くりっく株365は、株取引やFXの相対取引と異なる仕組みを持っています。
くりっく株365の仕組み
くりっく株365の仕組みを確認するために必要なプレーヤーは、全部で5つです。下に図の通りです。
私たちは、一番左にいます。「ユーザー」です。
私たちから見えるのは、「取扱業者」と「取引所」です。
くりっく株365を取り扱っている業者は、全部で10以上あります。私たちは、そこから選んで口座を作ります。そして、くりっく株365の取引所で売買します。
私たちは特定の業者で口座を作りますが、売買そのものは業者内で実行しません。
顧客が出した注文は、全て取引所に集められます。よって、どの業者で口座を作っても、取引価格はすべて同じです。上の図で、「ユーザー」から出た矢印が「取扱業者」を超えて取引所につながっているのは、これを意味しています。
すなわち、私たちが取引業者を選ぶポイントは、売買手数料、情報量の違い、チャートの使いやすさなどです。
この点は、東証の株取引と似ています。
マーケットメイカー
では、私たちの発注は取引所に集められるとして、価格そのものはどうやって決められるか?です。これは、マーケットメイカーが決めます。
マーケットメイカーと呼ばれる会社は2社あります。それぞれが、日経225などの価格を提示します。
例えば、私たちが日経225を買いたいと思う場合、マーケットメイカー2社が、下の価格を提示したとします。
- マーケットメイカーA社:20,000円
- マーケットメイカーB社:20,050円
この場合、くりっく株365で採用されるのは20,000円の価格です。すなわち、顧客にとって有利な価格が採用されます。20,050円という高い価格で買う必要はありません。
私たちが日経225を売りたいと考えるときも、同様です。
- マーケットメイカーA社:19,950円
- マーケットメイカーB社:19,900円
上の数字だったら、くりっく株365で採用されるのは19,950円の価格です。私たち顧客は、より高い価格で売ることができます。
こうして、顧客は有利な価格で売買できる仕組みになっています。
ちなみに、くりっく株365のマーケットメイカーは、下の2社です。
- 大和証券
- 日産証券
一方、くりっく365の場合、マーケットメイカーは6社あります。
マーケットメイカーの数は、多い方が良いです。くりっく株365の場合、他社がマーケットメイカーとして参入するには、取引規模がまだ十分に大きくないのかもしれません。
提示価格を作る仕組み
では、マーケットメイカーはどうやって提示価格を作るのか?です。適当に価格を提示していると、マーケットメイカーが損してしまうかもしれません。
そこで、価格決定の仕組みをざっくりと確認しましょう。
マーケットメイカーは、先物市場の価格を参照しています。その価格に、金利・建玉の状況・需給関係・マーケットメイカーの利益などを反映させて、提示価格を決定します。
すなわち、くりっく株365の日経225の価格は、日経平均株価と一致しません。「概ね同じくらいの価格になる」という表現になります。
そして、顧客が売買をすると、マーケットメイカーは先物市場でカバー取引をします。よって、顧客の買いが集中する場合も、マーケットメイカーは売りポジションを抱え込む必要はありません。
カバー取引
ここで、カバー取引を簡単に確認します。FXを例にする方が簡単なので、FXを使いますと…
- 顧客:米ドル/円を買います
- FX業者:顧客に米ドル/円を売ります
上の取引をすると、FX業者は売りポジションを抱えます。円安になったら損です。そこで、インターバンク市場(銀行間取引)で、米ドル/円を買います。
顧客の期待通りに円安になる場合、FX業者は対顧客取引では損失になります。しかし、インターバンクでの取引は利益になります。
すなわち、為替変動での損益は合計でゼロになります。
インターバンク市場で取引する場合も、スプレッドがあります。スプレッドは手数料に相当しますから、FX業者は、私たち顧客から得る小さな収入から、インターバンク市場にスプレッドに相当する手数料を支払います。
まさに、薄利多売です。よって、FX業者は利益を確保すべく、マリー取引も併用することになります(くりっく株365ではマリー取引はないので、ここでは省略します)。
先物市場で取引できれば、価格を提示できる
というわけで、マーケットメイカーは、先物市場が使える限り、いくらでも価格を提示することができます。
顧客が売買する際、先物市場でカバー取引できるからです。
下のグラフは、日経225の取引可能時間です(緑色部分)。1周で24時間です。現物市場は9時から15時までしか取引できないのに、くりっく株365だと1日で20時間以上取引できます。
これは、先物市場を元にして価格を合成しているからです。
というわけで、私たち顧客は、取引価格の数字に注目して一喜一憂するわけですが、その後ろでは大勢の人々や巨大なシステムが動いています。
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