イギリスと言えば、何でも賭けにしてしまうことで有名です。
というわけで、「イギリスがEUから離脱するか否か」に関する賭け倍率の推移について、確認しましょう。
ブックメーカーのオッズ(賭け倍率)
ブックメーカー(賭け屋)は数多くありますので、一覧表はあるかな?と探してみたところ、ありました。
oddscheckerというサイトです。下は、オッズ画面の一部です(2016年6月11日現在)。
読み方が独特ですので、確認しましょう。
例えば、表の左端にある「bet365」というブックメーカーで、Stay(残留)は3/10とあります。すなわち、0.3です。1万円賭けて勝ったら13,000円の払戻しですので、オッズは1.3倍です。
一方、Leave(離脱)は5/2ですから、2.5です。1万円賭けて勝ったら3.5万円の払戻しですので、オッズは3.5倍です。
というわけで、どのブックメーカーを見ても残留が優勢だと分かります。
2016年6月11日現在のオッズ
読み方を確認したところで、上の表でオッズを確認しましょう。日本式で表現します(3/10という場合、オッズは1.3倍)。
業者 | 残留(Stay) | 離脱(Leave) |
1 | 1.3倍 | 3.5倍 |
2 | 1.33倍 | 3.5倍 |
3 | 1.29倍 | 3.6倍 |
4 | 1.36倍 | 3.25倍 |
5 | 1.3倍 | 3.4倍 |
6 | 1.29倍 | 3.5倍 |
7 | 1.33倍 | 3.5倍 |
8 | 1.33倍 | 3.25倍 |
表を眺めますと、残留のオッズは1.3倍台、離脱のオッズは3.5倍くらいだと分かります。
「離脱の可能性があるのは確かだけれど、まあ、確率はそんなに高くないよね」という状態です。
ゆったり為替は、イギリスはEUに残留すべきか離脱すべきか分かりません。ただ、相場が大波乱になるのは心臓に悪いです。
そういう意味では残留が望ましいので、とりあえずホッとできます。
しかし、2016年、サッカーのプレミアリーグで、倍率5,000倍が当たったことが話題となりました。よって、安心というわけにもいきません。
ブックメーカーのオッズは、参考指標の一つとして利用したいです。
ちなみに、Financial Times の集計では、残留派がおおむね数ポイントリードしています。その一方で、離脱派が優勢という報道を受けてポンドが急落する場面もありました。
事態は混とんとしているようです。
2016年6月19日現在のオッズ
下の画像は、6月19日早朝時点のオッズです。1週間以上経過して、数字はどのように変化したでしょうか。
国民投票は6月24日です。
6月19日早朝時点で、EU残留のオッズは1.44倍くらい、離脱のオッズは2.75倍くらいです。
残留のオッズはわずかに上昇しました。一方、離脱のオッズは1倍くらい低下しました。この結果、両者の差はかなり縮まりました。
しかし、依然として残留のオッズの方が小さく、各種世論調査の傾向とは異なる印象があります(各種世論調査では、離脱の可能性がもう少し高いようです)。
残留のオッズの方が低い傾向は、ここ1週間で変わっていません。
国民投票当日のオッズ推移
そして、EU残留か離脱かを問う国民投票が、実施されました。
日本時間の6月24日午前6時に、投票が締め切られました。そして、即日開票です。開票中のオッズ推移を確認しましょう。
午前6時48分
投票を終えて、ブックメーカー(賭け屋)のオッズは大きく広がりました。残留のオッズは1.1倍以下、離脱のオッズは8倍くらいになっています。
この国民投票では、出口調査はありませんでした。しかし、一部でアンケート調査が実施されました。
投票締め切り直後の集計で、残留派が多いという結果でした。おそらくは、この結果を受けて、オッズが大きく開いたと予想できます。
午前11時08分
開票が進むにつれて、残留と離脱がいい勝負を繰り広げています。どちらが勝利するか、分かりません。
これを受けて、ブックメーカー(賭け屋)のオッズには、ほとんど差がなくなりました。
そして、12時40分には、BBCから離脱が当確になったと報道されました。
ブックメーカーの賭け率はどの程度信用できる?
以上、時系列を追ってみますと、オッズは激しく動いていることが分かります。
よって、特定時点のオッズを見て、将来どちらが勝つか?を決めるのは、あまり得策でないかもしれません。
イギリスに住んでいてブックメーカーを利用する機会があれば、「自分が投票したい側のオッズが有利になるのを我慢強く待って、希望通りになったら買う」という行動が合理的かな…と感じます。
では、このブックメーカーの賭け率は、世論調査と比較して、どの程度信用できるのでしょうか。
過去のデータを分析したわけではないですが、予想してみます。
世論調査
回答したくなければしなくてもOKだし、ウソの回答をしてもOK。また、良く分からないけれども適当に回答してみるというのもOK。
というわけで、世論調査を時系列で並べて、大まかな推移を把握するという程度ならば、有効かもしれません。
しかし、どこまで信用できるのかは不明です。調査対象となる人をどのように選ぶか?という問題もあります。
特定の思想を持つ集団に世論調査すれば、実態とかけ離れた数字になる可能性もあるでしょう。
ブックメーカーの掛け率
一方、ブックメーカーの掛け率の場合、参加者は自分のお金を投入しています。勝てばお金が増える一方、負ければお金が失われます。
というわけで、参加者は勝つために真剣に考えます。そして、自分のお金が増えるように行動するでしょう。
適当に行動して自分のお金を失いたくありません。よって、世論調査よりもブックメーカーの掛け率の推移の方が信頼度が高いと予想します。
とはいえ、サッカーのプレミアリーグで、5,000倍が当たったという例もあります。
どちらが当たるかを確定的に判断できるなら、賭けが成立しません。一方のオッズは1倍、もう一方は無限大になってしまって、誰も買いません。
確率は低くても実現可能性はある…これが、ブックメーカーの面白さの一つでしょう。
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