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米政策金利引き下げは、円高に結び付くか【2019年6月】

2019年6月20日

為替のマスコミ報道を全く見ない、ゆったり為替です。しかし、うっかり見てしまいました。どうやら、「米国が政策金利引き下げか?の懸念から円高」という論調があるようです。

本当かよ?という感じです。

なぜ見てしまったんだ…という感じですが、「米政策金利引き下げ=円高」が本当か誤り含みか、過去のチャートで確認しましょう。

米政策金利と米ドル/円の関係

金利などのファンダメンタルズが変化したら、どうなるか。それは、頭で考えるだけでは不十分です。過去の同様の状況でどうだったか?も合わせて確認する必要があります。

思考と現実が異なるというのは、全く珍しくありません。

「継続的に政策金利を引き上げて、その後引き下げる」というパターンは、1991年以降の30年弱の期間において、3回ありました。3回とも確認しましょう。

1994年から1996年の米ドル/円

最初は、1994年からの3年間です。赤線は、米政策金利です(縦軸は右側)。そして、青線は米ドル/円です(縦軸は左側)。

米ドル/円

米政策金利が上昇しているとき、為替レートは円高になっていることが分かります。その後、政策金利が引き下げられる前から、円安に転じていることが分かります。

すなわち、「米政策金利引き下げ=円高にはならない」ことが分かります。

ただし、1995年に大きな円高があったことが分かります。これは、阪神・淡路大震災の影響です。この影響を考慮する必要があります。

1999年から2001年の米ドル/円

次に、1999年から2001年にかけての様子を、確認しましょう。以下の通りです。

米ドル/円

米政策金利が引き上げられ、その後、政策金利が下がっています。この時の為替レートはどうでしょうか。円安になっています。ここでも、「米政策金利引き下げ=円高にはならない」ことが分かります。

2007年から2009年の米ドル/円

では最後に、2007年から2009年にかけての様子を確認しましょう。

米ドル/円

この時期は、サブプライムローン問題からリーマンショックにかけての様子です。政策金利が劇的に下落し、米ドル/円も大幅円高になっている様子が分かります。

すなわち、「米政策金利引き下げ=円高である」ことが分かります。

米政策金利と米ドル/円の関係【まとめ】

以上をまとめますと、以下の通りです。バブル崩壊後の30年弱において、米政策金利が引き下げられるとき、

  • 円高になった:1回
  • 円安になった:2回

すなわち、過去の事実を見る限り、「米政策金利が引き下げられると円高」は信用できない、ということになります。

日本の政策金利を反映する場合

なお、この考察には、日本の政策金利が含まれていません。

米ドル/円のスワップポイントは、米国の短期金利だけで決まるものではなく、日本の短期金利も考えなければなりません。よって、日米金利差と米ドル/円の関係も確認しましょう。

チャートの表示期間は、上の3つと同じです。

1994年から1996年の米ドル/円

1995年以降の米政策金利は、引き下げられました。しかし、日米金利差は、下落していないように見えます。すなわち、日本も政策金利を引き下げていたということです。

米ドル/円

よって、「日米政策金利差の低下と米ドル/円の関係は、この期間では分からない」という判定になるでしょう。

1999年から2001年の米ドル/円

次に、1999年以降の3年間です。このころには、日本の政策金利は地を這うような感じになっていました。そこで、米政策金利で考えても日米金利差で考えても、結果は同じになります。

米ドル/円

すなわち、「日米政策金利差の低下=円高にはならない」ことが分かります。

2007年から2009年の米ドル/円

2007年以降の3年間は、以下の通りです。「日米政策金利差の低下=円高である」ことが分かります。

米ドル/円

以上をまとめますと、以下の通りです。バブル崩壊後の30年弱において、日米金利差が低下するとき、

  • 円高になった:1回
  • 円安になった:1回

すなわち、日本の政策金利を加味した場合も、「米政策金利が引き下げられると円高」は信用できない、ということになります。

日米金利差の変化と、米ドル/円の値動きが単純な関係ならば、楽なのですが。相場は、なかなか思い通りに推移してくれません。

なぜ、「米政策金利引き下げ=円高」と考えるか

ここで、「米政策金利の引き下げと円高を結び付けて考える理由」を、確認しましょう。

米国の政策金利が引き下げられるということは、日米の短期金利差が縮まるということです。短期金利差が縮まれば、米ドル/円を買うときにもらえるスワップポイントが小さくなります。

すなわち、米ドル/円を買って持ち続けると、日々の収入が小さくなります。

日々の収入が小さくなるならば、米ドル/円を買って保有しようという気持ちが減ってしまいます。買い圧力が小さくなりますので、円高になります。

・・・これは、とても分かりやすい考え方です。では、なぜこのパターンが当てはまらない場合があるのか?です。

「米ドル/円のレートは、米国の短期金利だけで決まらないから」というのが、教科書的な回答になりそうです。

米国の政策金利を引き下げるという場合、景気がイマイチだからでしょう。しかし、日本の景気はイマイチでなくもっとひどくなるとしたら、どうでしょう。

為替レートは、2つの通貨の交換比率です。よって、より弱い円が安くなる、すなわち円安になるかもしれません。

理由は定かではありませんが、何かファンダメンタルズに変更があるとき、直感的な思考は往々にして間違っていることがあります。「過去はどうだったか」という視点が、とても大切です。

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