シミュレーション(いわゆるバックテスト)をするには、色々な方法があります。
ループイフダンなどのリピート系注文については、MT4が便利です。しかし、MT4のバックテストは、誰でも気軽にというわけにはいきません。
ところが、ループイフダンのシステムを使うと、簡単にバックテストができます。
そこで、ループイフダンの設定値幅の中で、どれが最も資金効率が良いか、シミュレーションで確認しましょう。
ループイフダンでシミュレーションを実行
まず、取引システムにログインします。下の画像の矢印部分(ループイフダン[ランキング])をクリックします。
すると、ループイフダンのランキングページが出てきます。「ランキング」とありますが、バックテストに基づいたランキングです。
すなわち、このツールでバックテストができます。
設定項目4つ
使い方は、いたって簡単です。上の画像の赤枠部分4つを設定するだけです。順に確認します。
現資金で可能な分のみ
口座に入金した額の範囲内で、バックテストします。
現在の資金で取引可能な設定を、具体的に確認できます。今回は、チェックボタンを外します。すなわち、資金の制約なしでバックテストします。
期間
バックテスト期間を決めます。選択肢は、以下の通りです。
- 1か月
- 2か月
- 3か月
- 半年
- 1年
1か月~3か月だと、その期間の相場が「たまたま」レンジだった、トレンドだった、という感じで、正確な分析が難しくなります。
よって今回は、選択肢の中で最長の1年間を選びます。
通貨ペア
自分が取引したい通貨ペアを選びます。
今回は、日本のFX市場で圧倒的な取引シェアを誇る米ドル円にします。
ポジションの方向
B(買)または、S(売)を選びます。
このシミュレーションでは、スワップポイントを考慮しません。しかし、長期のループイフダンで売りをすると、スワップポイント損が痛いです。
そこで、とりあえずB(買)とします。
ランキング結果の表示
選択肢から選ぶと、結果が自動的に表示されます。以下の通りです。
このランキングは、「決済損益」が大きい順に掲載されます。B10が上位にくるのは、自然です。なぜなら、B10は狭い範囲でたくさんのポジションを持つからです。
(B10とは、10銭円高になるたびに買うという設定です。)
逆に、B100は、上位に来ません。100銭ごとに買うという設定なので、10銭ごとに買う場合に比べて、ポジション数は10分の1になるからです。
バックテスト結果のグラフ
ここで、一番上に表示された「ループイフダンB10」の欄をクリックしてみましょう。すると、下のチャートが出てきます。
チャートの中にある緑色の線は、決済損益の様子を示しています。為替レートは円高気味ですが、為替レートが上下動すれば、自動的に利食いを繰り返します。
結果、右肩上がりの曲線になります。これが、ループイフダンの魅力です。
資金効率を確認
上のチャート(過去1年間)を見ると、米ドル円は105円~115円の範囲で動いています。そこで、この範囲(10円)で1年間取引した場合の、資金効率を確認しましょう。
例えば、B10で取引する場合、最大ポジション数は100を選びます。10銭×100本=10円(1,000銭)となり、直近1年間の値動き全体をカバーします
また、下の表で「資金効率」は、証拠金10,000円あたりで得られた金額を示します。
(スマホで見やすいように、表を2つに分けました。)
売買システム | B10 | B15 | B25 |
最大ポジション数 | 100 | 70 | 40 |
決済損益pips | 17,610 | 12,495 | 8,175 |
最低必要資金 | 941,000 | 677,950 | 379,400 |
資金効率 | 1,871円 | 1,843円 | 2,155円 |
売買システム | B50 | B100 |
最大ポジション数 | 20 | 10 |
決済損益pips | 4,500 | 1,900 |
最低必要資金 | 192,200 | 98,600 |
資金効率 | 2,341円 | 1,927円 |
下は、資金効率をグラフにしたものです。資金効率は、「B10とB15が最も悪い部類、B50が最も良い」という結果になりました。
すなわち、同じ1万円を投入しても、B10やB15よりも、B50の方が効果的に資産を増やすことができたと言えます。
B50が最良だった理由
では、なぜこのシミュレーションでB50が最良だったのか、その理由を確認しましょう。
理由は、B10やB15では、利幅が小さすぎるからでしょう。
B10の場合、ポジションを持ってから利食いするまでに、10銭の幅しかありません。比較的大きな円安トレンドができて100銭動いたとしても、10銭の利幅です。
一方、B50の場合、利幅は50銭です。1回利食いすると、B10の利食い5回分の価値があります。
では、1回の利幅が大きければ大きいほど良いのかと言えば、そうではありません。B100にすると、B50よりも資金効率が低下してしまいました。
これは、円安トレンドになっても、余裕で100銭を超えるような値動きが少なかったためでしょう。
50銭だったら利食いできたけれど、100銭だと利食いできずに反落…こんな値動きが何度も発生したと分かります。
ループイフダンのトレードに反映
では、上のシミュレーション結果を、実際のトレードに反映しましょう。
B50で取引したい場合
B50の資金効率が最高という結果でした。よって、B50で取引したいという場合は、自信をもってトレードできます。
別途、何か検討が必要だということは、なさそうです。
B100で取引したい場合
B100で取引したい場合、B50よりは劣るけれどもB10やB15よりは良いという結果がでました。
B100の良い点は、資金効率だけではありません。「最低必要資金」が圧倒的に少ないことがメリットです。
多額の資金は準備できないけれどループイフダンをしたい、そのような場合、B100が有力な選択肢になります。
B10やB15で取引したい場合
さて、問題はB10とB15です。これらについては、場合分けで検討が必要でしょう。
短期トレードの場合
短期トレードの場合、50銭や100銭という値動きを待っていられないかもしれません。
文字通り短期間のトレードですから、早くたくさんの利食いを繰り返す必要があります。50銭や100銭の利食いを待った結果、かえって利食い額が期待よりも少なくなる可能性があります。
よって、どの範囲で短期トレードを仕掛けようとしているのか、検討します。
想定している取引範囲が広くなればなるほど、B50が有利になるでしょう。取引範囲が狭くなればなるほど、B10やB15が有利になると予想できます。
長期トレードの場合
一方、長期トレードの場合は、B50が有利というシミュレーション結果が、そのまま反映されやすいと言えます。
しかし、B10やB15で取引しますと、毎日のようにたくさんの約定メールが届きます。「これが快感なんだ!」という場合もあるでしょう。
この場合、数多くの約定を実現しながら、資金効率も同時に追い求める方法があります。「10銭ずつずらしながら、B50を実行する」です。
イメージは、以下の通りです。
- 105.50円のときに、B50をスタート
- 105.40円のときに、B50をスタート
- 105.30円のときに、B50をスタート
- 105.20円のときに、B50をスタート
- 105.10円のときに、B50をスタート
スタート価格が、10銭ずつズレていることが分かります。
こうしますと、10銭円高になるたびに約定します。円安に転換する場合、最初の利食いは50銭の上昇を待つ必要がありますが、その後は10銭ごとに利食いします。
10銭ごとに利食いしますが、利幅は50銭となります。これが、資金効率の違いとなって現れます。
まとめ
まとめますと、以下の通りです。
- 設定値幅が広い方が、資金効率が良い。
- 設定値幅があまりに広いと、資金効率がイマイチ。
- 設定値幅が広いと、最低必要資金が少ないのがメリット
- 設定値幅の狭さにメリットを感じる場合は、工夫してトレード
米ドル円だけでなく、様々な通貨ペアで確かめると、興味深い結果になるかもしれません。
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