし、利食いできる確率が低くなりますので、ストレスが溜まるでしょう。
米ドル円の月足チャート
では、米ドル円の月足チャートを使って、確認しましょう。チャートの上下に、白線を引いています。
上で考察した目標値が正解になるなら、目標値の一つは米ドル円=125円くらいになると分かります。
残りの2つの目標値については、現時点で不明ですが、130円近くになるでしょうか。
どの目標値を採用するにしても、この記事を投稿した時点の為替レート(109円台)から見て、ずいぶんと遠くにあります。
これが、月足の特徴です。目標値がとても遠くなる傾向にあります。よって、1回のトレードで大きな利幅を得られます。取引数量を少なくして、損失リスクを抑えます。
ヒゲと実体のどちらを基準にするか
ちなみに、ペナントを描く場合、ヒゲの先っぽをつなげて線を引くか、それとも実体(色で塗られている部分。始値と終値)で線を引くか?で迷うかもしれません。
上の月足チャートでは、ヒゲの先っぽをつなげて線を描いています。
下は、実体を基準にした作図です。これでは差が分かりづらいですが、2本の直線の間の距離が狭くなっていることが分かります。
上の例とは異なり、2つの方法で描いてみると、両者間で形が大きく異なる場合があります。
その場合、どちらを信用すれば良いのか、困るかもしれません。ゆったり為替がその状況に遭遇したら、「自分が分かりやすい方を使う」ことにしています。
ダマシ
なお、残念ながら、チャート分析にはダマシがつきものです。ペナントにもダマシがあります。
ダマシとは、チャート分析の手法に沿って考えた結果、為替レートがどちらかに動くと判定したのに、結果はその判定とは異なる動きをしてしまうことです。
今回、題材としている米ドル円の月足では、このダマシが見事に出現しています。下の通りです。
上のチャートを見ますと、きれいなペナントができています。そして、矢印の部分で上方向に抜けました。
教科書通りに考えるなら、これから円安になるはずです。ところが、反落して、再びペナントを形成しています。ダマシだと言えるでしょう。
ダマシを恐れすぎると、全くトレードできません。かといって、ダマシを無視すると、大損失になりかねません。
よって、どこでも言われることですが、取引数量は十分に小さくして、損失リスクに対応できるようにする必要があります。
損切り位置
では、ダマシに遭遇してしまって含み損になる場合、どこで損切りすれば良いでしょうか。
損切りについても、複数の考え方があるでしょう。ゆったり為替が多用する方法は、以下の通りです。
下の図で確認しましょう。
赤丸時点で、為替レートは上方向に抜けました。そこで、買いました。ところが、青い破線の通り、期待外れの値動きをしたとします。
この時、直近の安値(直近の谷)を少し超えたところで、損切りします(青丸部分)。
ここで損切りしないで我慢していると、さらに下落が進んでしまって大変なことになりかねません。
トレールが有効
可能なら、ダマシに遭いたくありません。また、損切りしたくありません。しかし、為替レートは、いつも目標値に到達するというわけではありません。
では、どうやって損失を回避しましょうか。
これを考える際に役立つのが、トレールです。為替レートが目標値に到達しなくても、損切りしなくて済む方法です。詳細は、下のリンクからご確認ください。
ゆったり為替の使い方
以上が、基本形です。しかし、ゆったり為替の実戦では、上の基本形とは少し異なる場合が多いです。
下の図で解説します。
このチャートは、為替レートが上方向に延びている様子を描いています。
基本形は、(おそらく)為替レートが赤線を上方向に抜けたところで買うでしょう。しかし、ゆったり為替は、ダマシが嫌です。損切りしたくありません。
そこで、取引しないで我慢します。
では、どこで買うか?ですが、上昇後、いったん下落して押し目を作ります。そして、その押し目から再び上昇するところで買います。
上の図では、直近の山を越えたところで赤丸を付けています。ここで買うこともありますし、直近の山を越える前に買うこともあります。
直近の山を越える前に買うことが多いです。
確実度としては、直近の山を越えてから買う方が良いです。しかし、これがダマシだった場合、損切り位置までの距離が遠くなってしまいます。すなわち、損失が大きくなります。
そこで、直近の山を越える前に買うということです。
損切り位置は、直近の安値(直近の谷)を越えたところです(青丸)。
この方法のデメリットは、押し目を作らずに一気に上昇する場合です。上昇すると分かっていたのに、買えずにチャートを眺めるだけになります。
まとめ
以上、一通りの解説を展開しました。
インジケーターを使わないチャート分析手法ですし、分かりやすいです。補助線が2本必要ですので、出現頻度が特に高いというわけではありませんが、比較的確度が高いと言われています。
ペナントが出現したら、次の値動きでトレードチャンスを探してみましょう。