ひとたび取引を開始すれば、自動売買してくれるのがトラリピのメリットです。しかも、取引の方法は単純明快なので、理解しやすいです。
問題が残っているとすれば、「どの範囲で、どのように取引するか。証拠金はどれくらい準備すべきか。」といったあたりでしょう。そこで、取引期間別に、トラリピの最適設定を考察します。
どの通貨ペアを例にしても良いですが、ゆったり為替が好む豪ドル/円で考察します。
トラリピで豪ドル/円を選ぶ理由
ゆったり為替のリピート系注文(トラリピなど)では、豪ドル/円の登場回数が圧倒的に多いです。これは、以下の理由によります。
- 過去数十年にわたって、レンジになっている
- 豪ドル/円を買うと、スワップポイントが継続的にプラス
- 値動きが、そこそこ大きい
要するに、トラリピ向きの通貨ペアだということです。
一方的に上昇を続ける通貨ペアや、値動きの範囲が巨大すぎてトラリピの設定範囲をどうすれば良いのか分からない、という通貨ペアだと、高いトレード技術が必要です。
ゆったり為替は、のんびりとトレードするのが好きです。よって、豪ドル/円を選択しています。
では、取引期間別に、豪ドル/円のトラリピ最適設定を考察します。
長期のトラリピ最適設定
長期とは、ここでは「可能なら永遠」を指すとします。すなわち、10年でも20年でも取引を継続したいということです。
この場合、確認すべきチャートは月足です。そして、可能な限り長期間を表示します。下の月足チャートは、マネースクエアからの引用です。
2002年からの表示になっています。過去の円高記録は55円くらい、そして、円安記録は108円くらいです。過去の円高記録は、1995年と2000年にも記録しています。
この時も、55円~60円くらいでした。
また、1990年年代から通してみますと、円安記録は100円前後になる場合が多いです。そして、豪ドル/円のスワップポイントは、買うとプラスになります(将来のスワップは不明ですが)。
よって、長期の場合、トラリピの設定は「55円~100円台で買う」が選択肢になります。
含み損を減らす方法
しかし、55円から108円まで買い注文を出してトラリピをすると、問題が起きる可能性があります。
例えば、100円台で買い注文が成立し、その後55円まで円高になるとしましょう。すると、高値で買ったポジションの含み損が巨大になってしまいます。
そこで、最適な設定を狙うには、「高値でトラリピをしない」という案を検討できます。
例えば、55円~85円の範囲でトラリピをします。こうすれば、90円台や100円台で買ってしまい、その後円高になってピンチ!という事態を回避できます。
ゆったり為替の公開トレードでは、「55.0円~84.8円」の範囲で買い注文を出しています。
必要な証拠金額
では、長期のトラリピで必要な証拠金を計算しましょう。
55円から85円の範囲で、50銭ごとに1,000通貨ずつ買い注文を出すとします。そして、54.00円になったらロスカットするとします。この場合、必要な証拠金は115万円くらいです。
金額が大きすぎると思う場合、100銭ごとに買います。こうすれば、必要な証拠金を半分にできます。
ただし、実際に豪ドル/円が54円になっても、損切りしないことを考えます。そのレートになるまでに、多数の利食いを繰り返しています。また、スワップポイントも蓄積しています。
そこで、円高になっても取引継続を考慮します。
ゆったり為替の場合、利食いとスワップポイントで証拠金が増えた結果、豪ドル/円が50円を下回ってもロスカット不要な状態になっています。
決済トレールで利幅を大きくする
なお、トラリピ独自の機能に、「決済トレール」があります。トラリピは、1回の利食い額が固定です。大相場で為替レートが急上昇しても、小さい利食いで決済します。
それではつまらないかもしれません。大相場のときには、大きな利食いを目指すという方法です。長期のトラリピの場合、決済トレールを使いやすいです。
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最適な設定に、さらに一歩近づけます。
中期のトラリピ最適設定
次に、豪ドル/円で中期のトラリピをする場合を考察します。ここでの中期とは、1年~数年くらいの範囲です。
この場合は、2008年のリーマンショック以降のチャートを見れば十分でしょう。
リーマンショック後の推移を見ますと、円高記録の部分が特徴的です。およそ72円です。
ギリシャ問題、ユーロ圏の問題、スイスショック、様々な事件が起きてきました。しかし、72円で踏みとどまっています。
また、円安方向に目を移しますと、105円あたりが記録されています。しかし、このあたりで買ってしまうと、その後の円高で含み損が厳しそうです。
そこで、最適設定を考えると、「72円~90円くらいで買う」という案を検討できます。
必要な証拠金額
では、72円~90円の範囲で、50銭ごとに1,000通貨を買うという設定を考えましょう。損切りになる為替レートは71円とします。
この場合、必要な証拠金は50万円弱です。
長期のトラリピ設定に比べて、必要な金額が大幅に少なくなりました。中期のトラリピは、資金量が小さめでも取引できるのがメリットです。
また、豪ドル/円の場合は、ストップロス注文をどこに置けば良いのか?というのも、比較的分かりやすいです。
短期のトラリピ最適設定
では最後に、短期のトラリピを考察しましょう。ここでの短期とは、1年未満を指します。この場合、数年程度のチャートを見れば良いでしょう。
下は、週足チャートです(上の二つは月足です)。
短期のトラリピを考察するときの特徴は、「チャート形状が目まぐるしく変化する」ことです。
10年前後のチャートですと、1年や2年経過しても、チャートの形は大して変化しない場合が多いです。しかし、短期の場合は、どんどん変わっていきます。
損するパターン
なお、上のチャート形状を見ますと、トラリピで損するパターンがはっきりと表れています。
- 80円~90円くらいの範囲で、トラリピで買う
- ジワジワと円高になって、少し気持ち悪い
- しかし、為替レートの上下動があるので、利食いに期待
- いきなりドカンと円高になり、今までの収益を全部飛ばし、ロスカットで終了
短期トレードの場合、この「ドカン」が怖いです。よって、最適設定を考える場合、損切り注文を出すことは必須です。
買いでトラリピしている場合、上のチャートでは円高になったので、損切りで終了です。しかし、損切りになるまでに、十分な収益を確保していれば、損切りになっても合計でプラスです。
これが、トラリピの魅力です。
よって、日々の取引で収益を得ても、その資金を使って注文を増やすのは止めましょう。損切りになっても合計でプラスにするための資金として、口座内に保管しておきます。
なお、買いのトラリピで円安になる場合は、損切りなしですべての注文が利食いになります。勝率100%です。この場合、トレードに成功したというですから、大満足です。
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