南アフリカランド円(ZARJPY)は、高金利通貨ペアとして有名です。一方で、長期的には円高傾向です。
- スワップポイントはプラス
- 円高で含み損
では、南アフリカランド円でスワップポイント狙いをすると、最終的にプラスになるでしょうか。それとも、損するでしょうか。過去の実績を使って考察します。
南アフリカランド円のスワップポイント推移
最初に、南アフリカランド円(ZARJPY)のスワップポイント推移を確認しましょう。
FX業者によって数字が大きく異なりますので、公的な取引所である、くりっく365の公開データを使用します。
下のグラフは、1か月間のスワップポイントの大きさをグラフにしたものです。
くりっく365の南アフリカランド円は、10万通貨単位の取引です(10万通貨=1枚)。よって、1万通貨で考える場合は、縦軸の数字を10分の1にします。
グラフを見ますと、2008年から2012年にかけて、月間スワップポイントが徐々に減少していることが分かります。その後は、概ね横ばいです。
平均的には、1か月で4,000円~5,000円くらいです。
南アフリカランド円を1枚買って持つだけで、毎月4,000円~5,000円もらえるということですから、とても大きい数字だと言えそうです。
特定の時期に南アフリカランド円を買っていたら?
では、特定の時期に南アフリカランド円(ZARJPY)を買ったら、スワップポイントの合計額はいくらになったでしょうか。
これを示したのが、下のグラフです。
例えば、2008年11月初日(グラフの左端)で1枚買った場合、2019年10月末時点のスワップポイント合計額は、647,823円です。
2018年1月初日(グラフの右側)に1枚買った場合は、99,075円です。
毎月4,000円~5,000円くらいもらえるという計算ですから、少しでも早く買う方が、金額が大きくなります。
このグラフを見れば、少しでも早く買う方が良いということになります。
南アフリカランド円の長期チャート
ただし、FXで損益を決めるのは、スワップポイントだけではありません。為替レートの推移も重要です。
短期間で考えるなら、スワップポイントよりも為替レート変動の方が重要です。
と言いますのは、スワップポイントはジワジワと蓄積するのに対し、為替レート変動は一気にドカンと動くことがあるからです。
そこで、南アフリカランド円(ZARJPY)の長期チャートを確認しましょう。
残念ながら、円高傾向だと分かります。ただし、一直線に円高というわけではありません。
2011年と2015年あたりで、短期間に大きく下落しています。しかし、その他は概ねレンジ相場と言えそうです。
2016年~2019年にかけてもレンジ相場と言えそうですが、2018年以降だけ見ますと、円高傾向だと言えます。
評価損益の推移
では、各月の最終日に、南アフリカランド円(ZARJPY)を1枚買ったとしましょう。そして、2019年10月末日の終値で含み損益を評価します。
いったい、どうなるでしょうか。下の通りです。
2016年と2019年に、わずかに含み益になっている期間があります。しかし、多くの場合は含み損で推移していることが分かります。
2019年10月末日の為替レートを見ますと、南アフリカランド円の円高記録になるか?というくらいのレートで推移しています。
すなわち、どの時期に買ったとしても、含み損になってしまうのは仕方ありません。
また、どの時期に買っても同じ含み損だった、というわけではありません。時期により異なりますが、早く買えば買うほど含み損が大きいように見えます。
含み損益とスワップポイントの合計
以上を、簡潔にまとめてみます。
- スワップポイント:少しでも早くポジションを持つ方が有利
- 含み損益:早く買うほど、含み損が大きくなる傾向
では、南アフリカランド円(ZARJPY)を買って持つと、どうなんだ?ということです。そこで、スワップポイント益と含み損益の合計(=真の損益)を確認しましょう。
下の通りです。
2008年11月(グラフの左端)で1枚買っていたら、含み損益とスワップポイント益の合計で40万円くらいのプラスです。
2011年後半~2014年や、2016年に買った場合も、いい感じでプラスになっていることが分かります。
ところが、2011年、2015年、2018年以降に買っていたら、損失になっていることが分かります。
2018年以降は、継続的に円高です。2018年以降に買った場合、スワップポイントではカバーしきれていないことを意味します。
いつ南アフリカランド円を買うべきか
では、いつ南アフリカランド円(ZARJPY)を買えば良いのでしょうか。真の損益と、南アフリカランド円のチャートを重ねてみました。
そして、赤枠1~3を追加しています。左側の縦軸は、損益です。右側は、為替レートです。
赤枠1~3の部分で買っていたら、含み損が大きく、スワップポイントでカバーしきれていません。
では、この3つの期間の共通点は何でしょうか。今後も今までの傾向が続くと想定するなら、この共通点を避けて取引すれば良いという話になります。
赤枠1部分
赤枠1部分の前後を見てみましょう。すると、年単位でレンジ相場だったことが分かります。赤枠1を過ぎてから、円高方向にストンと落ちています。
すなわち、「長期的にレンジになっているから今買えばOK」という感じで買ったら、いきなり急落で含み損、というパターンです。
赤枠2部分
では、赤枠2はどうでしょうか。ここでも、同じような傾向だと分かります。
すなわち、赤枠2の前は、年単位でレンジ相場でした。そして、レンジ相場が終わったら、円高が一気に進行しています。
こちらも「年単位のレンジが終わるころに買ってしまったので、損失になった」というパターンです。
赤枠3部分
最後に、赤枠3部分です。こちらは、上2つとは少々異なります。
まず、ポジションを持ってから、時間があまり経過していません。すなわち、スワップポイントの蓄積が不十分です。
スワップポイントの蓄積が不十分ということは、為替レートの動きが損益に直結します。「含み損だけれど、スワップポイント益で何とかなる」ということを期待しづらいです。
この状況で、ジワジワと円高になっています。すなわち、含み損が勝るという結果です。
ただし、今までの為替レートの動きが今後も繰り返されるなら、レンジに移行して数年間以上経過すると期待できます。
その間に、スワップポイントが大きく蓄積します。含み損と合計すればプラスになるというのが、望ましい展開です。
上の結果を受けてトレード方針策定
過去10年以上のデータを使って、スワップポイント狙いの成否を確認しました。結果としては、「プラスにもなりうるし、マイナスにもなりうる」です。
そこで、プラスの成績を出すために、上の結果を反映したトレード方針案を考察してみます。
方針案:大きく円高になった後に買う
レンジになって数年経過してから買うというのが、もっとも良くないパターンでした。そこで、レンジ初期に買います。
具体的には、大きく円高になって、そろそろ落ち着いたかなあというのを確認してから、買います。
上のチャートは、月足です。よって、毎日のようにチャートを確認する必要はありません。週足や月足で大まかに眺めて考えれば良さそうです。
方針案:数年ポジションを保有したら、利食い
そして、ポジションを1年~2年程度保有し続けます。レンジになれば、含み益になったり含み損になったりするでしょう。
その間に、スワップポイントが毎日のように蓄積します。
そして、1年~2年経過したら、含み益になったタイミングで利食いです。「もっと保有していれば良いかも」という誘惑をはねのけて、利食いです。
こうすれば、スワップポイント益に加えて、含み損益もプラスとなります。成功トレードです。
方針案:週足ベースで裁量取引
南アフリカランド円は、長期的に見て円高傾向ですが、レンジの期間も長いという特徴があります。
そこで、月足チャートに加えて週足チャートも併用して、レンジ部分を狙って裁量取引するという案も使えそうです。
レンジの下の方で買って、放置します。数か月くらいポジションを保有して、含み益がいい感じのところで利食いです。
この場合も、スワップポイント益と含み益のダブルで収益となります。
上の方針案3つで確実!と断定するわけではありませんが、今後もこのチャート動向が継続するなら、この方針案は検討の価値があるでしょう。
くりっく365の優位性
今回の考察では、くりっ365のデータを使いました。
くりっく365は情報公開のレベルが高く、利便性が高いためです。また、南アフリカランド円(ZARJPY)の取引シェアも高いです。
下の画像は、くりっく365からの引用です。南アフリカランド円の取引シェアを見ますと、くりっく365が3割もあります。FX業者数は数多くありますから、3割はとても大きな数字です。
これは、くりっく365を使うと、南アフリカランド円のスワップポイントがとても大きいことを意味しています。
大きなスワップポイントを目的に、多くの個人投資家が集合しているイメージです。
上の画像を見ますと、メキシコペソ円に至っては5割のシェアを獲得しています。メキシコペソ円の取引量の半分が、くりっく365ということです。
いかに人気が高いかが分かります。