日本では取引が難しい通貨ペアの一つに、ロシアルーブル円(RUB/JPY)があります。とはいえ、取引可能な通貨ペアです。
そこで、RUB/JPYの特徴を確認しましょう。
ロシアの位置と面積
通貨ペアの話に入る前に、ロシアの位置や面積を確認しましょう。
私たちが一般的に使う世界地図は、メルカトル図法を用いています。下の地図です。緑色部分がロシアです。巨大な国土に見えます。
実際、ロシアは広大な国土を持っています。しかし、メルカトル図法は、南極と北極に近づくにつれて面積が大きく表示される、という特徴があります。
そこで、実際の面積を視覚的に調べられるサイト「The True Size of…」を使って、ロシアとアメリカ合衆国の面積比較をしてみましょう。
確かに、ロシアの方が断然広いです。しかし、メルカトル図法で見るような圧倒的な感じはありません。
カナダとアメリカ合衆国の面積を合計すると、ロシアよりも広くなるという感じです。
ロシアのGDP
次に、ロシアのGDPの大きさを確認しましょう。IMFホームページから2019年の最新の数字を得て、グラフ化しました。
イメージでは、世界の2大国と言えば米国とロシア、という感じかもしれません。しかし、経済力という面では、ロシアは11番目の大きさです。
- 米国:21.4兆ドル
- ロシア:1.6兆ドル
この経済力の差で、米国と覇権を争うのは、難しい注文です。米国に対抗できる軍事力の維持にも、苦労することでしょう。
米国にとって、真の競争相手はロシアでなく、中国だと予想できます。
ロシアルーブル円(RUB/JPY)の長期チャート
ロシアについて、ざっくりと確認しました。本題の通貨ペアに移りましょう。
ルーブル/米ドル(RUB/USD)で確認するのが一般的かもしれませんが、この記事では、取引可能な通貨ペアであるロシアルーブル円(RUB/JPY)で見てみましょう。
下は、2000年以降の長期チャートです。
特徴を一言で書くなら、「円高」でしょう。すなわち、ロシアルーブルの価値は、継続的に下落しています。
もう少し、詳しく見てみましょう。
2008年頃までは、円安傾向でした。2008年のリーマンショック前後あたりで、一気に円高になったことが分かります。その後は、全体として円高で推移しています。
また、縦軸の数字にも注目です。
米ドル円などでは、100円台の数字がおなじみです。しかし、上のチャートでは、1円~5円の範囲になっています。直近のレートは1円台です。
為替レート水準が、とても低いと分かります。
すなわち、ロシアルーブル円(RUB/JPY)1万通貨をレバレッジ1倍で買う場合、2万円あればお釣りが出るということです。
値動きの特徴
さらに、値動きの特徴を探してみましょう。
下のチャートの通り、赤枠を追加しました。これは、レンジを意味しています。レンジの期間が5年前後継続している様子が分かります。
そして、レンジが終了すると、大きな円高になっている様子が分かります。急落が終わったら、再びレンジです。
上の値動きを見ますと、トレード案が浮かびます。
- 急落時:売りでトレード
- レンジ1:スワップポイント狙い
- レンジ2:リピート系注文
リピート系注文ができるFX業者では、ロシアルーブル円を取引できません。よって、手動での売買になります。
ロシアの政策金利
次に、ロシアの政策金利を確認しましょう。スワップポイントの大きさを考える際、参考になります。
上は、ロシア中央銀行から引用したグラフです。2013年9月以降のグラフです。
2014年~2015年あたりで、大きく上昇したことが分かります。最大で16.95%です。その後、穏やかに金利が低下しています。
低下しているといっても、この記事を投稿した時点の政策金利は、6.50%もあります。よって、ロシアルーブルは、高金利通貨・新興国通貨という認識になるでしょう。
トルコリラ円や南アランド円と同様のリスク管理
高金利通貨・長期チャートは円高基調、という通貨ペアは、いくつかあります。トルコリラ円や南アランド円などです。
これら2つの通貨も、新興国通貨・高金利通貨です。
ということは、ロシアルーブル円(RUB/JPY)についても、トルコリラ円などと同様のリスク管理が必要になると分かります。
- 円高に注意
- 流動性の薄さに注意
円高に注意というのは、既に長期チャートで確認しました。急落直前に買って持つと、円高後に冷や汗をかくことになるかもしれません。
要注意です(逆に言えば、売りのトレードは大チャンスです)。
なお、円高に注意といっても、急落後のレンジ形成後に買いポジションを持つと、スワップポイントを毎日もらえる楽しい時間を過ごせるかもしれません。
チャートや政策金利をよく見て、状況判断したいです。
流動性の薄さは、ロシアルーブルに限ったことではありません。米ドル・ユーロ・円・ポンドの4大通貨以外の通貨ペアで取引する際は、一定の流動性リスクを伴います。
例えば、早朝のスプレッドが開きやすい、事件事故があった時もスプレッドが開きやすい、などです。
新興国通貨ペアを取引する場合は、レバレッジを低く、そして取引金額も小さくすることが基本線となるでしょう。