2017年頃、ビットコイン擁護派と懐疑派の間で、いくつもの論点が議論されていました。
そのうちの一つは、「ビットコインは金(きん)の代わりになるか」です。
ビットコインと金(きん)
金は、資産保全や資産防衛の手段として使われます。
2017年頃を中心に、ビットコインも同じように使えるのではないか、さらに言えば、金はもう不要でビットコインがあれば良いのでは?という話が盛り上がっていました。
懐疑派は異論を唱えます。しかし、どちらの意見にも決定打がないので、議論は平行線に終わりました(おそらく)。
しかし、少なくとも現時点においては、「ビットコインは金の代替資産ではない」と言えそうです。
こういえる理由は、2点です。
- チャート(価格推移)
- 使い勝手
順に、見ていきましょう。
金(きん)のチャート
2020年は、激動の年です。
1月早々から、アメリカとイランの軍事対決が表面化しました。第三次世界大戦を危ぶむ人もいるくらいでした。
結局、全面的な衝突は回避され、事態は沈静化しました。
しかし、ほどなくして、新型コロナウイルス問題が世界中を駆け巡りました。この記事を投稿した時点で、まだ収束していません。
株価は大暴落です。
今なら、ビットコインが金の代替資産として機能するかどうか、確認できます。そこで、チャートを比較してみましょう。
下は、金の週足チャートです。IG証券からの引用です。
チャートの中ほど、2018年後半を底にして、継続的な上昇トレンドになりました。
そして、2020年です。1月のアメリカ・イランの衝突が起きても、上昇トレンドに変化がありません。
2月以降、新型コロナウイルス問題が注目を浴びると、価格は乱高下を始めました。しかし、週足チャートのトレンドを変えるまでには至っていません。
依然として、上昇トレンドを維持していると判定できます。
ビットコインのチャート
次に、ビットコインの週足チャートを確認しましょう。bitbankからの引用です。
金のチャートとは形が異なることが分かります。
注目したいのは、チャートの一番右です。
新型コロナウイルス問題を受けて、100万円以上を推移していたビットコイン価格は、一気に50万円になりました。
すなわち、危機の発生を受けて、価格は半分以下になったということです。
金の代替資産だと言えるためには、イザという時に価格が安定して欲しいです。あるいは、価格が下落するとしても、価格下落ペースは株式等よりも緩やかであって欲しいです。
しかし、ビットコイン価格は、半値以下になりました。
日経平均株価のチャート
下落の大きさを比較するために、日経平均株価の月足チャートをご覧ください(日経新聞ホームページから引用)。
2020年になり、株価は24,000円から急落しました。そして、この記事を執筆している時点では、17,000円前後で推移しています。
下落率は30%くらいです。
すなわち、ビットコインは、株式よりもリスク資産であるという評価で良さそうです。
価格推移の観点から見ると、(少なくとも現時点において)ビットコインは金の代替資産にならないと評価できます。
使い勝手の悪さ
ビットコインは金の代替資産にならないと痛感したのが、使い勝手の悪さです。
2017年~2018年だったか、ブームに乗ってハードウェア・ウォレットを入手しました。ビットコインを手元で保管するためです。
しかし、ビットコインをたくさん持っているわけではありません。使ってみようというだけです。
今回の記事を書くにあたり、ふと思い出して、ハードウェア・ウォレットを起動してみました。
「ん…動かない。」
この瞬間、少々焦りました。少額とはいえ、自分のビットコインがしばらく使用不可能になったかもしれないからです(復活手続きは面倒くさい…)。
ハードウェア・ウォレットのバージョンアップ
使えなかった理由は、簡単でした。バージョンが古かったのです。
ビットコインは、プログラムの塊です。そして、プログラムは、どんどん進化します。すなわち、ハードウェア・ウォレットもバージョンアップします。
では、バージョンップしましょう…どうやって?
というわけで、ウェブサイトを検索して回りました。久しぶりに触るので、使い方を完璧に忘れていました。
あちこち調べて、そのサイト情報が信頼できることを確認して、ゆっくりと操作しました。
その結果、バージョンアップできたのですが、同時に気付きました。「こんな作業が必要なビットコインが、金の代替資産になるなんて不可能でしょ!」と。
多くの人が簡単に使えなければならない
金の代替資産になるには、誰でも気軽に使えることが必要です。ウェブサイトで調べて…の時点で、おそらくダメです。
この点は、ハードウェア・ウォレット開発が進めば、解決する問題かもしれません。
少なくとも現時点では、使い勝手の悪さという理由で、金の代替資産にはなり得ないと言えそうです。
なお、取引所で保管すれば、この種の手間は不要です。
自分で自分の資産を管理するという視点を放棄しても良い、という場合は、使い勝手の悪さを無視できそうです。
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