両建てトラリピ検証シリーズの2回目です。今回は、両建てトラリピの課題を考えてみます。
欠点や課題がないトレード方法があれば良いのですが、残念ながら欠点のないトレード方法はないようです。
実際にトレードするかどうかの判断は、メリットとデメリットを確認してからにしましょう。
両建てトラリピのメリット
2 為替レートの下落・上昇いずれでも利益を狙える。
両建てトラリピのデメリット
4 発注範囲を超えて為替レートが動く場合の対応が難しい。
この中で、最も難題と思うのは4です。そこで、発注範囲が狭い場合と広い場合の両方について考察します。
発注範囲が狭い場合
下の絵は、豪ドル/円(AUD/JPY)を例にしています。90円から95円の範囲で両建てをしている様子です。
発注範囲が狭い場合は、あまり困難はないかもしれません。
例えば、為替レートが5円幅のレンジ相場にあると判断する場合、その5円の間に買いのトラリピだけでなく、売りのトラリピも入れれば、利益獲得機会は2倍となるでしょう。
為替レートが設定範囲を外れて動く場合、ポジションを全て決済することになります。
レートが設定範囲を外れる前に、いかに利食い回数を増やすか。これが勝敗を分ける鍵です。
しかし、あまり困難はないと言っても、為替がレンジ相場にあるという判断をしなければなりません。そのレンジをターゲットにして、発注範囲を決めるからです。
為替がレンジ相場である、今後もしばらくレンジ相場であり続ける。この二つの判断が適切にできる能力があるならば、裁量トレードでも良好な成績を収めることができるのではないでしょうか。
トラリピが多くの人に受け入れられている理由の一つは、予想しない、または、予想できなくても良い、ということだと思います。レンジが狭い両建てトラリピは、少々難易度が高いと思います。
逆に言えば、これらの判断ができる人にとっては、両建てトラリピはとても有効なトレード手法だといえるでしょう。
結論:発注範囲の狭い両建てトラリピは、中級以上のトレーダー向けでしょう。
発注範囲が広い場合
次に、発注範囲が広い場合を考察します。
例えば、豪ドル/円で過去20年以上の長期チャートを見ると、55円~105円くらいのレンジ相場と考えることができます。
55円~105円の間に、買いと売りのトラリピを配置します。何年か取引を継続し、その間に105円→55円→105円と動いたとします。
すると、買いのポジションは存在しません。すべて利食いが完了するからです。一方、売りのポジションは多数となります。
為替レートの変動で利食いできるとはいえ、日々のマイナスのスワップポイントが無視できない大きさになるでしょう。
毎日の利食いで、マイナスのスワップポイント分を埋め合わせられるかどうか。
そして、為替レートがレンジ相場の範囲を離れたとします。例えば、110円になったとします。レンジを離れたので決済することになりますが、50円台や60円台で建てた売りポジションの損失が大きくなります。
はたして、決済した後に利益が残るでしょうか。
レンジを離れても決済しないという選択肢もあるでしょう。すると、レンジを離れてレートが上昇するとき、生きた心地がしないかも知れません。
110円、115円、120円・・・と上昇するとき、強制ロスカットを待つ心境というのは、どんな感じでしょうか。相場の世界ですから、豪ドル/円がが110円を超えることはない、と言い切ることは難しいでしょう。
両建てトラリピは厳しい
トラリピの利点の一つは、設定後は放っておいて良いということです。
しかし、両建てトラリピの場合で、マイナススワップが積み重なる側のレンジの端に為替レートがあるとき(豪ドル/円ならば100円~105円あたり)、放っておけばよいという精神状態でいられるでしょうか。
次回は、これらの困難を回避する方法があるかどうかを考えます。
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