ノックアウトオプションを取引しようという場合、選択肢になるFX会社は2つです。
- IG証券
- FOREX.com
では、どちらで取引すると売買しやすいでしょうか。複数の点につき、比較します。
比較の前に、共通点を確認
違いを見ていく前に、共通点を確認します。それは、ツールの使い勝手です。一般的な日本人ユーザーにとって、両社のトレードシステムは少々使いづらいでしょう。
よって、FX初心者にとっては難易度が少々高めですが、慣れれば何ともありません。
この点、海外から日本に進出してきたFX会社のツールは、第一印象で少し損している感じがします。とはいえ、海外のユーザーにとっては、両社の作りが分かりやすいのかもしれません。
一方、日本で誕生したFX会社は、日本人の好みに合うように徹底しています。「全世界向けと、日本居住者向けに特化」…この違いなのかもしれません。
FOREX.comとIG証券の違いを比較
では、FOREX.comとIG証券について、特に大きく異なる点を見ていきましょう。
最小取引単位
最小取引単位は、以下の通りです。
- FOREX.com:1,000通貨
- IG証券:1万通貨
数千円の資金があれば、1万通貨の売買が可能です。すなわち、1,000通貨で取引する場合は、数百円準備すればOKということになります。
とはいえ、数百円を入金する人は、ほとんどいないと思います。現実的には、「この場面は15,000通貨で取引したいなあ」という場合に、できるかできないか?の違いになるでしょう。
FXの場合、必要証拠金が大きいです。このため、1,000通貨で取引できるかどうかというのは、比較的重要な項目です。
一方、ノックアウトオプションは、少ない資金で取引可能です。よって、最小取引数量についてFXほどの重要性はないでしょう。
取引可能な通貨ペア
次の違いは、取引可能な通貨ペア数(銘柄数)です。
- FOREX.com:26通貨ペア
- IG証券:160種類
IG証券の160ですが、圧倒的な数字です。
ただし、通貨ペア数が160というわけではありません。株式や商品(金・原油)なども取引できるため、この数字になっています。IG証券のサービスの広さは、素晴らしいでです。
一方、FOREX.comの26という数字は、一般的なFX会社と同じくらいですから十分な数字です。
オプションプレミアムの扱い
オプションプレミアムを簡潔に説明するなら、保証料です。
FXと比べて圧倒的な資金効率を持ち、ノックアウト価格では絶対にスリッページしないで損切りできます。その結果、FXと違って「強制ロスカットで借金」があり得ません。
ユーザーに有利な仕組みですから、この仕組みを実現するための保証料が必要、ということです。このオプションプレミアムの扱いが、両社で異なります。
FOREX.com
IG証券
どちらが良いか?です。印象としては、IG証券の方が有利に見えます。なぜなら、ノックアウト価格以外で決済すれば、オプションプレミアムを支払う必要がないからです。
ところが、現在のIG証券は、チャート分析で少々厄介な問題があります。取引画面で確認しましょう。
IG証券の取引画面
下は、IG証券のノックアウトオプションの取引画面及びチャートです(PCの画面)。
今、米ドル円=106.718円で買おうとしています。為替レートは、上の画像の右上で「ブル(上昇)10671.8」とある部分で分かります。その他、以下の通りの設定です。
- ノックアウト価格:106.00円
- ロット数:1(1万通貨)
- 逆指値決済:35銭
- 指値決済:80銭
上のチャートで、為替レートは売りが106.712円、買いが106.718円です。
この例では、35銭の含み損で損切りするとします。すなわち、逆指値決済(損切り)のレートは、106.712-0.35=106.362円になっていると期待できます。
そして利食い幅は、80銭にします。指値決済(利食い)のレートは、106.712+0.80=107.512円になっていると期待できます。
実際にはどうなのか?です。上のチャート部分に、決済レートが表示されています。
- 逆指値決済のレート:106.388円
- 指値決済のレート:107.538円
期待した為替レートと、実際の決済レートが異なっています。それぞれ、2.6銭分だけプラスされています。この差こそが、ノックアウト・プレミアムです。
この点について、IG証券公式サイトの解説から引用した文章を確認しましょう(下の枠部分)。公式サイトの解説通り、決済レートにノックアウト・プレミアムが加算されています。
そして、ノックアウトレベルで損切りしなければ、ユーザーに返金される仕組みです。
ノックアウト・オプションの決済価格/購入価格は、原資産の売値/買値 とノックアウト価格の差に、ノックアウト・プレミアムを加えたものです。
ノックアウト・プレミアムは決済価格/購入価格に含まれており、ポジション保有時に支払ったプレミアムは、設定したノックアウト価格に到達せずお客様ご自身で決済された場合、お客様に払い戻されます。
ノックアウト・プレミアムが分かりづらい
この記事を読み進める途中で、嫌になって読むのをやめた方もいらっしゃるのでは?と思います。理解するには、ややこしい解説を必要としており、分かりづらいです。
また、ノックアウト・プレミアムがいくらなのか?それは、自分で計算しなければ分かりません。
相場が荒れるとき、プレミアムは大きくなるでしょう。その大きなプレミアムに気付かないまま取引してしまったら、どうなるでしょうか。
もしかすると、ノックアウトレベルで損切りしたら予想外の数字になるかもしれません。この場合、「あれ?どうなっているの…?」と困惑することになります。
スマホは確認可能
以上の通り、PC画面は少々分かりづらいです。その一方で、スマホ画面の場合、下の赤枠部分の通り、ノックアウトプレミアムの数字が表示されます。
ノックアウトプレミアムの数字が気になる場合は、スマホでの取引を優先しましょう
(なお、スマホでも、ノックアウトプレミアムが表示されないケースがあります。理由は不明ですが、お手元のスマホで表示されるかどうか、確認してください。)
どちらのFX会社を選ぶか
大きな違いや問題点は、以上の通りです。これを受けて、どちらのFX会社で取引するか?を考察しましょう。
IG証券
何といっても、取引可能銘柄数が圧倒的に多い点がメリットです。また、ノックアウト価格で損切りしなければ、ノックアウト・プレミアムの支払が不要なのも良い感じです。
ただし、ノックアウト・プレミアムがいくらなのか分かりづらいのが、デメリットです。
FXと全く同じ感覚で取引せず、発注前に「今のプレミアムはいくらかな?」と自分で計算できる余裕が欲しいです。
スマホを使う場合は、この煩雑さはありません。よって、スマホで取引するのが有力な選択肢になるでしょう。
FOREX.com
FOREX.comの場合は、プレミアムがスプレッドに含まれています。よって、FXと全く同じ感覚で取引しても、思いのほか大きな手数料でビックリ!という事例を回避しやすいでしょう。
(FXでも、相場の波乱時はスプレッドが広がります。FXの場合と同じ感覚でチェックすればOKです。)
慣れ親しんだFXと同じ感覚で取引したい場合は、FOREX.comが有力です。
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