リピート系FXのサービスを展開しているFX会社を見ると、顧客成績の優秀さをアピールしている例に遭遇します。
例えば、ループイフダン。
あるいは、トラリピ。
そこで、リピート系FXで資産を増やせる理由、そして、資産を堅実に増やす方法を考察します。
リピート系FXで資産を増やせる理由
トラリピのM2Jのホームページから、顧客動向に関する文章を引用します。
通常時は8~9割の口座が毎月預り資産残高を増やしています。
しかし、高いレバレッジをメイン取引としている他社とは違い、あのコロナショック時でも、お客様の預り資産残高が増えた口座の割合は6割前後を維持していました。
8割~9割が資産を増やすということ
FX会社にヒアリングすると、裁量トレードの場合、月ベースで見ると7割くらいの顧客がプラスの成績を収めるそうです。
7割というと、とても高い数字に見えます。ところが、最終的にプラスになるのは、全体の10%ほどと見込まれています。
【参考記事】FXで負ける・損する個人投資家の割合
すなわち、こういうことです。
- 1か月目:プラス
- 2か月目:プラス
- 3か月目:プラス
- 4か月目:大損で退場
4か月のうち3か月でプラスですから、勝率は7割5分です。しかし、合計では損しています。
ここで、トラリピの公開データを見ますと、資産を増やす人の割合は、8割~9割となっています。とても高い数字です。
よって、長期的に見ても、裁量トレードよりも好成績だと予想できます。
2020年3月、新型コロナウイルス問題で相場が大荒れになりました。この状況でも、預かり資産を増やした人は58%にもなります。
これはトラリピに限った数字か?と言えば、そうでもありません。ループイフダンの場合、2019年に資産を増やした人は80%くらいもあります。
こちらは、月ベースでなく、年ベースです。
数か月はプラスだけれど、どこかで大きく損するというのでなく、年間通してプラスだったのが80%ですから、大変な数字です。
トライオートFXやみんなのリピート注文などでも、似たような成績になっているのでは?と予想できます。
レンジ相場でメリットを発揮する
顧客がこのような成績だった理由は、相場がレンジだったからでしょう。リピート系FXは、レンジ相場で最もメリットが出やすいです。
下は、リピート系FXのイメージ図です。青丸で買って、赤丸で決済の売りです。レンジ相場で推移すれば、同じ為替レートで何度でも利食いできます。
主要通貨ペアの値動き
M2Jによると、2019年の顧客の取引通貨ペアとその割合は、以下の通りです。
- 米ドル/円:32.8%
- ポンド/円:17.3%
- ユーロ/円:10.7%
- 豪ドル/円:10.3%
- カナダドル/円:9.4%
一般的に、米ドル/円の取引シェアは50%を越えます。ところが、トラリピでは3割台前半しかありません。これが特徴です。
では、これらの通貨ペアの2019年の動きはどうだったか?です。週足チャートで振り返ります(チャートは全てM2Jから引用)。
・米ドル/円
1年間の中でトレンドが発生していますが、全体としてレンジ傾向にあることが分かります。
以下、ポンド/円から順に4通貨ペアを確認します。すると、ある特徴に気づきます。
・ポンド/円
・ユーロ/円
・豪ドル/円
・カナダドル/円
分散効果はない
5つの主要通貨ペアを見ますと、2つの特徴が分かります。
一つは、レンジ相場だったということです。リピート系FXに都合の良い値動きが1年間続きましたから、資産を増やしやすい環境でした。
2019年の顧客資産が大きく増えた理由は、ここにあります。
もう一つ、5つの通貨ペアは値動きが良く似ていることが分かります。すなわち、これらの通貨ペアでトレードしていれば、概ね同じような成績になったと予想できます。
なお、似たような動きになるのは、特定の年に限りません。過去数十年を見ても、(大きく異なる部分もありますが)似たような感じになります。
すなわち、分散効果を期待できないという意味でもあります。
「米ドル/円、ポンド/円、ユーロ/円、豪ドル/円、カナダドル/円に通貨分散しているから、相場の急落があっても大丈夫」と考えている場合、過去の長期チャートを見比べてください。
分散効果を期待できません。
よって、どれか一つに集中してトレードするのも選択肢になります。あるいは、通貨分散が欲しいなら、円を含まない通貨ペアで取引するのが候補になります。
過去5年以上に視野を広げる
では、2019年だけでなく、過去5年以上に視野を広げてみましょう。リピート系FXで資産を増やすことはできたでしょうか。
以下、米ドル/円に絞って考察します。
上のチャートは、2014年以降のチャートです。
米ドル/円の取引をする場合、買うとスワップポイントはプラス、売るとマイナスです。すなわち、大半のユーザーは買いでリピート系FXをしていることでしょう。
この視点で見ますと、上のチャートの赤枠内で、損切りした顧客が多数発生したと予想できます。
(実際、この時期は当ブログが大盛況だった記憶があります。「リピート系FXで損」の趣旨の記事が多かったためです。)
- 2015年11月:123円台
- 2016年6月:98円台
半年ほどで、25円(2,500銭)くらいの円高になりました。
しかし、その後は概ねレンジ相場になっています。良く見ると、「やや円高か?」という感じにも見えますが、為替レートは上下動しています。
よって、利食いを繰り返しますので、途中で取引を止めてしまわなければ、成績はプラスでしょう。
ということは、時折やってくる大きな円高を回避できれば、延々と資産を増やせるということになります。
2016年後半以降にリピート系FXに参入した皆様の中には、損したことがないという人がいるかもしれません。そうであっても、何ら不思議はありません。
1998年以降のチャート
さらに視野を広げて、1998年以降にしてみます。1998年は、日本で個人向けFXサービスの提供が解禁された年です。
1998年~2008年頃は、米ドル/円を買うと大きなスワップポイントを得られました。よって、売りで長期のリピート系FXをするのは困難でした。
よって、上のチャートの期間でリピート系FXをする場合、買い取引が中心になったでしょう。
すると、赤枠部分で大損になると想定できます。40円(4,000銭)前後の円高に耐えるのは大変です。
今後もリピート系FXで資産を増やすには
1998年以降のチャート全体を眺めつつ、2017年以降の値動きを見てみます。すると、2017年以降の値動きは、過去に比べてとても小さいことが分かります。
このままずっと、100円~115円の間でレンジ相場で動いてくれれば、とても素晴らしいです。
しかし、チャートを見ますと、いつなのか不明ながら、どこかで円高(または円安)になるだろうと予想できます。
買いのリピート系FXをしているときに円安になるのは、全く問題ありません。問題なのは、円高になる場合です。
そこで、大損せず、今後も資産を増やし続けるために、「円高になったらどうするか?」を考える必要があります。
円高対策
現在、米ドル/円の買いでリピート系FXをしているとします。そして、どこで損切りするか?を考えます。
2020年3月の急落でも、100円割れに至りませんでした。米ドル/円=100円は、歴史的に見ても重要水準です。そこで、米ドル/円=100円割れで損切りすると仮定します。
ここで必要な数字は、2つです。
- 現在の収益(利食い+スワップポイント)
- 100円になるときの含み損はいくらか
この2つを比べて、現在の収益の方が大きい場合、ほぼ勝ちトレードになります。
これからも利食いを繰り返し、米ドル/円=100円を下回るところで損切りして勝ちを確定します。
100円になるときの含み損の方が大きい場合、今後の見込みを考えます。もうしばらくレンジが続きそうだと思えば、このまま取引継続です。
不安な場合は、101円で損切りする場合、102円で損切りする場合…と計算していきます。現時点で、どの水準までなら損益はプラスになるでしょうか。
プラスからマイナスに転じてしまうところで損切りして逃げるという方法も検討できます。
これからトレードする場合
これからリピート系FXを始めるという場合も、考えることは似ています。
今後の値動きはどうなると思うか、どこまで円高(円安)になったら損切りしようと思うか、損切りしたら損失額はいくらになるか、を確認します。
損切りしても、それまでに得た利食いとスワップポイントの合計額の方が大きければ、そのトレードは勝ちです。
「損切り=損」でないところが、リピート系FXのメリットの一つです。
損切りするときの試算が超重要
以上の通り考察しますと、リピート系注文では、損切りするときの考察が大変重要だと分かります。
米ドル/円の買いで取引しているとして…
- 円安になる場合:(収益は少なめだけど)成績はプラス
- レンジの場合:最高の展開
- 円高になる場合:成績はプラスにもマイナスにもなる
そして、今後の値動きがどうなるか、それは誰にも分かりません。有名なトレーダーが考えても、それは見通しであって断定ではありません。
となれば、円高になる場合にもプラスで終われるようにします。これを実現するには、資金管理が重要です。
具体的には、どこまで円安になったら買い注文を止めるか、1回の注文を何通貨にするか、何銭ごとに買うか、その結果、損切り見込みレートになるときの損失はいくらか?を計算します。
また、取引開始後に、「取引開始前の構想を変えたい!」という場合もあるでしょう。複利運用したり、取引設定を変えてみたり。
取引開始後の変化にも対応した、資金管理が重要です。r]
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