ゆったり為替は、いくつかのトレード手法を持っています。今回は、スイングトレードについてご紹介しようと思います(一部、ポジショントレードを含みます)。
文章にすると難しく見えてしまいますが、考え方は簡単です。
スイングトレードとは
ここで、今回の記事で考えるスイングトレードを、以下の通り定義します。
特段、変わった点はありません。実際にトレードする際は、デイトレードかスイングトレードかといった意識はありません。
終わってみたらデイトレードだったという場合もありますし、なかなか決済しないなあという場合もあります。
(結果としてデイトレードで終わったという場合、損切りになる方が多いような記憶がありますが…。)
では、ゆったり為替のスイングトレードを見ていきましょう。
なお、月足についても頻繁に言及します。よって、ポジショントレードを含んだスイングトレードという感じの解説になります。
スイングトレード手法:トレンドフォロー
ゆったり為替のスイングトレードは、トレンドフォローとレンジ内での反発を狙う方法の2つに大別できます。
ここでは、トレンドフォローの中の一つを確認しましょう。下の図の通り、とても簡単です。
青の曲線は、為替レートの動きです。左下から上昇してきて、山を作りました。そして、いったん下落で谷を作ります。
反転して、直近の山を越える前に、点Aで買います。これが基本形です。
この形ができる以前は、直近の山を越えた点Bで買う方法を採用していました。これは、ポイント・アンド・フィギュア(point and figure)の考え方です。
ただ、点Bで買う方法は、ゆったり為替の性格には合わなかったようです。利幅と損失幅のバランスが取れずに取引を見送ることが少なくないため、ストレスになりました。
そこで、点Aで買う方法を採用です。
インジケータ
インジケータは使いません。面倒臭いというのが理由です。ゆったり為替は、ローソク足だけで見るのが好きです。
というわけで、この方法が使えるのは、日足・週足・月足になるでしょう。
1時間足などでインジケータなしでトレードしようとしても、難しいのでは?と思います。その理由は、主に2つです。
- ローソク足ができる時間が短い
- 値動きのブレが大きい
日足トレードだったら、午前6時(または午前7時)過ぎに、のんびりとチャートを確認すれば大丈夫です。週足だったら、週末の2日間を使って考えられます。
急ぎません。
しかし、1時間足や30分足などの場合、忙しくなります。時間軸が長い場合に比べて、考える時間を確保できません。
また、ローソク足1本を作る時間が短くなればなるほど、値動きのブレが大きくなりがちです。
月足でひとたびトレンドができると、なかなかトレンドは終わりません。ところが、1時間足や30分足などの場合、トレンドが簡単に変わってしまいます。
すなわち、相場についていくのが大変になります。
よって、短い時間足のトレードは、インジケータの支援がないと難しいのでは?と思います。
下は、米ドル円の月足チャートです(セントラル短資FXから引用)。左端の2007年から2012年まで、延々と円高トレンドが続きました。そして、その後は2015年まで円安です。
月足の場合、少々トレンドに乗り遅れても問題になりません。年単位でトレンドが継続し、値動きも数十円(数千pips)級だからです。
1時間足などの場合、トレンドは頻繁に変化します。
損切り位置
損切り位置は、直近安値の少し下です。何pipsといった具体的な数字のルールは決めていません。「だいたいこんなもんだろう」という決め方をしています。
そして、点Aで買って、期待通りに為替レートが上昇したら、逆指値注文を点Aよりも上に移動します。
こうすれば、その後は為替レートがどう動いても損にならないトレードの完成です。
このように書くと、逆指値注文を上に移動したら「もう安心」という感じに見えます。しかし、実際に逆指値注文が約定して利幅が小さく終わると、残念な感じがします。
これは、素直な感情なので仕方ありません。相場とはそういうものだと割り切るしかありません。
利食い位置
ゆったり為替の場合、利食い位置は、ほとんど気分次第で決めているような気がします。ただし、以下の式が成立するようにします。
要するに、利小損大にしないということです。
また、利食いの目標値を遠く設定する場合、実際に為替レートがそこに到達するまで待ちます。しかし、正直なところ、精神的に厳しいです。
そこで、分割決済を多用しています。
例えば、10万通貨で買っている場合、4万通貨、3万通貨、3万通貨の3つに分けて、それぞれ利食い位置を変えるという方法です(4分割でも構いません)。
- 4万通貨:最初の利食い(買った為替レートに近い)
- 3万通貨:少し遠い距離で利食い
- 3万通貨:最終的な目標値で利食い
こうすることで、為替レートが最終目標値に到達しなくても、徐々に利食いできるようにします。
最終目標値で利食いする方が、利幅としては断然大きいです。しかし、いつも目標値が実現するわけではありません。
目標値に届くかな…という状況で、要人が変な発言をしたり、経済指標が期待と違っていて相場が反転することは、しばしばあります。
そういう場合でも利食いするための、苦肉の策です(苦肉といっても、分割決済は一般的に採用されていると思います)。
時間軸
使うチャートは、日足、週足、月足の3つです。1時間足や4時間足等でもできるかもしれませんが、ゆったり為替は採用していません。
なお、日足、週足、月足をそれぞれ単体で使うと、トレードが意外に難しくなるという印象です。
理由は、以下の通りです。
日足だけでトレードする場合
月足や週足のトレンドと日足のトレンドが逆の場合、日足の値動きは、いずれ週足や月足と同じ方向に向くでしょう。
すなわち、日足チャートだけでトレードすると、期待ほど利幅が伸びず、損切りが増えがちになります。
日足:上昇
週足:下落
月足:下落
この場合、為替レートは期待ほど上昇せず、下落に転じる場合が意外に多いです。
週足だけでトレードする場合
週足だけでトレードする場合も、日足と同じ問題を抱えています。
すなわち、月足で上昇トレンドで、週足は下落トレンドだったら、為替レートは上昇に転じやすくなります。しかし、下落方向で攻めることになるので、損切りしやすくなります。
月足だけでトレードする場合
月足だけでトレードする場合は、そもそもトレードチャンスがほとんどないという問題があります。
ただし、一般的には、FXは脇役です。そこで、月足でトレードチャンスが来たら買うというくらいでもOKでしょう。
頻繁にトレードして楽しみたい場合、月足だけで取引するのは不十分です。下の取引チャンス形状が出現することは、あまりありません。
何か工夫しないと、延々と取引できない時間が過ぎることになります。
マルチタイムフレーム
そこで、時間軸の問題を解決するために、マルチタイムフレーム分析を使います。
良く分からない名前ですが、要するに、「時間軸の異なる複数のチャートを使いましょう」です。
- 月足と週足
- 月足と日足
- 週足と日足
- 月足と週足と日足
この4パターンになります。「月足と日足」でスイングトレードするとき、以下の流れです(上昇を狙う場合)。
2 日足で、上昇を狙う。谷を越えて上昇したところで買い。
こうすれば、月足の方向と同じ方向で、日足をチェックすることになります。意外に含み益が伸びなくて損切りで終わる、という例を減らせるでしょう。
「月足と週足」の組み合わせの場合は、ポジショントレードになります。
この組み合わせで、月足と週足の両方で基本形が同時に出る場合、大きな利幅を期待できます。
どのFX口座を使うか
以上の通り、インジケーターを使いません。よって、どのFX口座を使っても問題ありません。お好みの口座で取引できます。
このスイングトレードで重視すべきなのは、スプレッドやスワップポイントでなく「取引画面のデザイン」です。
と言いますのは、スイングトレードの場合、1トレードの損益が比較的大きいからです。スプレッドの差が0.1銭や0.2銭あっても、損益にほとんど影響しません。
デザインが重要という意味につきましては、下のリンク先記事でご確認ください。
スイングトレードの確実度を上げる
上のトレード手法だけでも、そこそこいい感じで取引できると思います。しかし、もっと確実度を上げたいと思うでしょう。
そういう場合、抵抗線(支持線)を併用します。
実際のところは、ゆったり為替は支持線や抵抗線を先に見てから、上のトレンドを考える場合が多いです。
と言いますのは、週足や月足の抵抗線(支持線)は極めて強く、日足の場合のように簡単に破られることが少ないためです。
抵抗線を併用したスイングトレード
トレード手法は、以下の図の通りです。
チャートの左半分で、レンジ相場ができています。山の頂点2つを結べば、上値抵抗線ができます(破線)。
ゆったり為替は、レンジ相場が終わった直後、すなわち赤矢印で買うことが多くありました。
しかし、トレードを繰り返した後の損益合計は、どうしてもマイナスになってしまってダメでした。
その理由ですが、破線Aのように進むことを期待したのに、実際には破線Bの方向に進むことが珍しくなかったためです。
そこで、赤丸の位置で買うことにしました。最初に確認しましたトレンドフォローのスイングトレードと同じ形です。異なるのは、抵抗線があるかどうかです。
レンジ相場で推移しているときは、上値抵抗線でした。しかし、いったん突破して上昇すると、今度はその線が下値支持線として機能してくれます。
よって、成功確率が高くなるという意図です。
豪ドル米ドルの例
実際のチャートを使って、確認してみます。下は、豪ドル米ドルの月足チャートです。下落方向で取引しますので、売りです。
上のチャート内に、太い赤線を引きました。豪ドル米ドル=0.700くらいです。ここに、15年以上機能してきた強烈な下値支持線があります。
右端の矢印部分を見ますと、この下値支持線を破って下方向に進んでいることが分かります。そこで、下落方向で取引を狙います。次に、日足を確認します。
下のチャートは、日足です。赤矢印部分で売りです。
説明のために線を追加したのが、下のチャートです。点Aから点Bにかけて、為替レートが下落しました。そして、点Cに向けて上昇しました。
その後、再び下落に転じたところで売りです。
売った後は、できることはほぼありません。相場の成り行きを見守ります。
なお、本来は、月足チャートの部分で、以下の形になるのがベストです。
しかし、月足でそこまで待っていると、いつトレードできるか分かりません。そこで、月足の下落傾向を確認したら、日足でトレードです。
ピンバーを追加
さらに、上のトレード手法を補強することができます。ピンバーです。
「ピンバーとは何だ?」につきましては、下のリンク先記事をご覧ください。比較的詳しくご案内しています。
-
ピンバー(pin bar)の見方、使い方
ピンバー(pin bar)とは、プライス・アクショントレードでしばしば出てくるチャートの形です。ただし、ピンバーだけで取引すると、成績が良くありません。 そこで、水平線を利用したり、何かインジケーター ...
続きを見る
抵抗線(支持線)あたりでピンバーが出現すれば、チャンス到来か?と期待できます。
何らかの理由で、ピンバーの信頼度がとても高いと判断すれば、上のチャートの点Cの時点で売ることも可能です。見事に決まれば、とてもうれしいでしょう。
誰でも可能な手法、というわけではない
以上、ゆったり為替のスイングトレードを、サラッと解説しました。しかし、これを読んで即実行して、そのまま成功できるとは思えません。
と言いますのは、上の文章はスイングトレード手法を書いているだけで、そこに至った経過を書いていないからです。
背後には、膨大な回数のミストレードがあります(それを全て書くのは、おそらく無理です)。また、実際の取引例も1つしか書いていません。
数多くの数量をこなさないと、「良さそうな形だけれどこれはダメだ」「この形は少々不安だけれど、取引OKでしょう」という勘所が分かりません。
結局のところ、成功できるかどうか、それはトレードする人の努力にかかっています。