少し前の話になりますが、自分で老後資金2,000万円を作りましょうね~という話題がありました。そこで、FXで2,000万円作ることを考えてみます。
比較的じっくり考えますので、長めの文章です。
長期戦:短期の裁量トレードを選択肢から外す
老後資金というからには、比較的遠い未来の話になるでしょう。
現在50代だという場合でも、老後は数十年先でしょう。と言いますのは、「60代で老後」という表現が、現代社会では当てはまりづらいからです。70歳でも元気な皆様が大勢います。
若い人は特に、老後を迎えるまでに、人生のイベントがたくさん待ち構えています。
- 転職
- 結婚
- 出産
- 子供の教育
- 事故…
- 病気…
- その他多数
これらのイベントをクリアして、老後を迎えます。この期間、ずっと短期の裁量トレードで資金を増やし続けるか?という選択が必要です。
プロトレーダーならば、YESでしょう。いつまでも、短期の裁量トレードでしっかり稼ぎます。
しかし、一般的には困難です。そもそも、資金を増やすことさえままなりません。FXで資金を増やせる個人投資家は、全体の10%程度でしょう。
FXで損してしまう理由は、短期トレード派が多いからだと予想しています。プロと素人が同じ土俵で戦っても、負けは目に見えています。
よって、ここでは長期トレードを想定します。長期なら、プロと直接対戦しなくても済みます。老後の話ですから、長期でちょうど良いでしょう。
2,000万円作るトレード手法
では、老後資金として、2,000万円を作る長期トレード手法を検討しましょう。2,000万円という目標金額のあるなしに関わらず、長期という時点で選択肢は2つに絞られそうです。
- 安値で買って高値で売る
- 長期リピート系注文
両方とも、放置が可能なトレード手法です。
安値で買って高値で売る
ここでいう「安値」「高値」は、日々の安値・高値ではありません。老後を見据えていますので、長期の安値と高値です。
よって、チャート表示期間は、10年では短いです。20年以上が望ましいです。変動相場制の現行制度が始まった1973年以降を確認できれば、とても良いでしょう。
ここでは、例として豪ドル円の長期チャートを眺めます。
今後もこのチャート形状が続くと想定するなら、豪ドル円が60円あたりになったら買えば良いと分かります。そして、ひたすら保有です。
老後を見据えていますので、利食い決済しない想定でも構いませんし、豪ドル円=100円あたりで利食いしても良さそうです。
最大レバレッジは2倍くらいか
ただ、過去の最低値55円よりもさらに円高になる場合を考える必要があります。と言いますのは、これは老後資金だからです。相場の大変動に対応できる準備が必要です。
強制ロスカットになっては困ります。
よって、レバレッジの上限は2倍程度でしょうか。こうすれば、豪ドル円が30円くらいになっても生き延びることができます。
仮に、豪ドル円=60円の時にレバレッジ2倍で買い、100円で売るとしましょう。これが実現すると、単純に計算して資金は2倍以上になります。
上のチャートを見ますと、60円が実現してから100円になるまで、10年も要するわけではありません。
上のチャート形状が継続する場合、取引を数回繰り返すだけで、資金を大きく伸ばせることが分かります。
レバレッジを利かせるのは怖いなあ、という場合は、レバレッジ1倍でOKです。
スワップポイントのリスクを排除したい場合
なお、豪ドル円を買うと、スワップポイントは継続的にプラスでした。よって、今後もプラスが続くと考えるのが自然と思います。
しかし、老後までに何十年という場合、スワップポイントがマイナスになるリスクは嫌だという感じかもしれません。
この場合の選択肢は2つでしょう。
選択肢1:外貨預金
外貨預金はFXと比べて、条件が圧倒的に不利です。しかし、金利がマイナスになることはありません。そこで、資産の一部を外貨預金にします。
ただし、銀行が経営破綻するとき、自分の預金が戻ってくる保証は1円もありません。これが、円預金との違いです。
よって、都市銀行など、経営破綻を想定するのが難しいという銀行を選んで買うことになるでしょう。
選択肢2:FXの証拠金として豪ドルを預ける
通常、FX口座に入金できるのは円だけです。しかし、セントラル短資FXでは、円を外貨に両替して、その外貨を証拠金にできます。
すなわち、FX業者が経営破綻しても、豪ドルの証拠金は全額返還されます。法律でそう決まっているので、漏れはありません。
スワップポイントは付きませんので0円です。すなわち、スワップポイントがマイナスに転じる可能性は存在しません。
円高のときに豪ドルや米ドルに両替して、円安になったら再び円に戻します。これで差益を得られます。
証拠金として外貨を保有したい場合は、セントラル短資FXが有力です。
長期のリピート系注文
以上、長期で「安値で買って高値で売る」を考察しました。最も基本的なトレード手法です。しかも、取引回数は少ないですし、トレードチャンスは長期間続きます。特定の瞬間に売買すべきという状態ではありません。
すなわち、多くの人に採用可能な方法です。
しかし、問題がないわけではありません。それは、「取引回数が少なすぎて、ポジションがない状態が続くと焦るかもしれない」ということです。
老後資金を作らなければいけない、しかし、今は取引チャンスでないから待つべきだ、しかし…という焦りです。
このデメリットを回避する方法が、トラリピに代表されるリピート系注文です。当ブログでは、公開トレードをしています。
下の記事で考察していますが、長期運用でリピート系注文を実行する場合、通常の想定利回りは0%~10%台です。
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「0%とは、どういうこと?」かもしれません。豪ドル円を例にするなら、90円~110円の範囲で買いのリピート系注文をすると、その後、円高になった時に苦しいです。
含み損が大きくなるからです。下にチャートを再掲します。100円を超える円安で買って、その後55円まで円高になったら、面白くありません。
そこで、円安部分では取引しない設定にします。すると、歴史的円安水準で推移するときは、想定利回りは0%になります。
当ブログでの取引設定は、55円~84.80円の範囲で買っています。
最近の豪ドル円は、2005年~2006年以来の、最低水準の値動きの大きさです。よって、利益水準が大きくありません。しかし、逆に言えば、今よりも小さい利益水準にはならないだろうと予想できます。
2010年代前半、ギリシャ問題で相場は大荒れでした。この場合は、年利10%などでなく、もっと大きな数字になるでしょう。
獲得した資金を使って、複利運用します。豪ドル円で複利運用すべきというルールはないので、別の通貨ペアにしても良いでしょう。
長期のリピート系注文のFX口座
長期のリピート系注文を考える場合、候補になるFX口座は3つです。すなわち、トラリピ、ループイフダン、トライオートFXです。
このうち、複利運用のしやすさまで考慮する場合は、トラリピとトライオートFXの2択になります。
そして、スプレッドやスワップポイントなどのスペックで、トライオートFXの方が有利です。そこで、当ブログではトライオートFXで公開トレードをしています。
二つのトレード手法を併用する
以上の2つの方法は、全く忙しくありません。これが重要です。老後資金として考えるFXですから、忙しくてはいけません。
そして、この二つを併用します。
- 通常時:リピート系注文で利食い
- 通常時:スワップポイントをもらう
- 円高時:長期保有でしっかり買う
- 円安時:長期保有ポジションを決済して大きく利食い
この方法で、老後資金を作ります。ただし、全額をFXに投入するのは、合理的選択と言えないでしょう。預貯金や債券等も組み合わせることになります。
シミュレーション
では、資産2,000万円にむけたシミュレーションをしてみましょう。今まで豪ドル円を例にしてきましたので、豪ドル円を使います。
長期保有で資金を一気に2倍にする方法
上の豪ドル円のチャートは、1995年以降のものです。すなわち、およそ25年間のチャートです。
この中で、60円で買って100円で売る機会は、3回ありました。レバレッジ2倍で取引すれば、資金は2倍を余裕で超えることになりますが、ここでは単純に、資金は2倍になるとしましょう。
2倍×2倍×2倍=8倍
25年で、資金は8倍になりました。もう一回チャンスがあれば、資金は16倍になります。
自己資金が100万円あれば、いい感じだといえるでしょう。FXで2,000万円全額を獲得する必要はないのですが、さらにもう一回チャンスが来れば、資金は32倍になります。
税金を考慮しても、2,000万円を超えるでしょう。
長期のリピート系注文
これに加えて、リピート系注文と日々のスワップポイントで資金を獲得します。
長期保有だけで2,000万円行けそうだと分かりましたが、長期リピート系注文で日々の資金を獲得します。また、精神安定剤としての機能もあります。
長期保有は待ち時間が長いので、どうしても焦りがちになります。焦りは、損の原因です。リピート系注文をすることによって、焦りを排除します。
この長期リピート系注文で、毎年0%~10%台の利食いを見込みます。
複利運用することによって、資金増加速度をさらに速くすることも可能です。
ゆったり為替のトレード
以上の考察を見ますと、短期トレードを繰り返さなくても、資金を増やせることが分かります。実際、ゆったり為替の資産形成プランは、この記事でご案内したような感じです。
スイングトレード等もできますが、長期運用の方が断然楽です。時間も使いません。
空いた時間を使って、自由に行動します。
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