リピート系FXの人気を受けて、FX各社は独自ツールを公開しています。そこで、これらのツールに共通の特徴を確認したうえで、リピート系FXで成功を収める方法を考察します。
FX各社のツールの特徴
最初に、主なリピート系FXサービスを列挙すると以下の通りです。なお、連続予約注文(マネーパートナーズ)はやや異質ですので、この記事の考察から除きます。
- トラリピ
- ループイフダン
- トライオートFX
- トラッキングトレード
- iサイクル2取引
- みんなのリピート注文
トラリピを除いて、これらには一つ大きな共通点があります。それは、任意の為替レートで全ポジションを自動で一括決済できないという点です。全ポジションを決済したい場合は、手動で操作しなければなりません。
正確には、トラリピ以外にトライオートFXでも可能ですが、設定に大変な根気を要します。
自動の一括損切り注文がないと…
超長期トレードなどの例外を除いて、裁量トレードでは逆指値注文が必須だと言われます。含み損が大きくなっても決済しないで頑張ると、取り返しがつかなくなるかもしれないからです。
しかし、多くのリピート系FXでは、任意の為替レートを指定して自動で一括決済できません。これは、為替レートが不都合な動きをする場合、裁量トレードよりも簡単に大損しやすいことを意味します。
含み損が急増するとき
- 裁量トレード:逆指値決済で即座に損切り
- リピート系:ログインして全ポジションを選んで損切り(時間がかかる)
トラリピでも、決済機能はオマケ感があります。下の画像はトラリピ発注画面で、追加設定をクリックして一括決済機能を表示させる必要があります。
トライオートFXの場合は、かつて一括決済機能があったのですが、今ではなくなってしまいました。特定の為替レートで一括決済したければ、発注後の各注文について逆指値注文を一つ一つ修正する必要があります。
一括決済注文がない理由
任意の為替レートでの自動一括決済注文がない理由は、少なくとも2つありそうです。
理由:ユーザーが使わないから
FXユーザーは、損切りの逆指値注文を嫌う傾向があります。
この傾向を知るにはOANDAのオーダーブックが便利で、逆指値注文が少ない様子が分かります。ということは、リピート系FXでも一括損切り注文は不人気だと予想できます。
FX各社のツール開発や維持にはコストがかかりますので、不人気な機能に経費をかけ続けるわけにはいきません。機能そのものを搭載しないくらいですから、極端に不人気なのかもしれません。
これが、自動の一括決済注文がない理由として考えられます。トラリピが一括決済機能を追加設定部分に追いやっているのも、使っているユーザーが少ないからだと考えられます。
理由:使わなくても好成績だから
もう一つの理由としては、一括決済機能がなくても好成績だという点が考えられます。
上の画像の通り、2018年4月1日~2023年3月31日までの5年間について、ループイフダンを使ったユーザーの平均損益は91万円のプラスでした。
これは平均値であって、全顧客の何%が利益になったのか分かりませんし、上位数%の大口顧客が思いっきり稼いだだけかもしれません。しかし、平均で91万円のプラスというのは大変な数字です。
この期間のチャート
なぜこれほど好成績だったのかを確認するために、この期間のチャート形状をチェックします。
上は米ドル円の月足チャートで、2018年4月から2023年9月上旬までを表示しています。チャートの前半は概ね横ばいで、後半に大きく円安になっていることがわかります。
この形状が、ユーザー成績にも反映されているはずです。
スワップポイントを考慮すると、買いで取引する人が多数派だったでしょう。米ドル円が横ばいだった期間にひたすら利食いを繰り返し、そして、円安方向に跳ねました。
このため、一部の大口ユーザーだけでなく、他の大勢も儲かったのだろうと予想できます。その結果が、平均で91万円という数字です。
ちなみに、上の米ドル円は100円~150円くらいの範囲を動いています。これだけ値動きの範囲が大きく、そして取引期間が長いと、1円や2円の値動きは誤差という感じになるでしょう。
すなわち、任意の為替レートでの自動一括決済注文がなくても、手動操作で十分間に合うということになります。ループイフダンのバナーを見ても、大きく儲かった人の多くは、短期トレードでなく長期トレードだろうと予想できます。
リピート系FXで好成績を収めるには
FX業者は、リピート系FXの顧客成績を公開することがあります。集客のための情報公開ですから、顧客全体でプラスだったという話になります。上の91万円というのも、同じ流れです。
その一方、裁量トレードについて、顧客全体でプラスになったという情報公開は、過去全くないでしょう。少なくとも、ゆったり為替がFXをしてきた20年くらいの間、一度も見たことがありません。
「ループイフダンで91万円儲かって、裁量トレードでは〇万円でした!」という広報ではないので、裁量トレードのユーザーは全体として損していると予想できます。
というわけで、リピート系FXのほうが成績をプラスにしやすい可能性があります。
以下、リピート系FXと裁量トレードの特徴を踏まえつつ、リピート系FXで好成績を収める方法を2つ考察します(スワップポイント益も考慮し、円を含む通貨ペアで買い取引をしている場合で考えます)。
その1:取引範囲をざっくりと決める
取引範囲について、裁量トレードは取引開始位置と決済位置をしっかりと決めて取引します。なかなかシビアです。これができないと、含み損ポジションを持ち続けて困った事態になるかもしれません。
それに対して、リピート系FXは取引範囲をぼんやりと決めて取引できるメリットがあります。取引開始後、為替レートが上下動するたびに自動で利食いを繰り返すので良い感じです。
上のチャートだったら、「とりあえず100円~115円くらいの範囲かな~(赤枠部分)」という感じで取引を続けられたかもしれません。
レンジを外れて円安になったら
その後、米ドル円は大きく円安になりました。ここで、選択肢は2つあります。
一つは、レンジ相場の上限を超えたから取引終了です。円安局面での利食いはありませんが、今まで延々と利益を積み重ねました。それで満足します。
もう一つは、取引を継続するという方法です。為替レートが急落下すると損になるかもしれませんが、リスクを取る見返りに利益を得られます。
利益が尽きる前に停止
ほどほどに儲かったら停止というのは、意外に難しいです。今まで調子が良くて今後も調子が良さそうなのに、取引をやめてしまうということだからです。
そこで、取引を継続するとします。
この場合、相場が不都合な方向に動き始めて利益が減ってきたら、取引をやめて保有ポジションを全部決済します。利益が尽きて純損失になる前に、決済することが大切です。最終的に損切りしても、それまでの利食いが大きいので合計でプラスにします。
その2:大暴落しても平気な取引設定
その1の取引は、大雑把ながら取引範囲を考えて売買しました。
しかし、値動きを考えるのは面倒くさいし、そもそも分からないかもしれません。また、損切りもしたくないでしょう。それならば、ありうる値動き全体で注文を出すという方法を検討できます。ゆったり為替は、この方法を好みます。
上のチャートでは、高値が152円くらいで安値は100円くらいです。この範囲全体で注文を出せば、円高になろうと円安になろうと問題ありません。利食いだけ繰り返します。
この記事を書いている時点で米ドル円は147円くらいですから、大幅円高になっても余裕がありますし、乱高下で利食いを繰り返してくれるでしょう。
ただし、高値と安値の差が50円(5,000pips)ほどもあって巨大で、必要な資金も大きくなるのが問題です。
また、米ドル円は過去に100円を割り込んだ実績があり、近い将来に100円を切ったら…と考えると少々怖いので、その対策も必要です。これらを考慮する場合の通貨ペア案は、以下の通りです。
豪ドルNZドル
上は豪ドルNZドルの月足チャートで、2015年以降を表示しています。高値と安値の差は1,500pipsほどであり、米ドル円の3分の1ほどです。米ドル円に比べて、必要な証拠金を減らせるメリットがあります(豪ドルNZドルで取引すべきだというわけではありません)。
また、過去50年以上にわたって、豪ドルNZドルは1.00よりも上で動いてきました。豪ドルNZドル=1.00のサポートラインが50年以上機能したという意味ですから、日足や週足のサポートラインと比べて信頼度は抜群です(ただし、100%の信頼を置くのはNGです)。
豪ドル円
もう一つ。こちらは1993年以降の豪ドル円で、55円~108円くらいで推移していることがわかります。54円を下回ったことは、過去に一度もありません。
55円~85円くらいの範囲(赤枠)でリピート系FXをすれば、米ドル円よりも資金効率を良くできます。ゆったり為替は、このような巨大な範囲でのリピート系FXを好みます。
下のリンク先記事で、この考え方を詳しく書いています。
どのリピート系FXツールが良いか
最後に、どのツールが最良かを確認します。長期トレードの場合はどれでも構いません。スプレッドやスワップポイントの差がジワジワと成績に反映されるものの、得られる利益に対して小さな割合です。
重視したいのは、使い勝手の良さです。使い勝手が悪いと、好成績でもモヤモヤした感じがしてストレスを感じます(体験済み)。
実績抜群なループイフダンでも良いですし、当ブログでタイアップさせてもらっている「みんなのシストレ(みんなのリピート注文)」でも良いでしょう。
使い勝手が良いツールを使い、余裕のある取引範囲を設定し、そして、損失が大きくなる前に退却。これが、長期リピート系FXで生き残る鍵です。