両建てトラリピ検証シリーズの3回目です。今回は、「両建てトラリピの難題」で考察した問題点の解決策を探ります。
両建てトラリピのデメリットを軽減する
豪ドル/円を題材にして考えます。長期で考えると、豪ドル/円の高値は105円、安値は55円、平均値は80円くらいです。
5円といった狭い幅でのトラリピは、前回確認したとおり、チャートを適切に読むことができる中級者以上向けの方法だといえます。
よって、今回の考察の対象から外します。
このシリーズでは、注文の設定範囲を可能な限り広く取る場合を考えます。
売り注文の数を減らす
ロング(買い注文)の数量に比べて、ショート(売り注文)を少なくするという方法です。
売り注文を少なくしても、為替レートが105円→55円→105円と動くとき、売りポジションが多数残ります。 105円→55円→105円でなくても構いません。高値→安値→高値と動けば、売りポジションだけが残ります。
すなわち、毎日のスワップ損が大きくなるとともに、レンジを円安方向に外れる場合の損失が大きくなります。
ただし、ここでは、あらかじめ売り注文を十分に少なくしています。その分だけ、売りポジションの数量を減らせます。スワップ損やレンジを外れた際の損切り額は限定的となります。
一方、売り注文を減らすということは、為替レート下落時の利食い回数が減ってしまうことを意味します。
しかし、大幅円安時に味わうことになる苦しみを考えれば、利食いの機会を多少減らしてでも、円安時のダメージを減らす方法を採用したいです。
高値で買わない、安値で売らない
この方法は、レンジを外れた時の損失を減らす方法です。
豪ドル/円=110円で売りポジションを全て決済する場合、50円台や60円台の売りポジションがなければ、決済時の損が限定的になります。
そこで、55円~80円はロング(買い)のみ、80円~105円はショート(売り)のみにすると、レンジを外れた時の損失を制御しつつ、いつでもトラリピで利益を狙えます。
ただし、買い注文と売り注文が混在しないと、レートが上がっても下がっても利益を得られるという状態ではなくなります。
魅力という点では今一つかもしれません。
このため、買いと売りが混在する部分を作りつつ、高値で買い注文を出さず、安値で売り注文を出さないという方法を検討できます。
この方法の場合、為替レートが高値にあるときのスワップポイントはマイナスですが、利食いで得られる利益で何とかしのげるのではないかと思います。
上二つの方法を同時に実行
上記の1と2を同時に実行する、という方法もあるでしょう。
私としては、両建てのトラリピは管理するのが厄介だという印象がぬぐえません。記事「トラリピをしたい通貨ペアの条件」で列挙した条件に合致する通貨ペアで、買いのみの運用をするほうが楽です。
ただし、状況によっては、M2Jが提供している通貨ペアで、その条件を満たすものはないかもしれません。M2Jで取引可能な通貨ペア数は、限定的だからです。
その場合は、手動でトラリピをするか、MT4でプログラムを構築することになるでしょう。
レンジを外れるときの対応
次に、為替レートがレンジを離れる場合の具体的な方法を考察します。
両建てでなく買いのみのトラリピでも、為替レートがレンジの外に外れてしまうリスクは存在します。そこで、レンジ外になるときの対応を、あらかじめ考えなえればなりません。
下の絵において、青い四角は「買い注文」を配置している範囲を指します。矢印は、為替レートの動きです。
売りの場合は、反対にして考えます。
レートが上昇してレンジを外れるとき
利益獲得機会はなくなりますが、損はしません。この場合は、この通貨ペアでのトラリピをあきらめます。「トラリピしたい通貨ペアの条件」で提示した条件に合致する他の通貨ペアを探します。
レートが下落してレンジを外れるとき
こちらのほうが問題です。含み損があるうえに、利益獲得機会はスワップポイントのみになってしまいます。
対応方法1:注文をどんどん追加する。
トラリピは、為替レートが比較的安い水準にある通貨ペアで行うと、安全度が高いです。と言いますのは、過去最低値を割り込んでも、ある程度余裕があるからです。
仮に為替レートが過去最低値を割り込んでしまっても、追加で買い注文を出す余裕があります。
対応方法2:高値のトラップを一部決済し、現在のレート周辺に発注する
証拠金に限界があって注文を追加できない場合、高値の注文を一部決済して、損失を確定します。そして、その分の注文をを現在のレート周辺に配置します。注文と注文の間の幅も、広く取ります。
こうすることで、一部損失を確定してしまうものの、新しい発注で少しずつ利益を回復します。
この事態に遭遇したくないですが、こういう場合でも対応できるように、事前に考えておくことが必要でしょう。対応方法2の方法を両建てで使うことも、もちろん可能です。
関連記事 検証シリーズ