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FXで勝つ人と負ける人

損失からの復活に必要な利益率

2015年4月29日

FXで大きな損失を出すと、精神的に痛いです。しかし、時間が経過すれば、次第に痛みが和らいできます。

「よし、もう一度頑張ろう」となるのですが、ひとたび大きな損失を出してしまうと、回復は大変な道のりになります。

この理由を、数字とグラフで確認しましょう。

損失率と、復活に必要な利益率

今、手持ち資金は100万円だとしましょう。そして、損切りしてしまいました。再び、元の金額に戻さなければなりません。

では、どれくらいの利益率を出せば、元の金額に戻るでしょうか。これを示したのが、下の表です。

読み方ですが、表の左上にある10は、損失額10万円です。手持ち資金100万円ですから、損失率は10%です。減った後の金額90万円から11%の利益を得ると、元の100万円になります。

損失額(万円) 損失率(%) 回復に必要な利益率
10 10 11%
20 20 25%
30 30 43%
40 40 67%
50 50 100%
60 60 150%
70 70 233%
80 80 400%
90 90 900%

損失率が大きくなると、厳しい

上の表を見ると、あることに気づきます。

損失額が10万円、20万円と増えていくと、損失率も10%、20%と増えていきます。しかし、回復に必要な利益率は、10%、20%という増え方ではありません。

11%、25%、43%…と、増え方が大きいです。

損失率が90%になると、回復に必要な利益率は900%にもなります。とんでもない数字です。これをグラフ化すると、下の通りになります。

損失からの復活

例えば、損失額が50万円だとしましょう。元の金額100万円に対する損失率は50%です。そして、投資元本は50万円になってしまいました。

この50万円を使って元の100万円にしようと思えば、資金を倍にしなければなりません。すなわち、回復に必要な利益率は100%です。

取引試算例

ここで、こんな取引を想定してみましょう。勝率50%のパターンです。利食いする場合も損切りする場合も、投資元本の50%が変動するとします。

すなわち、投資元本100万円で利食いしたら、資金は150万円になります。損切りしたら、50万円に減ります。

利食いと損切りを交互に繰り返したら、一体どうなるでしょうか。

  • スタート資金 100万円
  • 第1回:利食い 150万円
  • 第2回:損切り 75万円
  • 第3回:利食い 112万円
  • 第4回:損切り 56万円

こんな感じになってしまい、劇的に資金が減っていきます。下のグラフは、勝ち、負け、勝ち…と10回繰り返す場合の資産の推移です。

ほぼ一直線か?と思えるほどに資産が減っている様子が分かります。

損失率と利益率

第1回のトレードを利食いにしましたから、まだマシな方です。第1回が損切りだったら、資産はもっと早く減っていきます。

この試算例の場合、トレード1回の利食い・損切りで50%が動くという試算ですから、劇的に資金が減っています。しかし、10%に変更しても、結果は変わりません。

時間をかけて、確実に資金が減っていきます。

すなわち、勝率50%の場合、利益率を損失率よりも大きくしないと、ジリ貧になってしまいます。相場は、厳しい世界です。

なお、1回の取引で資金を50%も減らしてしまうと、精神的なダメージが大きすぎます。金銭的なダメージとともに、精神的ダメージへの配慮も必要です。

損失率を少しでも低く抑える

以上から分かるのは、2点でしょう。

  • 損失率は、少しでも小さくすべき
  • 利益率を、損失率よりも大きくすべき

なお、「損しても、回復すればOK」という考え方もあるでしょう。それならば、損する前に利益を上げ続ける方が良いです。利益を上げることが難しいから、損してしまいます。

よって、損してから苦しまなくて済むように、取引金額は十分に小さくすべきでしょう。

そうすれば、損しても、回復に要する労力を抑えることができます。

1回の取引で、どこまで損しても良いか

では、1回の取引で許容できる最大損失率は、どれくらいでしょうか。

例えば、デイトレードの場合、1取引での損失は、資金の1%~2%以内に抑えるべきなのでは?と思います。スイングトレードの場合は、もう少し大きくても良いでしょう。

ポジショントレードの場合は、さらに大きくてもOKと思います。

取引頻度の違い

ポジション保有期間が長期になればなるほど、損失率が大きくなってもOKな理由は、取引頻度です。

デイトレードの場合、取引チャンスは数多くあります。よって、損失を計上してカーッと熱くなった頭で取引を繰り返してしまい、アッという間に損失が膨らむ可能性があります。

そのリスクを回避するために、1トレードの損失率を低く抑えます。

一方、ポジショントレードの場合、取引チャンスそのものが多くありません。この状況でデイトレードと同じような制限を設けると、資金が一向に増えないという問題を抱えます。

また、損しても、取引と取引の間に時間がありますから、頭を冷やすことができます。

そこで、ポジション保有期間が長期になればなるほど、許容損失率も大きくできます。

ただし、ひとたび損失が実現してしまうと、挽回が大変になるのは同じです。そこで、ポジショントレードの場合でも、許容できる損失率をできる限り抑えるべきでしょう。

どれくらいの利益率が良いか

次に、利益率と損失率の差はどれくらいが良いか、考えてみます。

下のグラフは、勝ち、負け、勝ち…と繰り返しています。ただし、利食いする時の利幅は、資産の1.1%です。損切りするときは、1.0%です。

利食いの側が、0.1%だけ大きくなっています。そして、トレードを50回繰り返した様子です。

利益率と損失率

勝率50%でも、利幅が損失幅より10%大きいだけで、右肩上がりの資産曲線になることが分かります。

ただし、実際のトレードにおいて「(利幅)>(損失幅)」を厳守するとしても、その差が10%では心もとないと分かります。

理由は、2つです。

  • 50回もトレードを繰り返したのに、資産は2万円しか増えていない
  • 連敗する場合もある

取引を50回も繰り返したのに、資産は2万円しか増えていません。投資元本は100万円です。

資産が増えているから良いかもしれませんが、実際にトレードをしていると、これではダメだと思うでしょう。資産をもっと大きくしたいと思うはずです。

連敗もありうる

また、この試算は、連敗しない(連勝しない)という想定です。

実際には、相場が悪い流れになると、連敗は珍しくありません。連敗で大きく資産を減らしてしまうと、上のグラフ形状では、資産回復に時間がかかってしまいます。

そこで、利幅と損失幅を比較する場合、単に「利大損小」では不十分だと分かります。損失幅×1.2以上の利幅で利食いを繰り返したいです。

また、勝率も50%でなく、可能なら60%台を目指したいです。

勝率が60%の場合、3勝2敗ペースです。利幅を大きくしながら3勝2敗ペースですから、この条件達成はとても難しいと分かります。

しかし、これを達成できれば、資産の大きな成長を期待できます。

連敗しないために

以上、損失からの復活は大変だと分かりました。そして、1回の損失率を小さくするとともに、利食いする時には損失よりも少しでも大きく、という方針も見えてきました。

しかし、自由に利食いできるなら、苦労しません。そこで、少しでも連敗を減らしてリスクを回避する方法を、考察します。

疲れを感じたら、やめる

特に、スキャルピングやデイトレードの場合、チャート画面を眺める時間が長くなります。運動をするわけではありませんから、同じ姿勢が続くことになります。

すると、いつの間にか疲労がたまります。

ふと気づくと、ずいぶん肩が凝ったな…とか、腰がちょっと痛いかな?という感じです。そういう時は、休むのが良さそうです。

万全な体調の方が、より良い成績を残せると期待できます。

熱くなったら、やめる

同様に、頭が熱くなっても、適切な判断が難しくなります。この場合も、トレードをやめて休憩した方が良さそうです。

ただ、熱くなるという場合、連敗してカーッと熱くなる場合を連想しますが、連勝したり大きく利食いして高揚感を持っている場合も同様です。

「今日は調子がいいな。いつもよりもロットを大きくしよう」…となったら、負けに転落する兆候かもしれません。

自分のトレードルールから外れる行動をしたくなったら、取引を終わるのが良さそうです。

相場が良く分からないと思ったら、やめる

さらに、今の相場はあまり良くないな…という状況の場合も、トレード向きではありません。トレードをやめて別の何かをした方が有意義そうです。

と言いますのは、相場が良くない理由は、自分にとって都合が良くないからです。

自分にとって都合が良い動きなら、相場が良いと感じるはずです。というわけで、リスク回避のためにも、相場が良くない時はお休みが良いでしょう。

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