お知らせ
追記時点(2022年11月21日)で、FTX Japanは営業を停止しています。
仮想通貨取引所FTX Japanで、米ドル円の現物取引ができます。
業界初またはそれに近い金融商品は、しばしば取引条件が良くありません。FTX Japanの米ドル円も同様ですが、流動性と新規参入業者が増えてくれば徐々に改善すると見込めます。そこで、取引条件や有効に利用できる場面などを確認します。
FTX Japanとは
FTX Japanとは、米国に本拠を置く仮想通貨取引所FTXの日本法人です。2022年に取引所Liquidを買収して日本市場に参入。その後、FTX本体も日本で営業開始。このため、取引サイトは2つあります。
- Liquid
- FTX Japan
このうち、米ドル円の現物取引ができるのはFTX Japanです。
FTX Japan の米ドル円取引条件等
繰り返しになりますが、新規サービスまたはそれに近いものは取引条件が良くありません。この記事では、ありのままの感想を書いていきますがdisっているわけでなく、取引できること自体素晴らしいです。取引が活発になって今後改善されることに期待です。
土日も24時間取引可能
最初にメリットを記載。土日も24時間取引可能です。
FTXは米国を本拠とする仮想通貨取引所ですから、ビットコイン円に加えてビットコイン米ドルの取引もできます。すなわち、ビットコインを仲介して円と米ドルの取引が可能です。
円 ⇔ ビットコイン ⇔ 米ドル
そしてビットコイン取引は24時間365日可能ですから、米ドル円も同様になります。土日は休日でFXをしたいのにできない!と残念な状態なのですが、もしかすると土日の取引に不自由しなくなる日が来るかもしれません。
現物取引
FXは差金決済取引です。すなわち、自己資金の25倍の金額まで取引可能です。一方、FTX Japanの米ドル円取引は現物です。このため、1,000ドル分取引したかったら1,000ドルを準備します。
外国為替は株式等と比べて値動きが大幅に小さく、レバレッジを使うことでその小ささをカバーできます。しかし、現物取引ではその考え方が使えません。小さい値動きで少しずつ利食いを狙うことになります。
米ドルの出金不可
現物取引なら米ドルを引き出せるよね?やった~!とはなりません。入出金に関する手数料一覧を見ますと米ドルの記載がなく、すなわち米ドルは入出金不可です。
というわけで、日本円で入金して米ドルを買い、円安で利食いをねらうということになります。売りからスタートできないのが痛いです。ただし、売りから全く取引できないわけではありません。
例えば、「ビットコイン円でビットコインを買い、その後ビットコイン米ドルで売って口座残高に米ドルがある」という場合です。この場合は、米ドル円の売りから始めて、円高になったところで米ドルに戻して利食い可能です。
とはいえ、この流れで取引するのは自然とは言い難く、相当なレアケースになりそうです。
閑散
ここは、デメリットの話になります。最大のデメリットを単語一つで表現するなら、「閑散」です。下の5分足チャートを見ますと売買が成立していない時間帯が長く、また、価格が大きく跳んでいる様子が分かります。しかも、縦軸の目盛りは5銭ごとです。
板
この閑散とした状況を板で確認します。FTX Japanは取引所ですから、FX業者の相対取引と違って板取引になります。
上のキャプチャは左から順に、Bid数量(USD)・Bid価格(JPY)・Ask価格(JPY)・Ask数量(USD)となっています。取引価格の最小単位が1銭になっていますから、スプレッドは最小で1銭であり、時折2銭以上に広がります。
FXの場合は0.1銭~0.2銭付近が多いですから、FTX Japanで取引するとスプレッドが10倍になります。
また、取引可能数量も極めて少ないです。上の板の状況で、FXと同じようなイメージで10,000ドルの成行売りをするとしましょう。すると、悲惨な結果になります。売りの平均約定価格はいったいいくらになるでしょうか。この板では判断できません。ずっと円高の為替レートで約定するでしょう。
波乱相場でどうなる?
また、相場の大波乱時にどうなるかも気になります。FXの場合、本当に大波乱になると取引画面に為替レートが表示されず、完全に取引不可能になります。そこまで大波乱でない場合は、為替レートが大きく跳んだりスプレッドが巨大になったりします。
では、FTX Japanの米ドル円ではどうなるでしょうか。その場になってみないと分かりません。これはメリットでもデメリットでもなく、その状態になるのを待って確認することになります。
窓の取引で有効な可能性
ここまで読んだ時点では、正直なところ積極的に米ドル円を取引したい感じではないでしょう。流動性が十分大きくなれば、スプレッドが大きいものの土日に取引できるメリットを生かせるかと感じるくらいです。
流動性が十分大きくなった後の話ですが、窓のトレードで有効に活用できるかもしれません。
窓のトレードとは、FXで金曜日の終値と月曜日の始値の差を狙う取引です。例えば、月曜日の始値が前週金曜日終値よりも円安の場合、なぜか月曜日は円高になる傾向があり、その逆も同様です。そこで、この性質を狙ってトレードできます。
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ゆったり為替は、窓埋めをひたすら研究していた時期がありました。 そこで、窓とは何か、窓が埋まる確率はどれくらいか、そして、どのようなトレード手法があるか、などを確認しましょう。 窓とは 窓とは、「週末 ...
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この窓埋めのトレードの最大の問題は、スプレッドです。月曜日始値付近は取引が閑散としているため、スプレッドがどうしても大きくなります。1銭なら御の字で、数銭以上になることが珍しくありません。
これだと、窓のトレードが有効だったとしてもスプレッドのマイナスが厳しく、期待通りのトレード成績を挙げるには神経を使います。
FTX Japanの米ドル円の流動性が拡充し、スプレッドが常に1銭に固定されるようになれば、窓のトレードで大いに活躍するかもしれません。FTX Japanのレードツールに時々ログインして、状況を確認していこうかと考えています。
ちなみに、本文中のFTX Japanのリンクをクリックすると、FTX Japanのホームページに移動します。そこで口座開設すると、取引手数料が5%割引になります。