ゆったり為替は、稀にこんな質問を受けます。
- 今後の米ドル/円の行方は?
- おすすめ通貨ペアは?
これが分かるなら、今頃、億万長者になっているはずです。億ではなくて兆かもしれません。将来のことなので、残念ながら分かりません。
しかし、トラリピについては、少し様相が異なります。おすすめが存在します。トラリピに限らず、ループイフダンやトライオートFXなどでも同様に考えることができます。
トラリピのおすすめ通貨ペアとは
では、トラリピのおすすめ通貨ペアとは何でしょうか。それは、以下の条件を備えているものです。
- 値動きの範囲が狭い
- 狭い範囲の中で、値動きが大きい
- 長年にわたって、レンジ相場である
この3つの条件が満たされるなら、スワップポイントは重視する必要がないでしょう。3つの条件を、順に確認します。
値動きの範囲が狭い
例えば、米ドル/円が100円~110円の範囲で、延々と動くとしましょう。この場合、10円の範囲に数多くの注文を設定します。
一方、別の時期には、100円~120円の範囲で動いたとしましょう。この値動きでトラリピをしようと思えば、20円の範囲に発注します。
必要な証拠金額で考えますと、10円の範囲に発注する方が少なくて済みます。
具体的に、数字で確認しましょう。50銭ごとに1,000通貨を買うとします。
- 100円~110円でトラリピする場合:20万円くらい必要
- 100円~120円でトラリピする場合:60万円くらい必要
発注範囲が2倍になると、必要な証拠金は2倍ではありません。それよりも大きくなります。今回の場合、3倍となりました。
同じように利食いを繰り返してくれるなら、必要な証拠金は小さい方が良いです。その方が、利回りが高くなるからです。
必要な資金が3倍になる場合、利回りの数字を維持しようと思ったら、利益も3倍必要です。それは難しいです。
よって、トラリピにおすすめの通貨ペアは、「値動きの範囲が狭い通貨ペア」です。
損切りしても、ダメージが軽い
少ない証拠金で済むならば、仮にロスカットになっても、ダメージは小さいです。値動きの範囲が狭いというのは、損失回避という意味でも大切な要素です。
また、少ない証拠金でトラリピできるなら、利食いとスワップポイント益の合計額は、投入した証拠金額を超えやすくなります。
すなわち、損切りしても、最終的なトレード成績をプラスにしやすいです。
証拠金が少なくて済むことの効果は、良い点ばかりです。
狭い範囲の中で、値動きが大きい
もう一つの条件は、狭い範囲の中で値動きが大きいことです。
為替レートがノロノロと上下動する場合、なかなか約定しません。約定しなければ、利食いできません。値動きの範囲は狭い方が良いですが、その中でビシバシと乱高下するのが望ましいです。
そうすれば、より少ない証拠金で大きな利食いを期待できます。
この状態の場合、スワップポイントはあまり考慮する必要がないかもしれません。小さなスワップ損ならば無視できそうです。
ただし、「値動きの範囲が狭くて上下動が大きい」というのは、大変難しい要求です。そこで、ある程度妥協しながら、通貨ペアを探すことになります。
長年にわたって、レンジ相場である
値動きの範囲が狭くて、その中で値動きが大きければ、自然とレンジ相場になるでしょう。すなわち、長期的にレンジ相場になっていれば、上の2つの条件を満たしている可能性があります。
長期的なレンジ相場の場合、どの範囲でトラリピをすれば良いのかが分かりやすいです。この分かりやすさも、おすすめ通貨ペアの大きなポイントです。
取引すべき範囲が分かりづらいと、不適切な位置で損切り注文を置いてしまうかもしれません。その結果、損切りになったら、とても残念です。
短期トレードは、少々難しい
今までの考察の裏返しになりますが、短期トレードは難しいという結果になります。
と言いますのは、文字通り短期ですので、相場を読む必要があります。裁量トレードとトラリピを比較します。
裁量トレードの場合
裁量トレードなら、「どこで取引を始めて、どこで決済するか」という2つを決めます。
この場合、見込みが1回でも当たればOKです。例えば、ある時点で買ったとします。目標値を決めて、そこに到達したとします。それで成功です。その後の値動きは、関係ありません。
暴落しようが、関係ないと言えます。
トラリピの場合
一方、トラリピの場合、どの範囲で取引するかという「範囲」を決めます。範囲というのは、難易度が高い可能性があります。すなわち、短期のトラリピは、裁量トレードよりも難しいかもしれません。
なお、トレードが得意な人ならば、短期のトラリピでも裁量でも、どちらでも成功できるでしょう。
しかし、一般的な個人投資家は、相場を読むことが難しいです(読めるなら、簡単に億万長者になれます)。そう考えると、長期トレードの方が安全度を高くできるのでは?と思います。
条件を満たすおすすめ通貨ペア
では、これらの条件を満たすおすすめ通貨ペアは、何でしょうか。チャートを見ながら確認しましょう。
留意事項
チャートは、過去の値動きをグラフに表示したものです。将来の値動きではありません。このため、今まではおすすめ候補だったけれど、将来はおすすめでない、という場合も十分にありえます。
この辺り、リスク管理も重視しましょう。
また、下で使用しているチャートは、ループイフダンのアイネット証券からの引用です。アイネット証券は、主要通貨ペアで20年以上の範囲でチャートを表示できます。
長期のリピート系注文をするにあたって、チャートの長期表示はとても重要な機能です。この点、アイネット証券を高く評価できます。
豪ドル/円
最初のおすすめ候補は、豪ドル/円です。個人的にお気に入りです。なお、おすすめと断定できないので、「おすすめ候補」です。
1995年半ば以降のチャートです。下限は、およそ55円です。60円割れを複数回記録しており、同じような為替レートが下限になっています。
また、上限は100円くらいです。こちらも、複数回記録しています。
ざっくりとみて、55円~108円くらいのレンジ相場であると言えなくもありません。この点で、とても分かり安い通貨ペアだと言えます。
また、豪ドル/円を買うと、スワップポイントは継続的にプラスでした。この点からも、取引しやすい通貨ペアです。
実際の取引範囲
ゆったり為替は、豪ドル円でリピート系注文の公開トレードをしています。下のリンク先の記事で、結果を毎月更新しています。
このトレードでは、55.00円~84.80円の範囲で買い注文を出しています。108円ではありません。
この理由は、3つです。
必要な証拠金を大きく減らすため、利回りを上げるため、そして、損切りになってもダメージを抑えるためです。
90円台のような円安で推移する場合は、売りで取引するか、他の通貨ペアを探すことになります。豪ドル円に限定する必要はないので、柔軟に取引できます。
NZドル/円
次のおすすめ候補通貨ペアは、NZドル/円です。豪ドル/円と似た動きをしていることがわかります。
下限は40円台前半、そして上限は90円台半ばといったところです。
NZドル/円の特徴として、歴史的円安圏になったら、すぐに円高になることがあります。上のチャートを見ますと、高値がとがっている様子が分かります。
よって、高値付近で買うのは避けたいです。どこからが高値か?というのは難しい判断ですが、90円台は明らかに高値で、80円台も高値だと言えそうです。
また、安値で推移する時間も短いことが分かります。そこで、歴史的安値になったら、長期保有のポジションを持つという案を検討できそうです。
カナダドル/円
次のおすすめ候補通貨ペアは、カナダドル/円です。チャートの真ん中(2006年~2007年)くらいで、大幅円安になっている様子が分かります。それを除くと、レンジ相場に見えます。
このチャートを見ると、安値は70円くらいで、2006年~2007年を除く高値は100円くらいです。よって、70円~90円の範囲でトラリピをする案が考えられます。
ただし、過去の円高記録は60円くらいです。1995年に記録しています。
よって、安全重視なら、60円~80円くらいでの取引を検討できます。もう少し積極的に取引するなら、70円~90円の範囲も候補になります。
豪ドル/NZドル
最後のおすすめ候補通貨ペアとして、豪ドル/NZドルを確認しましょう。下のチャートでは分からないですが、1973年以降、豪ドル/NZドルは月足終値で1.00を下回ったことがありません。
また、高値も限定的であり、とても狭い範囲で長年推移してきました。
上のチャートの赤枠部分は、2014年以降を示しています。5年以上にわたって、さらに狭い範囲で上下動してきました。豪ドル/NZドルは、値動きの範囲が狭い通貨ペアの代表格です。
ループイフダンで豪ドル/NZドルを取引する場合について、下の記事で検証しています。
なお、トラリピで豪ドル/NZドルを取引することはできません。ループイフダン、トライオートFXなどで取引することになります。
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