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その他のトレード方法

豪ドル/円で両建て戦法

2020年7月12日

読者の皆様から、面白そうな両建て戦法のご質問をいただきました。今回は、これについて考察しましょう。

はじめまして。ゆったり為替様。
為替初心者です。
勝手ながら質問させていただきます。
たとえば豪ドルでしたら1997-2020くらいの変動幅は54円-108円でした。
どの時点でもいいから1000通貨両建て。価格が行った方向に4円ずつ決済そして両建て。
これを永遠にくりかえします。
変動幅を54円として 含み損を計算したら だいたい50万円あれば いいかと思いました。
(証拠金とスワップは考えません)こんな やり方は通用するでしょうか・?
宜しくお願いします。

為替初心者さん、お便りありがとうございます。

両建てを広く設定

ゆったり為替なりに理解した例を、書いてみます。

例えば、豪ドル/円=80円で両建てします(買い・売り共に1,000通貨)。その後、84円になったら、買いポジションを利食いするとともに、再び両建てします。

この時点で、買いポジション1,000通貨、売りポジション2,000通貨になります。

80円に戻ったら、84円の時に売ったポジションを利食いします。そして、80円で売ったポジションがまだあるので新規に売らず、買いだけ実行します(80円で両建てになっています)。

為替レートが上昇を続ければ、買いポジションが利食いを続けます。逆に下落すれば、売りポジションが利食いになります。

そして、為替レートは上下動しますから、延々と利食いを続けれくれるはず、という内容です。トラリピなどリピート系注文の一種と言えるでしょう。

この戦法は、期待通りの成績を上げるでしょうか。

豪ドル/円の値動き

まず、豪ドル/円の長期チャートを確認しましょう。下の通りです。

バブル経済崩壊後しばらくまで、豪ドル/円は円高に突き進んでいました。そのクライマックスは1995年です(下のチャートの左端)。その後は、レンジになっている様子が分かります。

豪ドル円のチャート

高値は108円くらい、安値は55円弱です。54円という大きな範囲でレンジを形成しています。今後もこの値動きになるだろうという想定で、話を進めます。

両建て戦法の成功可能性を考察

では、この両建て戦法は、成功できるでしょうか。いくつかの点から考察してみましょう。

リピート系注文で何かトレード戦法がひらめいた時、それが有効かどうかを考えるには、「自分にとって最も不都合な値動きをする場合」を考えると良いです。

最も不都合な状況でも「何とかなりそう」と思えれば、それは効果があると考えられます。

では、不都合な例を考えてみましょう。「豪ドル/円=54円で両建て開始後、一直線に上昇して豪ドル/円=108円になる」です。

これは、とても不都合な値動きです。と言いますのは、買いポジションは利食いするものの、売りポジションは全く利食いせず、含み損だけが一方的に増えていくからです。

下の表は、各為替レートで1,000通貨売った後、豪ドル/円=108円が実現する時の含み損と、必要な証拠金の比較です。

取引レート 含み損 必要な証拠金
106円 △2,000円 6,320円
102円 △6,000円 10,320円
98円 △10,000円 14,320円
94円 △14,000円 18,320円
90円 △18,000円 22,320円
86円 △22,000円 26,320円
82円 △26,000円 30,320円
78円 △30,000円 34,320円
74円 △34,000円 38,320円
70円 △38,000円 42,320円
66円 △42,000円 46,320円
62円 △46,000円 50,320円
58円 △50,000円 54,320円
54円 △54,000円 58,320円

豪ドル/円=54円でスタートして、豪ドル/円=108円になる場合、売りポジションは全部で14,000通貨になります。含み損は392,000円、必要な証拠金は452,480円です。

ただし、証拠金の計算は、FX業者ごとに少しずつ異なります。そこで、切り上げて50万円にします。こうすれば、安全度が高くなります。

お問い合わせのメールには、「だいたい50万円あれば いいかと思いました。」とあります。概ね正解です。

では、いくつかの視点で考察していきましょう。

退屈さに我慢できるか

ゆったり為替がこの両建て戦法を拝見したとき、真っ先に考えたのが、「退屈に耐えられるか?」です。と言いますのは…

4円(400銭)の値動きで利食いしますから、1回で4,000円の収益となります。2020年3月のような大波乱相場の場合、1か月で何度も利食いします。

笑いが止まらない展開かもしれません。

しかし、2019年1月半ばから4月半ばまでを見ますと、77円50円~79円後半の範囲で動きました。わずか2円の値動きです。

すなわち、値動きと取引設定によっては、3か月間の利食いは0回になります。

両建てですから、為替レートが上昇しようが下落しようが、どちらでも構いません。なのに、3か月間の利食い回数は0回。

退屈に耐えられるだろうか?という懸念です。

スワップポイント損

今回はスワップポイントを考慮に入れていませんが、取引状況によっては、マイナスになるでしょう。

3か月間の利食い回数0回でスワップポイントは毎日マイナス…これは厳しいかもしれません。

50万円を準備できるか

上の状況を考えたうえで、50万円を準備できるか?です。2020年3月~6月の値動きが今後も繰り返されるなら、利益は年率で良い数字を期待できます。

ところが、値動きがない日々が続きますと、投入額の割に利益が小さすぎるのでは?という不満が溜まってきます。

不満を抱えたまま長期トレードをするのは、修行と言いますか、苦痛の日々になります。すなわち、長続きしない可能性があります。

自動売買なら放置可能

利幅が4円(400銭)もあるなら、手動取引で十分です。しかし、上で検討した不満が出てくる可能性があります。この場合に有効なのは、自動売買です。

放置できるからです。

相場を逐一確認する必要はありませんので、「今日も利食いなしかよ…イライラ」とならずに済みます。

そして、放っておいて、3か月に1回くらい口座を確認します。利食いできていればOK、利食いなしでも仕方ない、とあきらめて次に期待します。

ゆったり為替の改善案

では、提案いただいた案に対して、安全度を高め、さらには、利食い頻度も上昇させる。そのような改善案はあるか?ですが、あります。

下の内容は、売りについて書いています。買いについても同様に考えると、両建て取引全体の変更となります。

上の表を見ますと、54円で売ってから108円になるとき、含み損が大きくなります。面白くありません。そこで、円高での売りをしません。

例えば、下の表の通りです。70円以下の売り注文を削除しました(こうすべきという内容ではなく、ゆったり為替の意見です)。

取引レート 含み損 証拠金
106円 △2,000円 6,320円
102円 △6,000円 10,320円
98円 △10,000円 14,320円
94円 △14,000円 18,320円
90円 △18,000円 22,320円
86円 △22,000円 26,320円
82円 △26,000円 30,320円
78円 △30,000円 34,320円
74円 △34,000円 38,320円

こうすると、豪ドル/円=108円が実現する時の含み損は162,000円となり、含み損が劇的に減少します。

このままでは、利食い頻度が増えません。そこで、「2円ごとに両建てする」という方針に変更します。下は、売り注文一覧です。

取引レート 含み損 証拠金
106円 △2,000円 6,320円
104円 △4,000円 8,320円
102円 △6,000円 10,320円
100円 △8,000円 12,320円
98円 △10,000円 14,320円
96円 △12,000円 16,320円
94円 △14,000円 18,320円
92円 △16,000円 20,320円
90円 △18,000円 22,320円
88円 △20,000円 24,320円
86円 △22,000円 26,320円
84円 △24,000円 28,320円
82円 △26,000円 30,320円
80円 △28,000円 32,320円
78円 △30,000円 34,320円
76円 △32,000円 36,320円
74円 △34,000円 38,320円

全ての売り注文が約定して豪ドル/円=108円が実現するとき、含み損は306,000円となり、必要な証拠金は38万円くらいになります。売りポジション数は17,000通貨です。

初期設定(売りの場合)

売りポジション:14,000通貨
最大含み損:392,000円
最大証拠金:46万円くらい

改善案(売りの場合)

売りポジション:17,000通貨
最大含み損:306,000円
最大証拠金:38万円くらい

すなわち、初期設定に比べて、取引数量は多く、最大含み損は小さく、必要な証拠金も小さくできます。似たような別の案も検討できそうです。

74円よりも円高になったら、つまらないよね?という感じかもしれません。

しかし、両建てですから、買い注文についても売りと同様に修正を加えます。すなわち、円安部分では買わず、円高部分で集中して買います。

こうすれば、為替レートがどこを動いても利食い可能です。

改善案のデメリット

この改善案のデメリットですが、「どのような場合でも両建てにしたい!」という希望がある場合に、それを実現できないことです。

両建てのメリットは、為替レートが上昇しようが下落しようが、どちらでも利食いできることです。

ところが、ゆったり為替の案は、円高時は買いポジションしかありません。同様に、円安時は売りポジションしかありません。

「円高時も円安時も、両建て戦法で行くぞ!」という場合、ゆったり為替の改善案を受け入れるとしても、一部だけの採用になるでしょう。

適したFX口座

今回の案の場合、4円ごとに両建てです。ゆったり為替の改善案でも2円ごとです。この場合、手動でOKですが、退屈が最大の敵になりそうです。

よって、ゆったり為替なら、自動売買にします。放置できるので、退屈に対抗できるからです。

このような大きな範囲で自動売買をする場合、選択肢は限られます。このくらいでしょう。

  • トラリピ
  • トライオートFX
  • 連続予約注文

正直なところ、どの口座でもOKです。手動なら、全業者でOKでしょう。しかし、この考察ではほぼ無視していますが、本来はスワップポイントの考察が必要です。

今は、買いも売りも小さな数字ですが、新型コロナウイルス問題が落ち着いて景気が上向けば、世界の金利は徐々に上昇すると想定できます。

この場合、スワップポイントが不利な業者だと、厳しい場面があるかもしれません。

4円ごとの両建ての場合、1か月ずっと利食いできない場合もあり、スワップポイント損だけが積みあがる可能性があるからです。

そう考えると、スプレッドに加えてスワップポイントも有利な、連続予約注文(マネーパートナーズ)がいいかな…という感じがします。

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