仮想通貨の取引所は、世界中にあります。2017年5月、大手の取引所であるPoloniexが、特定の仮想通貨を上場廃止にすると発表しました。
さて、上場廃止になった仮想通貨は、その後どうなったでしょうか。確認しましょう。
上場廃止とは
順番としては、上場廃止の前に、上場を確認した方が分かりやすいです。上場とは、ある仮想通貨が、特定の取引所で売買できるようになることです。
上場廃止とは、逆の意味です。すなわち、いままで取引所で売買できていたのに、今後は取引できなくなるということです。
上場廃止になった仮想通貨を取引したいと思えば、上場を継続している別の取引所で売買します。
ということは、上場している取引所が1つだけの状態で上場廃止になってしまったら、大変です。事実上、取引が不可能になってしまいます。
というわけで、上場廃止は、仮想通貨の衰退を意味します。利害関係者にとって、大変厳しい状態です。
上場廃止になった仮想通貨
下は、Poloniexのツイッターです。いくつもの仮想通貨の取扱いを終了する旨、公開しています。
On May 2, 2017, the following will be delisted: BBR, BITS, C2, CURE, HZ, IOC, MYR, NOBL, NSR, QBK, QORA, QTL, RBY, SDC, UNITY, VOX, XMG
— Poloniex Exchange (@Poloniex) 2017年4月19日
どこかの時点でツイートが消えるかもしれませんので、下に転記します。
取引所はボランティアではありませんから、取引量があまりに小さかったり収益貢献がなかったりすれば、取扱終了もやむなしといったところでしょう。
上のツイートの中では、個人的にCUREに期待していたので少々残念です。
仮想通貨の価格動向
さて、上場廃止になる仮想通貨の運命は、どうなるでしょうか。
FXでもそうですが、マイナーな仮想通貨が上場廃止になると、取引できる場所がなくなってしまう可能性があります。
そして仮想通貨の場合、取引できなければ価格は暴落するでしょう。
といいますのは、取引できない仮想通貨を持っていても意味がほとんどないため、保有者としては、上場廃止になる前に損してでも売却したいからです。
というわけで、上場廃止が告知された仮想通貨のチャートを、日足で確認しましょう。全てPoloniexからの引用です。
例として、CURE/BTCとHZ/BTCを掲載しています。
チャート右端部分で、いきなり暴落している様子が分かります。これは、早く逃げようとして大勢が売ったからでしょう。
仮想通貨の価格上昇に乗ってイケイケだった保有者にとって、まさに天から地へ突き落されたような感じかもしれません。
このように、マイナーな仮想通貨を買って保有する場合は、取引所が取り扱いを止めるリスクを考える必要があります。
その点、ビットコインやイーサリアムだったら、心配しなくて良いと思います(100%確実とは言えませんが)。
2019年12月時点のチャート
上の2つの仮想通貨について、2019年12月現在のチャートはどうなっているか、確認しましょう。
下は、CURE/BTCのチャートです。上場廃止が公表された、2017年5月以降のチャートです(Coinmarketcapから引用)。
上場廃止後、価格が乱高下している様子が分かります。その後、価格が次第に下落し、今にもゼロになってしまいそうな状態で推移しています。
この間、仮想通貨全体で価格が下落しました。よって、上場廃止だけが原因だと言えないでしょう。しかし、少なからず影響があったと予想できます。
なぜなら、Poloniexという、世界的に有名な取引所から排除されてしまったのですから。
では、もう一つのHZ(Horizon)はどうなったでしょう。こちらは、仮想通貨として既に存在していないようです。
と言いますのは、仮想通貨を何千種類と掲載しているサイト「Coinmarketcap」で、HZのデータが削除されているためです。
念のため、HZの公式サイトにアクセスしたところ、ワクチンソフトが反応しました。「4つのウィルスに汚染されているから、アクセスしてはいけません!」という警告です。
危ないので、アクセスできません。どうやら、HZは文字通り消滅したようです。
マイナー仮想通貨の投資戦略
上の様子を見ますと、仮想通貨について特定の戦略があるな…と気づきます。3つの方法です。
- (可能なら)上場廃止アナウンスが出た仮想通貨を空売り
- 上場しそうな仮想通貨を、長期保有する
- 上場直後に買って保有
上場廃止アナウンスが出たら売るというのは、自然な方法です。ただし、相場が大きく荒れると予想されますので、上手にサーフィンできるか?という問題があります。
下側2つの戦略は、上の方法の反対です。「大手から上場廃止で暴落なら、逆に、大手に採用されれば上昇するのでは?」ということです。
期待通りに大手取引所で新規採用されれば、一時的かもしれませんが価格の上昇を期待できます。
ただし、実際に上昇するかどうかは、その時になってみないと分かりません。よって、ギャンブル的要素がある方法です。
また、多くの取引所で採用されているメジャーな仮想通貨については、新規上場しても、価格は大して変化しないかもしれません。
よって、ほとんど上場していないような仮想通貨が採用されたときに、検討できる方法です。
しかし、そのような仮想通貨はどれなのか、事前に探せるか?という問題があります。
そこで、新規上場する仮想通貨を探すのではなく、「新規上場に意欲的な取引所で口座を作って、じっと待つ」のが現実的な対応になります。
日本の取引所で、新規上場に意欲的なのは?
世界には、何千もの仮想通貨が流通しています。
そして、色々な仮想通貨に挑戦したいけれど、取引するなら日本の法律を守る会社がいいよね…というのは、自然な発想だと思います。
日本の会社なら、照会等を日本語でできるので安心です。仮に取引所がハッキングに遭っても、過去の例を見る限り、取引所が損失を補償してくれるようです。
coincheck(コインチェック)
この視点から考えるとき、最多水準の仮想通貨を扱っている会社として、coincheck(コインチェック)を挙げることができます。
全部で15通貨を取り扱っています。多くの場合、名前が良く知られた仮想通貨です。
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- イーサクラシック(ETC)
- リスク(LSK)
- ファクトム(FCT)
- リップル(XRP)
- ネム(XEM)
- ライトコイン(LTC)
- ビットコインキャッシュ(BCH)
- モナコイン(MONA)
- ステラルーメン(XLM)
- クアンタム(QTUM)
- ベーシックアテンショントークン(BAT)
- アイオーエスティー(IOST)
- エンジンコイン(ENJ)
一般的に、日本の取引所では(おそらくは法規制の問題で)新規上場する仮想通貨がなかなか出てきません。
そんな中、コインチェックは、2019年11月にステラルーメン(XLM)を上場し、2020年にはクアンタム(QTUM)、ベーシックアテンショントークン(BAT)、アイオーエスティー(IOST)を立て続けに上場しました。
さらに、2021年に入っても、Enjin Coin(ENJ)の新規上場です。今後も、積極的に新規上場に動いてくれるのでは?と期待できます。
なお、上場したら値動きはどうなった?という過去事例につき、下の記事で検証していますのでご確認ください。
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