為替レートを眺めていると、円高になるか円安になるか、判断が難しいです。
また、円安になるだろうと思っても、どこまで円安になる?という難題が待ち受けています。
そこで、ゆったり為替はこの難題にどのように立ち向かっているか、その方法をご案内しましょう。大損回避に効果があります。
どこまで円高・円安になるか、全体像を把握
ここでは、論点が二つあります。
- 円高になるか、円安になるか
- どこまで進むか
そこで、まず「どこまで」について確認しましょう。
どこまで円高・円安になりうるかを見るには、月足チャートを最初に見るのが分かりやすいです。その後、週足、日足…と、時間軸を短くしていきます。
この有効性を考えるために、逆にしてみましょう。すなわち、1時間足、日足、週足、月足の順に見ていきます。
米ドル円のチャート
下のチャートは、1時間足です。DMMFXからの引用です。上昇トレンドだな、と分かります。
とりあえず、高値の目標値は110円くらいに見えます。そこよりも上かもしれません。円高目途については、良く分かりません。108円台かなという感じです。
次に、日足チャートを見てみましょう。1時間足とは、イメージが少し異なります。
どこまで円安になるか、良く分かりません。どんどん円安になるようにも見えます。一方、円高目途は105円台に見えます。
1時間足の場合、安値目途は108円台かな?という感じでしたので、3円も違います。
次に、週足を見ましょう。上昇トレンドと呼べるか、少々怪しい形になっています。1時間足や日足と比べて、印象は大きく異なります。
どこまで円安になるでしょうか。115円くらいまで?でしょうか。円高目途は104円台かな、という感じに見えます。
最後に、月足です。1993年以降の表示にしました。
円安は150円近く、円高は75円くらいまでという範囲になります。今までとは圧倒的にスケールが異なります。
焦点がぼやける
上の例のように、短い時間軸から大きな時間軸を見ていく場合、頭の切り替えが難しくなります。
円高目途について見ていきましょう。
- 1時間足:108円台?
- 日足:105円台?
- 週足:104円台?
- 月足:75円台
時間軸を大きくするにつれて、現在値から遠く離れていきます。すなわち、次第に現実味がなくなる数字が出てきますので、焦点がぼやけてきます。
また、実際にトレードする際には、現在レートに戻る必要があります。
現在値から思考を始めて、月足の遠いレートを眺めて、再び現在値に戻って…とやっていると、やはり焦点がぼやけてしまいます。
大損の可能性も
また、1時間足や日足だけで考えると、大損になる可能性もあります。
例えば、日足で考えていて、米ドル円=105円が円高目途だろうと考えて買ったとします。ところが、円高に反転しました。
105円を割り込んだ場合、焦ります。なぜなら、円高目途を越えてしまったからです。
元々想定していなかった状態なので、頭が混乱します。本来は損切りすべきですが、できないかもしれません(確定損にしたくない&頭が混乱しているから)。
慌てて長期チャートを見て、どこまで円高になるか調べます。しかし、含み損を抱えた状態ですので、適切な判断を下すのは困難です。
こうして、損切りすることもできず、円高で含み損が増えていき、最終的に大損になる可能性があります(2007年当時の、ゆったり為替のように)。
あるいは、ポジションを持っていない場合には、想定外の事態に対応できず、売らずにチャートを眺めるだけになるかもしれません。
長期足から順に見る
以上の混乱や損失を回避するために、長期足から順に確認します。すると、円高・円安どちらに進むにしても、動きうる範囲の把握が容易になります。
月足チャートから順に確認しましょう。
月足チャート
上の月足チャートを見ますと、円高は75円まで、円安は150円弱までだと想定できます。
株式に比べると、値動きの範囲が圧倒的に狭いことが分かります。よって、精神的な余裕を持つことが可能です。
- 1日で10円動くことは、極めて稀
- 倒産(?)して0円になることは、まずない
視野を広く保ち、心の余裕を確保します。
そして、良く見ますと、米ドル円=100円あたりに、相場の壁があることが分かります。
相場の壁とは、明確な理由は不明ながら、その場所まで為替レートが動くと、なぜか反発したり反落したりしやすいという部分です。
米ドル円の場合、相場の壁は米ドル円=100円だと分かります。よって、これから取引する場合、以下の方針が出来上がります。
- 売る場合、どんなに頑張っても100円あたりで利食い
- 買う場合、どんなに頑張っても100円あたりで損切り
実際には、米ドル円=100円は遠すぎると感じるでしょう。そこで、週足や日足にチャートを変えて、さらに精査していきます。
週足チャート
次に、週足チャートにしてみましょう。どこまで円高に進むか、おおよその目途を探ります。
すると、104円台が見えてきます。下のチャートで、104円台を記録したのが2回あると分かります。104円が実現すると、なぜか反発しています。
よって、月足では米ドル円=100円を円高の目途としていましたが、週足で104円に修正できます。
このようにして、どこまで円高になりうるか、円安になりうるかについて、徐々に絞っていきます。
取引開始後、為替レートが円高目途を越えて進むとしても、慌てることがなくなります。なぜなら、既に月足でも下値目途を確認済みだからです。
慌てないとはすなわち、適切に行動しやすくなることを意味します。
なお、日足、1時間足、と時間軸を短くしていきますが、どこまで短くすべきか?です。これは、トレード手法次第だと言えそうです。
月足チャートでトレードする場合は、週足まで見ておけば十分と思います。日足チャートで取引する場合は、日足~月足の範囲で大丈夫だろうと思います。
DMMFXの長期チャート
ここで少々余談です。今回、DMMFXのチャートを使用しています。
DMMFXの米ドル円チャートは、1986年以降の表示が可能です。ここまで長期のチャートを使うことは、滅多にないでしょう。
とはいえ、1990年代前半以降のチャートを見られるのが、とても助かります。
円を含むチャートは、バブルまでとその後で、トレンドが大きく変わりました。よって、1990年代前半以降を見ておくと、最大値と最低値の想定が容易になります。
ゆったり為替のトレード
ゆったり為替の場合、全然勝てない頃、日足を中心に見ていました。
何らかの手法でトレードチャンスを探り、どこまで円高・円安になりうるかを考えてトレードします。
しかし、時々、大きな値動きがあります。年初来安値や高値を越えて、どんどん進むことがあります。すると、日足で想定していた範囲を超えることになります。
事前の準備が不十分ですので、簡単に負けていました。
週足や月足を眺めだしてから、成績が安定してきました。全体像を把握しているためです。
ただし、これはゆったり為替限定かもしれません。デイトレードやスキャルピングで成功している人にとって、週足や月足なんて考えたこともないという感じかもしれません。
日足を中心にしているけれど、成績が良くないという場合があるでしょう。
そのとき、視野を広く持つという意味を込めて、週足や月足を眺めて見ると、何かヒントが見つかるかもしれません。
円高になるか、円安になるか
以上が、どこまで円高・円安になるかという考察です。次に、今後は円高になるか、それとも円安になるか?です。
正直なところ、これは分かりません。
様々な人が、今後は円高だ、いや円安だ、と予想を発表しています。予想なので、どのように意見表明しても自由です。予想が間違っていても、問題になりません。
よって、「自分はどう考えるか?」が最も重要になります。
ゆったり為替の場合
ゆったり為替の場合、予想することは多くありません。チャートの動きについていくという感じです。
すなわち、円高になったら円買い、円安になったら円売りです。
下のチャートは、月足に白の補助線を2本追加したものです。いわゆるペナントができています。
もうすぐ、為替レートはペナントの先に到達します。その後、円安または円高に進むというのが、教科書的な考え方です。
そこで、円安に進むなら米ドル円を買い、円高なら米ドル円を売るという選択肢になります。
この判断において、予想をしていません。為替レートの動きについていくだけです。
円安の場合は、最大で125円くらいかな…などと目途を付けます。そして、104円台になったら損切りかな…と目途を考えます。
月足で考えているので、利食いになる場合も損切りになる場合も、とても大きな数字になります。
そこで、精査するために、週足・日足…と進んでいきます。
まとめ
最後に、簡潔にまとめます。
- 月足から順に見て、天井と底を徐々に狭める
- 実際のトレードは、自分が得意とする足で
- デイトレードやスキャルピングの場合、今回の記事は使えないかも
小さな足から大きな足に動くよりも、楽にチャートを考えることができます。