トレードをしていて嫌なことは何でしょうか。少なくとも2つあると思います。
- トレードチャンスがない
- 損切り
トレードチャンスがなければ、取引できません。チャンスが来るまで待つのですが、待つのは苦痛です。かといって、無理にトレードして損切りになるのも嫌です。
今回は損切りに焦点を当てて、「損切りしないトレード手法」を考察します。損切りなしでも、長期的に見ればトレード可能です。
損切りが必要な理由
最初に、通常は損切りが必要な理由を確認します。損切りが必要な理由は、1回の取引で回復不可能な損になりうるからです。
例えば、米ドル/円を110円で1万通貨買って、110.50円で利食いするとします。5,000円の利食いです。2回繰り返せば1万円です。
ところが、期待外れで円高になったとします。復活を期待して待っていたところ、円高が進んだとします。
- 100円になったら、含み損は10万円
- 90円になったら、含み損は20万円
- 80円になったら、含み損は30万円
利食いを繰り返したとしても、簡単に吹き飛んでしまう巨大な損です。利食いで得た金額の10倍以上の損を、計上してしまうかもしれません。
たった1回の損失なのに。
このような失敗を防ぐために、傷口が広がる前に損切りが必要です。
損切りしないトレードの考え方
とはいえ、含み損が巨大化しても、上の失敗を回避できるなら損切り不要、ということになります。例えば、下の長期チャートは、米ドル/円です(マネーパートナーズから引用)。
1995年以降を表示しています。2008年のリーマンショック後、75円台になりました。しかし、再び円安になった様子が分かります。
円高になっても損切り不要な状態にすれば、いずれ円安に戻るからOK。そんな考え方ができるなら、損切り不要です。
冒頭の例で、含み損が大きくなった時に困った理由を考えますと、いくつかあるでしょう。
- 利益よりも損失が大きい
- 超円高を想定していない
- 超円高になるときの含み損に耐えられない
この3つが同時に解決できれば、損切りしないトレードが可能です。
利食いできれば、そのトレードは成功です。利食いできずに含み損が巨大になっても、損切りしないで何年も待って、再び円安になったら利食いすればOKです。
また、ポジションを持って待っている間、スワップポイントをもらえます。悪くない考え方です。
損切りしないトレード手法
米ドル/円を買う取引を例にして、考えます。損切りしないトレードです。
取引範囲を決める
最初に、過去の円高記録を確認します。米ドル/円の場合、およそ75円です。そこで、最大の円高目途を仮に75円とします。
目途なので、70円や65円でも構わないでしょう。
そして、米ドル/円が120円よりも円安になったら、買いの取引はもうしないと想定したとします。すなわち、買いで勝負する範囲は、75円から120円までです。
45円もあるので、とても広い範囲です。
投資資金を分割
次に、投資資金を確認します。仮に100万円としましょう。100万円で、45円の範囲で取引します。以下の通り、投資資金を分割するとしましょう。
- 110円~120円の範囲:30万円
- 100円~110円の範囲:25万円
- 90円~100円の範囲:20万円
- 80円~90円の範囲:15万円
- 75円~80円の範囲:10万円
円安になるほど、多くの予算を割り当てました。といいますのは、円安の時に買ってから記録的な円高になると、含み損が大きくなります。
その含み損に耐える資金が必要です。
円高のときに買って、さらに円高になる場合は、さほどの含み損ではありません。そこで、予算の割り当ては少なめでOKです。
買いのトレード実行
準備が完了しました。お好みのインジケータなどを使って、自由に買い、利食いします。
例えば、115円で1,000通貨買ったとします。そして運悪く、その後75円まで円高になったとします。この時の含み損は4万円です。
すなわち、買った後に利食いできずに円高になっても、4万円あれば何とかOKという計算になります。
そして、米ドル/円=110円~120円に割り当てた予算は30万円ですので、7つ~8つのポジションが含み損になっても、放置できます。
10円の範囲で含み損ポジションが8つで済むように、余裕をもって買います。
円高が進んだら
110円よりも円高になったら、次の予算を使って、自由に買います。110円~120円で買ったポジションは、放置します。
ずっと放置すれば、(年単位になるかもしれませんが)そのうち利食いできるという考え方です。その間、スワップポイントをもらいます。
利食いが進んだら
損切りしないで利食いだけするわけですから、証拠金が徐々に増えていきます。含み損はあるかもしれませんが、含み損ポジションはスワップポイントを生んでくれます。
では、証拠金が徐々に増えてきたら、どうしましょうか。いくつか案があります。
割り当て予算を増やす
米ドル/円=110円~120円の予算は、30万円です。利食いで得た資金を、ここに配布します。予算が35万円になれば、それだけ取引可能数量も増えます。
ただし、110円~120円に割り当てる予算を増やしすぎて、その後に円高になると、含み損が大きくなって面白くありません。
他の価格帯にも予算配分しながら、バランスを取ることになります。
銀行に戻す
今回、銀行口座から100万円を入金して、FXを始めました。すなわち、自分の大事なお金をリスクにさらしています。そこで、徐々に銀行に戻していきます。
こうすれば、仮に最終的に損になっても、ダメージを緩和できます。
この手法が破綻するとき
この方法は、損切りしないのに、安全度がとても高いです。しかし、100%安全というわけでもありません。そこで、この方法が破綻する例を確認しましょう。
米ドル/円=50円になるとき
50円でなくても、40円でも30円でも構いません。要するに、想定を大幅に超える円高が実現する場合です。このときは、損切りで終わるでしょう。
そこで、利食いを繰り返したら、資金を少しずつ銀行口座に戻すのが対策になります。
今回の例の場合、100万円以上を戻せたら、どれだけ円高が進行しようとも、そのトレードは勝利が確定します。
スワップポイントが継続的にマイナスになるとき
米ドル/円を買う場合のスワップポイントが、継続的に大幅マイナスになる場合も、厳しいです。
ただ、そういう状況になるか?と考えると、近い将来にそうなる可能性は低いのでは?と予想できます(将来のことなので、確定的には書けませんが)。
以上、説明が長くなりましたが、損切りしないトレード手法として検討できるでしょう。
備考
なお、馴染み深いという理由だけで、米ドル/円を選んで解説しています。米ドル/円の場合、取引の範囲がとても大きくなります。すなわち、必要な証拠金が大きくなります。
取引の範囲を狭くできる通貨ペアを選ぶと、資金効率が良くなります。
また、このトレードの天敵は「飽き」です。利食いばかりすると、飽きてしまうのです。トレードは、利食いすることもあるし損することもあるから面白いです。
利食いばかりでは、楽しくありません。しかし、これはぜいたくな悩みです。
どのFX会社が良いか
このトレード手法は、インジケーターや通貨ペア等の制限がないので、どのFX会社を使っても構いません。
しかし、含み損になっても放置するという性質上、最低取引数量が1万通貨だと大きな資金が必要になります。よって、最低取引数量は1,000通貨以下が良いでしょう。
資金が潤沢でないという場合は、100通貨からの取引が選択肢になります。100通貨から取引可能と言えば、マネーパートナーズ【FXnano口座】です。
リピート系FX(連続予約注文)も可能ですので、裁量トレードと併用しながら損切りしないトレード手法を実践することも可能です。
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