ゆったり為替はビットコインなどの仮想通貨で、スキャルピング取引をしていました。
そこで、その手法をご案内します。
仮想通貨の特徴を生かしたスキャルピング
具体的な手法の話に入る前に、前提となる前置きを確認します。この知識があると、手法の理解が進みます。
特徴:板取引と相対取引
ビットコインなど仮想通貨は、取引方法が2種類あります。すなわち、板取引と相対取引です。これは極めて珍しいです。
板取引(取引所)
板取引の代表例は、株式投資です。各銘柄の取引画面では、注文価格と数量がズラッと並んだ表が出てきます。「板(いた)」です。
板取引では、市場参加者同士が取引します。運営者は、取引市場を管理します。
下の板は、GMOコインからの引用です。様々な注文価格と発注数量が並んでいることが分かります。
なお、仮想通貨の取引所と株式市場の取引所は、正確には仕組みが異なります。しかし、私たちユーザー視点から見ますと、ほぼ同じとみなして取引できます。
板取引方式で売買する場所を、取引所と呼びます。
相対取引(販売所)
一方、相対取引とは、FX(外国為替証拠金取引)などでも採用されている取引方法です。
業者が、売値と買値を提示します。その価格を見ながら、投資家は買ったり売ったりします。板取引と比べて、すっきりとした価格提示画面になります。
下はGMOコインの取引画面です。左側で、買いたい仮想通貨を選択します。すると、右側に購入価格と売却価格が表示されます。
ビットコイン以外の仮想通貨も、取引できます。相対取引で売買する場所を、販売所と呼びます。
ちなみに、板取引と相対取引の例として、両方ともGMOコインから引用しました。数多くの仮想通貨について、両方の仕組みで取引できる業者はとても珍しいです。
板取引と相対取引の決定的な違い
この板取引と相対取引ですが、決定的に異なる点があります。
- 板取引:価格を決めるのは、取引所に参加しているユーザー
- 相対取引:価格を決めるのは、運営業者
これが、今回のスキャルピング取引にとって極めて重要です。
例えば、ビットコインについて、GMOコインの販売所での価格を確認しましょう(上の画像の価格です)。
- 購入価格:912,447円
- 売却価格:880,447円
この価格は、GMOコインが決定します。912,447円と提示されている価格で買えます。すなわち、880,447円で買うことはできません。
880,447円というのは売値であって、買値ではないからです。ビットコイン価格は徐々に変化していきますから、価格下落を待つしかありません。
しかし、板取引の場合は異なります。
- 最低の売り注文:897,106円
- 最高の買い注文:896,806円
最も安い売値は、897,106円です。そして、最も高い買値は896,806円です。よって、897,106円で買うことができますが、同時に、896,806円で買うことも可能です。
なぜなら、ユーザーの中には、今すぐにビットコインを売りたい!という人がいるからです。
今すぐ売りたいという人は、成行(なりゆき)で売るでしょう。すなわち、上の板でいえば、896,806円で売ることになります。
897,106円でしか買えないかと思いきや、安い価格の896,806円でも買える、ということになります。
板取引と相対取引では、この差が大きいです。これを利用してスキャルピングをします。
取引所でスキャルピング
では、取引所(板取引)でスキャルピングをしましょう。手法自体は、とても簡単です。
手順1:最も高い買値付近で買う
最初に、板情報を見て、最も高い買値付近で買います。可能なら、自分の買い注文が最も高い価格になるようにします。
すると、買いやすくなります。
売買が比較的活発な場合は、現在の最も高い買値と同じ価格で買い注文を出しても良いでしょう。
手順2:最も安い売値付近で売る
期待通りに仮想通貨を買えたら、即座に「最も安い売り注文」付近で売ります。期待通りに売れれば、利食いできます。
手順1と手順2で重要度が高いのは、手順2の売却です。
なぜなら、手順1で買えなかったとしても、損しないからです。「買えなくて残念!」というだけです。次の機会を狙います。
一方、手順2で売る場面では、そうはいきません。既に仮想通貨を持っていますから、気合で売り抜ける必要があります。でないと、含み損に転落する可能性があります。
よって、買い注文は特定の価格でじっくり狙い、売り注文は売却することを重視します。
取引例
では、実際の板情報を見ながら、取引例を考えます。ライトコインの現物取引です。
赤枠部分、5,920円で売り注文が出ています。そして、青枠部分、5,859円で買い注文が出ています。そこで、5,859円付近で買って、5,920円付近で売ることを狙います。
仮に、5,859円で買って5,920円で売れた場合、差額は61円です。取引価格と比較して、1%を少し超えるくらいです。
この例では、スプレッドは1%くらいですが、スプレッドは広い方が望ましいです。利幅が大きくなりますし、その分だけ利食いの成功確率を上げることができます。
取引所スキャルピングのコツ
なお、この手法で利食いを繰り返すには、いくつかのコツと言いますか、留意事項があります。順に確認しましょう。
スプレッド
この取引は、「最も安い売値と最も高い買値の差」すなわち、スプレッドを利用します。
よって、スプレッドは広い方が良いです。スプレッドが広ければ広いほど、1回の取引での利幅が大きくなります。逆に、スプレッドが狭ければ狭いほど、取引が難しくなります。
この点で見ますと、ビットコインは難しいです。
ビットコイン価格の高さに比べて、スプレッドが狭いからです。そこで、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)を狙うことが多くなるでしょう。
売買の活発さ
また、売買の活発さも、ある程度必要です。
1時間に1回しか売買が成立しないような、閑散とした仮想通貨があるとしましょう。この場合、期待通りに買えても、希望価格で売れるかどうか、心もとないです。
1時間のうちに相場が大きく急落するかもしれません。この場合、含み損を抱えてしまいます。
かといって、頻繁に売買が成立するような仮想通貨だと、スプレッドは狭くなりがちです。適度なスプレッドと適度な売買頻度。これが必要です。
取引前に、取引所の売買履歴やスプレッドを眺めて確認しましょう。
チャート
この取引では、チャートの重要性は低いです。板情報に集中します。しかし、無視して良いかと言えば、そうでもありません。
例えば、チャートが上昇トレンドだったとしましょう。この場合、最初買うときに苦労するかもしれません。
「最も高い買値」が徐々に上昇してしまうからです。かといって、あまりに高い価格で買うと、売るときに困るかもしれません。
逆に、チャートが下落トレンドの時は、買うのは簡単でしょう。
しかし、売るときに少々苦労するかもしれません。「最も安い売値」が徐々に下落してしまうからです。利幅を得られる範囲で早く売らないと、損になってしまいます。
そこで、望ましいチャート形状は、レンジです。
レンジとは、仮想通貨価格が一定の範囲内で動いている状態です。レンジだと、価格が継続的に上昇(または下落)し続けて困った、という状況を回避しやすくなります。
bot(ボット)
そして、少々厄介なのがbotです。botとはすなわち、自動売買プログラムです。取引所によっては、自由にプログラムを組んで売買できます(プログラミング技術が必要ですが)。
ゆったり為替が遭遇したボットは、以下の通りです。
「最も高い買値の少し高値に、買い指値注文を出す」
これが厄介です。今回のスプレッドを狙う取引の場合、最も高い買値で買うと有利です。そこで、狙います。すると、botがその上に買い注文を出してしまうのです。
すなわち、買い注文が成立するとしても、botの次に買うことになります。その分だけチャンスが減りますので、面白くありません。
bot撃退策
このbotに対しては、以下の方法で撃退しました。
「最も安い売値の少し下に買い注文を出す」
すると、botはさらに高値で買い注文を出します。なぜか高い買い注文が出ている!というわけで、売りたい人が売ってくれます。
すなわち、botの買い注文は高値で約定します。botを撃退してから、本来の買い注文の位置で取引しました。
ただし、これがいつも成功するとは限りません。ダミーだったはずの自分の買い注文まで約定する場合があります。高値で買い指値をしているので、少々痛いです。
よって、肉を切らせて骨を断つ、という感じの方法になります(こうして記事にすると、botを作る人は対策を練るのかな…と思いますが)。
取引所スキャルピングに向いた取引所
次に、この手法に向いた取引所を考えましょう。
ビットコインはスプレッドが狭くなってしまいましたので、この手法は使いづらいです。そこで、ビットコイン以外の仮想通貨取引所が狙い目です。
- アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)を売買できる取引所
また、取引が一定の活発さを持っている必要があります。あまりに活発すぎても困るというのが、この手法の特徴です。
しかし、取引が活発な取引所といっても、24時間ずっと活発ということはないでしょう。また、取引はそこそこあるのに、なぜかスプレッドが広めで推移している、そんな場面もあります。
そこで、取引量については、閑散でないという条件でOKでしょう。
- 取引があまりに閑散としていないこと
以上を満たす取引所の例として、以下があります。
- ビットポイント
- GMOコイン
- bitbank
いずれも、金融庁登録済みの合法な業者です。
現物取引とレバレッジ取引
なお、この方法ですが、現物取引でもレバレッジ取引でも可能です。どちらかに限定しません。ということは、レバレッジ取引の方が有利かもしれません。
なぜなら、レバレッジ取引は、売りからでも取引できるからです。
・買ってから売却して、利食いを狙う
・買ってから売却して、利食いを狙う
・売ってから買い戻して、利食いを狙う
GMOコインの場合、現粒取引に加えてレバレッジ取引もできます。すなわち、ある仮想通貨について、全部で3つの取引パターンがあることになります。
(現物取引が1つと、レバレッジ取引が2つ。現物取引とレバレッジ取引では、異なる板を使います。)
レンジだけれど、価格はやや下落気味かな…という場合、レバレッジ取引の売りで取引するのが良さそうです。
最初の売りが難しいかもしれませんが、価格が下落基調ということは、買い戻しが楽になります。表現を変えれば、買いで取引するよりも、損切りになる可能性を減らせそうです。
相場状況によって、取引を柔軟に選択できます。
手数料にも注意したい
あれやこれやと書いていますが、もう一つチェックしたいのは、取引手数料です。GMOコインを使うと、「手数料をもらえる」取引ができます。
無料
・メイカーの場合:△0.01%
・テイカーの場合:+0.05%
GMOコインのレバレッジ取引手数料は、無料です。素晴らしいです。
そして、現物取引をする場合、「メイカー」になると、取引手数料をもらえます。支払うのではなく、もらいます。大きなメリットです。
メイカーとは
では、メイカーとは何だ?ですが、板情報に自分の発注情報を載せる注文方法です。
下に、GMOコインの板を再掲します。買い注文や売り注文が、たくさん並んでいます。この表に自分の注文を載せると、メイカーです。
例えば、最も安い売り注文(青で書かれた価格のうち、一番下のもの)は、897,106円です。この注文を提示するのがメイカーです。
そして、「表示されている897,106円で買ってあげる」という取引をするのが、テイカーです。テイカーは、少しですが取引手数料を支払います。
今回のスキャルピングでは、主にメイカーで取引します。よって、売買益を狙うとともに、取引手数料をもらえます。
仮に、売買益がゼロ円だったとしても、取引手数料でプラスにできます。
取引所利用時の注意事項
最後に、仮想通貨取引所を利用するにあたり、注意事項があります。それは、各取引所はスキャルピングを推奨しているわけではない、ということです。
(システムに負荷がかかるでしょうし。)
トレードする側も、つい熱くなってしまう可能性があります。熱くなると、「前回は損したが、今度は大きく勝つぞ!」などとやってしまいがちです。
気を付けながら取引したいです。
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