外貨を扱う金融商品で代表的なのは、FXと外貨預金です。そして、「FXで損した!」というのは珍しくないですが、「外貨預金で損した!」は、滅多に聞きません。
トラリピは長期運用
FXは、短期的に利潤を求める人が多そうです。一方で、外貨預金は、預けて放置という人が多そうです。外貨預金はスプレッドがあまりに広いので、短期売買したくてもできません。
よって、外貨預金の場合、少々含み損になっても長期的に待てばOKということになります。
長期的に待つという点では、トラリピも同じです。マネースクエアは、長期的な運用を顧客に求めています。下は、マネースクエアからの引用です。
「ゆったり中長期的な資産運用を」とあります。金利に依存しないとも書いてあり、この点では外貨預金と違う姿勢を採用しています。
トラリピは、中長期的な為替変動で利食いを繰り返す商品だということを打ち出しています。
しかし、相場の下落があると、「トラリピで損した!」という情報がインターネットで流れます。
レバレッジ1倍のトラリピ
そこで、トラリピに外貨預金の考え方を採用してみましょう。すなわち、レバレッジ1倍です。
仮に、外貨預金でレバレッジを使えるとしたら、「外貨預金で損した!」という話がインターネット上で出てくるでしょう。大きなレバレッジをかけてしまう人がいるからです。
しかし、外貨預金はレバレッジを使えません。レバレッジ1倍です。だから、「外貨預金で損した!」をあまり聞かないのでしょう。
そこで、トラリピでもレバレッジ1倍を採用するとします。どんな結果になるでしょうか。
米ドル/円でトラリピ
どの通貨ペアで取引しても構いませんが、代表的な通貨ペアである米ドル/円で考えてみます。M2Jからの引用です。
2015年からのチャートです。下限は100円くらいです。そこで、100円から115円の間で、50銭ごとに1,000通貨ずつ買うとします。
全ての買い注文が約定しますと、総額で330万円以上になります。レバレッジ1倍ですから、同額を入金します。
1,000通貨で買っていますし、50銭ごとに買っています。決して攻撃的なトラリピではないのですが、レバレッジ1倍だと大きな資金が必要です。
レバレッジ1倍トラリピの収益率
この設定で、どれくらいの収益率があるでしょうか。試算してみましょう。
仮に、1日1回利食いできるとします。スワップポイントは不明なので、0円とします。1日1回の利食いは、少々過大ですが、試算してみました。
1年の営業日は260日くらいで、1日500円の利食いです。すると、1年間で13万円です。
投資額は330万円なので、年率3.9%となります。スワップポイントを含めると、4%台でしょう。意外に悪くない数字です。
ただし、50銭幅の利食いを毎日できるという条件が、少々厳しいです。そこで、利食い頻度を半分にしましょう。すると、年率2%くらいになります。
あとは、取引範囲を100円~115円としましたが、これよりも広い範囲でトラリピをする場合は、利回りはもう少し小さくなります。
レバレッジ1倍のトラリピを採用できるか
ここまでの話を受けて、レバレッジ1倍のトラリピを採用できるかどうか、考えます。正直なところ、利回りが小さくて面白くないという意見が大半なのでは?と思います。
FXをする場合、年率100%という感じの威勢の良い利回りを期待する人は、少なくないでしょう。
そんな中、トラリピを選ぶということは、ギャンブル的な要素を減らし、確実性を高めて取引したいということです。それを基準にしても、厳しいと感じるかもしれません。
利回りを高くする方法は、レバレッジを1倍でなくて、もう少し引き上げることです。
レバレッジ1倍ということは、米ドル/円が10円や20円になっても強制ロスカットにならない、という意味です。しかし、実際問題、米ドル/円は10円になるか?です。
相場なので、可能性はゼロではないでしょう。しかし、予見可能な範囲で考えますと、さすがに10円はないと考えられます。
「さすがに〇〇円はないでしょう」の〇〇に入れたい数字を基準にして、トラリピを考えます。すると、レバレッジ1倍よりも大きな数字になりますが、安全度もある程度確保しています。
ゆったり為替のリピート系FX
ゆったり為替の取引は、豪ドル/円=55円になっても強制ロスカットにならないという基準で始めました。
豪ドル/円の過去最低値は55円くらいなので、安全度が高いです。ただし、55円は過去に実現した数字です。もう一度やってくるかもしれませんし、さらに円高になるかもしれません。
この備えも、考えてあります。
スワップポイントを毎日もらい、利食いもしています。すなわち、証拠金は毎日少しずつ増えています。このため、強制ロスカットになる為替レートも、少しずつ円高方向に移動しています。
自動で毎日取引するだけで、円高に対する耐久力が自然と高まっています。その結果、豪ドル/円が40円台になっても、余裕で取引を継続できるまでになりました。
関連記事 リスク・失敗パターン 長期運用 通貨ペア分析 リピート系FXの比較