新型コロナウイルスの感染が拡大しています。
情報を集めていたところ、スペインかぜとリンクさせて考える例もあるようです。確かに、短期間に世界的な広がりを見せたという点で、関連性を見出せます。
そこで、スペインかぜが流行った頃の、株価や景気を確認しましょう。そして、これからの相場を考えます。
スペインかぜとは
スペインかぜとは、1918年を中心として、世界中に広がったインフルエンザです。全世界で何千万人もの人々が亡くなりました。
スペインという名前が入っていますが、発生源はスペインではありません。初期の感染が広まったのはアメリカのようです。
では、「アメリカかぜ」でなく「スペインかぜ」となったのはなぜか?です。
1918年といえば、第一次世界大戦中です。陣営の状況は、以下の通りです(wikipediaより引用)。白っぽい色が中立で、緑色の2つが対立していたという構図です。
スペインは、中立です。
アメリカは、1917年に参戦しています。すると、アメリカの欧州進軍により、スペインかぜがヨーロッパにもたらされることになります。
そのかぜが大陸を伝わって、スペインにやってきたという構図です。
大感染を引き起こした風邪ですが、第一次世界大戦の真っ最中です。
戦争に参加している国は、「自国でインフルエンザが爆発的に増えて、大変です!」という情報を出しません。そんな情報を出すと、相手を有利にするかもしれません。
黙っています。
一方、スペインは中立です。情報統制は不要です。「インフルエンザが増えています!」という情報が広く報道されたため、スペインかぜという名前が定着してしまったようです。
スペインとしては、あたかも感染源であるかのような名称を付けられて、迷惑なことでしょう。
新型コロナウイルスの状況との違い
というわけで、現在の新型肺炎の爆発的な広がりと、スペインかぜを同列に扱うのは不適切だと分かります。
現在は、第一次世界大戦当時のような情報統制がありません(国によっては、一定の統制があるかもしれませんが…)。
また、戦時中と現在では、人々の栄養状態も異なるでしょう。さらに、医療レベルも異なります。
よって、スペインかぜの様子を見て、過度に悲観的になるのは良くないでしょう。
今できる対策をしたら、(免疫力を維持するために)ストレスを溜めずに毎日を過ごしたいです。
NYダウの株価と景気循環
では、本題に移りましょう。スペインかぜが流行したころの株価や景気です。
100年以上も前の話ですので、株価情報を得るのは難しいかと思いきや、指数ならば容易です。NYダウです。
NYダウは、1918年には既に存在していました。さすがアメリカです。1700年代にできた国家ですが、経済面で一気に飛躍した様子が分かります。
以下、データや画像はmacrotrendsからの引用です。
下は、1915年から現在に至るまでの、NYダウの推移です。1980年代くらいから、一気に上昇している様子が分かります。
なお、グラフの中に、薄いグレーの縦線がたくさん見えます。これは、不景気だった期間を示します。
インフレ調整後のNYダウ
下のグラフは、インフレーションを調整した後の数字です。同じ商品でも、インフレーションがあれば、時とともに価格が変化していきます。
それでは、真の価格動向が見えづらいです。下は、真の価格動向を見るために調整したグラフです。
インフレ調整後を見ても、アメリカは経済力を伸ばしてきた様子が分かります。
1915年~1919年のNYダウ
では、1915年から1919年末にかけての、NYダウの様子を見てみましょう。
1916年にピークを付けて、その後、株価が下落している様子が分かります。
1918年7月から年末にかけて、グラフの背景がグレーになっています。すなわち、不景気です。短期間で不景気は終了し、株価も持ち直している様子が分かります。
(1920年~1921年にかけて、本格的な戦後不況がやってきます。)
この株価動向ですが、スペインかぜの影響度がどれくらいあるのか、分かりません。第一次世界大戦の方が、株価に与えた影響は圧倒的に大きいのでは?と予想できるためです。
アメリカが第一次世界大戦に参戦したのは、1917年4月です。
1916年まで、欧州の戦争は、大西洋を隔てた遠い世界の話だったかもしれません。欧州で物資の需要が高まるので、輸出も堅調だったでしょう。
ところが、自国も参戦となると、不安になるものです。それが原因かどうか不明ながら、アメリカの参戦の頃から株価が下落を始めます。
そして、1918年~1919年にかけて底を付けました。
第一次世界大戦が終了したのは、1918年11月です。それよりも数か月前から、不景気になっています。戦後不況を先取りした形になっています。
以上の説明で、大きな矛盾はないように見えます。すなわち、スペインかぜの影響を明示的に見ることが難しいです。
スペインかぜの様子から、今後の相場を見通すのは困難
スペインかぜの時代を振り返って、今後の株価動向を予想できるか試みたのですが、どうやら困難な模様です。
スペインかぜとは異なりますが、今後の動向を見るには、リーマンショックの方が参考になるかもしれません。
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