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FX口座あれこれ

スリッページのおすすめ設定とFX口座

2019年10月5日

短期トレードをしていると、次第にスリッページが気になってきます。

そこで、スリッページとは何か?なぜスリッページが起きるのか?といった内容から、どのFX口座を選ぶのが良いか?といった視点まで、幅広く検討していきます。

スリッページとは

スリッページとは、自分が期待する約定レートと、実際に約定した為替レートの間に差があることをいいます。

ということは、顧客にとって有利なスリッページと、不利なスリッページがあります。

顧客に有利なスリッページは、期待よりも安く買える(高く売れる)場合です。

例えば、米ドル円=100.00円で買い指値注文を出していて、実際に約定したのは99.98円だったという場合です。

指値だけでなく、成行でも同様です。価格表示画面に100.00円と表示されている瞬間に買い注文を出したところ、99.98円で約定すれば、ラッキーです。

逆に、顧客に不利なスリッページは、期待よりも高く買う(安く売る)場合です。

不利なスリッページが稀に出現するくらいなら、「まあ仕方ないか」で済みます。ところが、これが頻発すると、ストレスになります。

スリッページが出る理由

スリッページの良い悪いを考える前に、なぜスリッページが出てしまうのかを確認しましょう。下は、FXの仕組みをごく簡単に解説した図です。

FXの仕組み

右下にあるビルは、FX業者です。FX業者は、インターバンク市場(巨大銀行等の為替取引市場)から価格情報を得ます。数字の1部分です。

FX業者は、1で得たデータを元にして、為替レートを決定して顧客に提示します(2の部分)。そして、顧客は発注します(3の部分)。

取引例

FX業者は、インターバンク市場の情報を使って、米ドル円=100.00の数字を顧客に提示しました。顧客は、その数字で買うという発注を出して約定しました。

このままだと、FX業者は売りポジションを持ってしまいます(顧客に米ドル円を売ったから)。円安になったら含み損を抱えてしまいます。

そこで、インターバンク市場から米ドル円を買います。

こうすれば、FX業者は、為替レートが上昇しようが下落しようが、含み損を抱えずに済みます。FX業者のインターバンク市場との取引を、カバー取引といいます。

情報の伝達に時間差がある

ここで、スリッページが発生する原因が分かります。

FX業者が、米ドル円=100.00円という数字を顧客に提示しました。そして、顧客は、発注します。

では、顧客の発注情報がFX業者に届く前に、インターバンク市場から新しい為替レート情報が届いたら、FX業者はどうするでしょうか?

FX業者は、為替レートを変更します。そして、変更直後に、顧客の発注情報が届いたとしましょう。すると、最新の為替レートで約定します。

スリッページ(発注価格と、実際の約定価格に差が出ること)の発生です。

インターネットの世界ですから、情報伝達速度は極めて速いです。しかし、極めて短い時間ですが、どうしても時間差が出てしまいます。

通常の発注では、スリッページが出るのは仕方ありません。

顧客に不利なスリッページ多数(昔話)

ここで、FX業者から見て「オイシイ」話があります。以下の方法です。

  • 顧客に有利なスリッページが出たら、スリッページを無視
  • 顧客に不利なスリッページが出たら、スリッページを反映

顧客に有利なレートとは、すなわち、FX業者にとって不利なレートです。よって、無視します。

そして、顧客に不利なレートとは、FX業者に有利なレートです。喜んで(?)スリッページを反映します。

例:
顧客は、100.00円で買い注文を出しました。FX業者にその情報が届いたとき、為替レートは99.98円でした。しかし、100.00円で売ります。すると、0.02円(2銭)分だけFX業者が得をします。

顧客にとっては、たまったものではありません。しかし、以前のFX業界では、これが横行していたようです。

非対称スリッページの禁止

顧客に有利な場合も不利な場合も、正直にスリッページを反映することを「対称スリッページ」と呼びます。

顧客に不利な場合だけスリッページを反映する(または、それに近い場合を含む)ことを、「非対称スリッページ」と呼びます。

非対称スリッページは禁止!と決められたのは、平成25(2013)年8月9日のことです。

すなわち、それ以前は、顧客に不利になるようにスリッページを出しまくっても、何も罰則なし!という状況でした。FX業者にとっては「おいしい」話です。

現在は、顧客にとって公平なスリッページが出るようになりました。

こうなったきっかけは不明ですが、「顧客の声が大きかったから」という理由が大きそうです。

そして、顧客一人一人が苦情を出しても、大した大きさにはなりません。ブログやSNSでの拡散が果たした役割が大きいのでは?と思います。

何かと問題が起きやすいSNSですが、顧客一人一人の意見を大きな波にまとめ上げるには、とても良いツールです。

非対称スリッページで処分を受けるFX業者も

さて、こうして禁止が明示された非対称スリッページですが、その後もやってしまい、業界団体(金融先物取引業協会)から処分を受けた例が複数あります。

例えば、アルパリジャパンに対して処分が出ています。下の文は、その抜粋です。

処理価格が表示価格よりも顧客にとって不利となった場合にはスリッページを反映させた処理価格で約定する一方、顧客にとって有利となった場合にはスリッページを反映させずに表示価格で約定する…(以下略)

あらら…。

今は、顧客に不利なスリッページを多発させると処分されます。よって、変なスリッページは、ほぼないでしょう。

「いや、たくさんあるぞ」という場合、損になったスリッページは記憶に鮮明で、利益になったスリッページは忘れてしまったり認識していなかったり…という可能性があります。

(本当に、顧客に不利なスリッページを出している。そんな可能性もありますが…。)

スリッページのおすすめ設定

さて、こうして顧客のスリッページへの意識が高くなると、FX業者はあるサービスを始めました。

「許容スリッページ」です。これは、以下のルールです。

  • あらかじめ顧客が決めた幅より大きなスリッページが出たら、約定させない
  • ただし、顧客に有利なスリッページの場合は、設定に関わらず約定させる

これなら、変なスリッページが出るときに取引しないで済みます。では、何銭以上のスリッページが出たら約定させないというのがベストでしょうか。

ゆったり為替の回答は、「許容スリッページの設定を使わない」です。すなわち、スリッページが出ても、そのまま約定させます。

理由は、以下の通りです。2つに分けてご案内します。

スイングトレードやポジショントレードの場合

スイングトレードやポジショントレードの場合、1回のトレードで生じる損益は100pips以上になります。

すなわち、0.1pips程度のスリッページが発生したところで、損益にはほとんど影響がありません。トレードした本人も気づかないほどです。

そこで、スイングトレードやポジショントレードの場合は、スリッページ許容額の設定は不要と思います。

スキャルピングやデイトレードの場合

では、スキャルピングやデイトレードの場合はどうか?です。

取引開始時に「よし、今が買いだ!」と思ってクリックしたら、許容スリッページを越えていて約定しないとしましょう。

  • 「何ぃぃぃ!」となる
  • 「まあ、仕方ないな」となる
  • もう一度発注する

ずっと待って、ようやく取引チャンスが来て、それでも約定できないとき、「仕方ないな」と割り切れるなら、許容スリッページを設定しても良いと思います。

次に、決済時です。「今が利食いの絶好機!」あるいは「ここで損切りをしないとマズい!」という状況で決済したら、許容スリッページを越えていて約定しないとしましょう。

この状況は、大変厳しいです。

取引開始時なら、まだ問題は小さいです。利益を得るチャンスを逃すかもしれませんが、損しません。

しかし、決済時にこれが発生すると、ひどい損に見舞われるかもしれません。

取引開始時と決済時で、許容スリッページの設定をわざわざ変えるか?と考えると、それは面倒くさくてやってられません。

結論としては、「許容スリッページを設定しない」となります。

そして、経済指標発表時など、大きめのスリッページが出やすい場面では、取引を控えます。

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