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概要

アンティークコイン相場の見通し【読者の皆様のお便り】

2021年10月9日

ゆったり為替は「アンティークコイン.JP」でアンティークコインに関する記事を執筆していますが、運営チームの事情で記事更新がままならない状態になっています。

という状況で、アンティークコイン相場に関する質問をいただきました。

相場について個別回答は難しい(トラブルになりかねない)ですが、どうする?…というわけで、質問いただいた方の許可を得て、メール本文を当ブログに転載させていただきつつ私見を執筆していきます。

アンティークコイン相場のご質問

こんにちは、はじめまして、Sと申します。時々、拝見いたしております。アンティークコインについて、色々な視点から情報発信されているのて、とても勉強になります。

管理者さんは、コインのみならず、経済や歴史にも造詣が深いものとお見受けします。
不躾ながら、下記の質問にお答えいただければ幸いです。

ここ数年のコイン投資ブーム?のためか、コイン価格が急ピッチで上昇しています。
世界的な緩和マネーがコイン相場にも波及しているのも要因のように感じます。
しかし、来年以降に予想されている金融引き締めが引き金となり、コイン相場が暴落する可能性もあるかと思います。
ややバブル気味な感じもするので・・・。
ただ、元々インフレには強いので、それ程の下落は無いようようにも思います。

管理者さんの感じている現在のブームや相場感、今後の見通しなど、私見で構いませんので、お聞かせいただければ幸いです。

では、よろしくお願い致します。

Sさん、お便りありがとうございます。世の中の雰囲気に流されず「本当はどうなんだ?」と考える姿勢が素晴らしいです。ゆったり為替がFXを始めた当初、アフィリエイターの煽りに完璧にハマって損したので、今ではSさんのような視点をいつも持っています。

なお、アンティークコイン相場見通しを詳細に書くと、あまりに文章が長くなって読むのが辛くなるかもしれませんので、いくつかのカテゴリーに絞って考察します。

では、直近のバブル的な金融状況以外の考察を先にご案内し、その後に直近の金融を含めて書いていきます。

アンティークコイン相場の現状と歴史

今の相場がどうなのか?を知るには、過去はどうだったのか?を知る必要があります。過去と比較しないと、今は高いのか安いのかさっぱり分かりません。

ところが、この点に関していえば、株やFXと異なりアンティークコインは厄介です。日経平均株価に相当する指数はありませんし、過去のチャートもありません。

チャートがない理由は、一物一価が成立していないからです。例えば、日経平均株価が3万円だったら、誰が見ても3万円ですし、日経平均ETFを買うなら3万円付近で買うことになるでしょう。

しかし、アンティークコインの場合は、特定のコインについて価格の幅があります。全く同一のコインでも、ある人は100万円で売れるだろうと言い、しかし別の人は120万円の価値があると言う…そういう世界です。

では、世の中の多くの人は何を基準に考えているでしょうか。初心者の方は「雰囲気」にならざるを得ないでしょうが、上級者になるにつれてカタログやオークション実績を調査して価格推移を追えるようになります。

なお、紀元1世紀にはすでにアンティークコインがコレクションアイテムとなっていたことが知られており、すなわち何となくであっても相場が形成されていた可能性がなくはありません。

しかし、現在のような相場が形成され、かつ文献で価格を追跡調査できるのは直近の数百年くらいです。「ウナとライオン」だったら発行時から追跡調査しても良いかもしれませんが、何十万種類もあるコイン全てを調査できません。

そこで、工夫が必要です。

アンティークコイン相場のグラフ

以上の通り、アンティークコイン相場にはチャートがないのですが、全くないというわけではありません。下のグラフはアンティークコイン相場の様子を示したものであり、この種のグラフをご覧になったことがあるかもしれません。

コインインデックス

グラフをざっくりと確認しますと、青線はアンティークコインの相場推移で、オレンジ線は日経平均株価です。表示期間は2000年代ですから2008年のリーマンショックを含んであり、その時期は株だけでなく債券など投資商品の価格は軒並み暴落という惨状でした。

しかし、アンティークコイン相場に陰りは全く見えません。ひたすら上昇しています。しかし、これを受けて「よっしゃ!アンティークコインは買いだ!」と考えてはいけません。

このグラフは、Stanley Gibbons Rare Coin Index と呼ばれるもので、指数計算に採用されたコインの一覧を見ますと、歴史的に極めて価値あるコインで構成されています(その一覧へのリンクを貼ろうとしましたが、ワクチンソフトから警告が出てしまったので回避します。Stanley Gibbonsが管理をサボっている模様…)。

その他のコイン価格動向までは、このグラフからは分かりません。

ちなみに、このインデックスは今は更新されていないようですので現在の状況を数字で示すことはできませんが、直近数年くらいの価格は大変な高騰となっています。

歴史的に貴重なコイン

以上から、お問い合わせのコイン相場分析について、一部が可能になります。

歴史的価値が高いコイン

歴史的価値が高くて人気もあるコインは、世の中の状況に関わらず価格が上昇してきた。ゆったり為替の調査では、この傾向は上のグラフの範囲外でも同様であり、今後も同じ傾向が続くと予想できる。

2008年のリーマンショックに限らず、様々な世界的ショックでも価格が下がらないで逆に上がる理由は、欲しいという人数に比べてコインの残存枚数が圧倒的に少ないからでしょう。

例えば、ある人が歴史的に貴重なコインを保有していて、リーマンショックで大損害を受けたとします。「ダメだ…銭がない…そうだ、このコインを売ろう」という感じで売りに出したとしますと、「待ってました!やっほ~い!高くてもいいから売ってくれ!」という感じで買いたい人が群がります。

これでは、価格は下がりません。

よって、これからアンティークコインを買おうという場合、歴史的価値があり、人気が高く、過去の推移を見ても価格が上昇してきたならば、今後も堅調な推移を期待できます(実際にどうなるかは、その時になってみないと分かりませんが)。

超高額でなくてもOK

上の分析に該当する「歴史的価値と人気を兼ね備えたコイン」につき、価格は数百万円~1,000万円超という場合が少なくありませんが、100万円未満でも存在します。

「あれ?このコインは、過去何十年と遡っても相場価格が下落した形跡がない…その割には高くないな。」という具合です。

そのコインは何か?ですが、歴史的な価格推移を知っているコイン商でご確認ください(または、文献を漁ってもOKですが、文献を見つけること自体が難しいです)。

「歴史的な推移を知っているコイン商」という条件もまた大変難しいですが、(株)ダルマが該当しますので、色々意見交換していただいて知識を蓄えていただきたいと思います。

なお、(株)ダルマには古文書のような書籍も多数収蔵されていますが、これはあまりに貴重なので、手に取って読み込むのはできないかもしれません(外国語かつ古い言葉なので、読むこと自体も大変ですが)。

イナゴに注意

なお、歴史的価値と人気を備えたコインでも、直近の相場高騰でマネーゲームの対象となった場合には、近い将来に下落する可能性があります。

株式市場でも、企業業績に特段の変化がないのに突然のように人気化して暴騰し、かと思いきや暴落して元の価格水準に戻る場合があります。いわゆる「イナゴ」ですが、アンティークコインでも発生します。

アンティークコインの場合は株に比べて値動きがゆっくりですから、価格暴騰開始から暴落完了までの期間は年単位になる場合があります。よって、あるコインを買いたい(そして、それは高額だ)という場合、イナゴっぽくなっていないか、過去の推移の検証が必要不可欠となります。

また、特定のコインについて、比較的短期間でイナゴが形成される場合もあります(これは暗躍する誰かがいるから可能と推測できます)。

正直なアンティークコイン業者なら、特定のコインについてイナゴになっているなら、その可能性をぼんやり示唆してくれますので購入前に確認したいです。

ちなみに、戦後日本での価格動向を見ますと、比較的大きな規模でイナゴが形成された時期があります。適切な情報を仕入れ、そして自分で正確な分析ができないまま雰囲気に乗って買うと、ひどい目に遭う可能性があります。

モダンコイン

次に、モダンコインに移りましょう。

モダンコインとは、発行後の経過期間が概ね100年未満のコインを指しますが、ここではもっと直近で1980年代くらい以降のコインにします(1980という数字に意味があるわけではなく、モダンコインの中でも新しいという意味です)。

この種のコインは発行後の時間経過が短くて歴史的価値が乏しいですから、歴史的価値を備えた人気コインと比較して、価格の下方硬直性が弱いと想定できます。

そして重要な点として「発行者(造幣局)は、コインの人気が高まれば多種多様なコインをたくさん生産し、人気が落ち着いたら発行を控える」という傾向があります。なぜなら、造幣局はボランティアでなく独立採算で儲ける必要があるからで、ニーズに応えて発行量を調整します。

よって、「今、世界的に見てコイン熱はどんな感じだろう?」を知りたければ、各国造幣局の記念コイン発行状況を知れべればOKですし、人気の時期には次から次へと新コインが発売され、そのたびに購入者が殺到することになります。

では、人気が落ち着いたらコイン価格はどうなる?ですが、人気が高い時期のコインは価格が高く、人気が落ち着くと価格も下落する可能性に注意が必要です。人気がある時期の価格が高い理由は簡単で、顧客がコイン熱に浸っているからです。その熱が冷めたらどうなる…?

これからモダンコインを買う場合は、熱が冷めても価格を維持できるか?を重点的に考察することになります。

来年(2022年以降)の金融引き締めと価格

では、(ようやくですが)お問い合わせの本題に移りましょう。2022年以降に予想される金融引き締めと、コイン価格の関係です。

現在は世界的に見てお金が余っており、お金の置き場がなくてどうしようもない状態が継続しています。このどうしようもないお金はどこに行くのか?ですが、株式市場・債券市場・不動産・アート・アンティークコインなどです。

そして、金融引き締めが始まったとします。これは、世の中に溢れかえったお金が各国中央銀行に回収されることを意味しますから、お金が余って仕方ない!という状況は徐々に緩和されることになり、資金の流れは逆回転になると考えるのが自然です。

すなわち、株式市場・債券市場・不動産・アート・アンティークコイン等から資金が抜けます(=価格の下落)。

ただし、アート等と比較して、株式市場は別格です。金融引き締めということはすなわち世界経済が正常化・発展に向けて進んでいるということであり、各国中銀は、実体経済への打撃を回避するために株式市場を注視しながら金融正常化を目指すでしょう。

すなわち、株価は短期的な調整局面を経つつ力強く上昇する可能性があります。それに比べると、アート等は大きな価格下落を経験する可能性があります。

金融引き締め
→ 投資商品からお金が抜ける
→ 価格が下落(株式は別格)
→ 経済発展・株価上昇を受けて資金流入復活

この流れは自然だと思いますが、アート等は株式等と比べて、価格下落から資金再流入までに要する時間が長めになると予想できます。また、各国中銀はアート等の価格動向を全く考慮しないでしょうから、株価のように守られていません。

よって、価格調整局面が長続きする可能性を覚悟しなければならないでしょう。

そして、アンティークコインだけはこの流れに乗らず価格は下落しない、と考えるのはあまりに楽観的であり、警戒が必要です。

では、アンティークコインを買うべきでないか?ですが、そうではなく、この記事の上の方に書いた話に戻りまして、経済状況がどうなろうとも価格は下落しなかったコインがいくつも存在しますから、それらを選択することになります。

歴史が浅いコインやイナゴになりそうなコインの購入は、特に注意が必要です。

金相場と銀相場

もう一つ、今後の価格動向で注目すべきは金相場・銀相場です。

例えば、相場価格が10万円の金貨があるとして、その重量から考えて金(きん)の価値が9万円でその他の価値が1万円だとしましょう。この場合、2022年以降にコインの世界から資金が逃げる事態になっても、金相場が堅調ならばコイン価格はほとんど下落しません。

仮にコインとしての価値がなくってしまっても、金としての価値が残るので、金として売ってしまえば良いからです。

逆に言えば、コイン熱は世界的にずっと継続するとしても、金相場が大幅下落するとコイン価格も下落することになります。よって、自分が持っている金貨・銀貨だったりこれから買いたいコインについて、そのコインに占める素材価値はどれくらいだろう?そして金銀相場はどうなっているだろう?を確認することが必要です。

なお、歴史的価値と人気を兼ね備えたコインについては、金銀相場と関係ないところで価格が形成されています。

例えば、世の中には100万円する銀貨がありますが、その銀としての素材価値はせいぜい数千円でしょう。すなわち、そのコインは素材とは関係のないところで価格形成されており、銀相場が暴落しても影響はありません。

価格決定要素は様々

以上、あまりにざっくりとではありますがコイン価格について考察し、この中で価格決定要素が複数出てきました。

  • 発行時期
  • 人気
  • 素材
  • イナゴ
  • 金融の状況

よって、今後の価格推移を検討したい場合、金融引き締めだけに注目すると足元をすくわれる可能性があります。金融引き締めに注目しつつ、その他の状況も勘案して売買を決定します。

正確な情報そして適切な分析力が命であり、ウェブサイトやyoutubeで簡単に見つかる心地よい情報は(ゴニョゴニョ…省略)。

ちなみに、ゆったり為替は、アンティークコインを相場として見る傾向はやや弱めで、デザインや歴史を重視しています。この種の人々が一定数存在し、価格の下落時には、この種の人々がアンティークコインコイン価格を支えてくれます。

例えば、ある人がアンティークコインのシリーズを集めていて、あと1種類がどうしても見つからないとします。そして価格下落局面がやってきて、相場を軸にコインを見る人々はどうしても買いづらいという状況になったとしても、その人は、残り1種類が見つかったら躊躇なく買います。

最後に、冒頭で申し上げました通りアンティークコイン.JPの記事更新が滞っていますので、ツイッターでつぶやいています。ツイッターだと深い情報の提供は困難ですが、有用な情報もときどき出てくるでしょうから、そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

(追記)相場全体が下落したら?

(追記日:2021年10月10日。全体として文章が楽観的なので、バランスを取るために追記します。)

この記事の中ほどでイナゴについて書きましたが、イナゴを形成しているコインは他のコインに比べて異常に値上がり率が高いので、比較的分かりやすいです。そして上昇から下落に転じたら、誰の目にもイナゴだと明らかになります。

では、相場全体がイナゴだったら?…どうでしょうか。相場全体がイナゴだと、なかなか見えづらいです。また、イナゴでなくても、相場全体が下落したらどうしましょう?

「それはない」と書きたいところですが、例えば日本のバブル経済崩壊後の様子と見ますと、多くの株式が全体的に下落しました。そこで、リスク管理のために、これがアンティークコインに当てはまる可能性を検討しても良さそうです。

例えば、そうなる可能性は低いけれどもありうると思うならば、自己資産全体に占めるコインの割合を調整します。

具体的には、コイン投資をしていて買い値と現在値を比較すると、現在値の方が圧倒的に高くなっている場合があるでしょう。すなわち、自己資産に占めるコインの割合も高くなっています。そこで、少し売却して調整します。

その後、仮にコイン価格が下落する場合、既に売却した分については現金が減ることはありませんから売って正解だったとなりますし、下落の過程で残りをゆっくり売れます(すでに一部で利益確定できているので、早く売らないと!という感情を控えめにできます)。

逆に、コイン価格が全体的にさらに上昇する場合には、既に売ったコインについては含み益は増えませんが、他の所有コインの含み益が大きくなるので資産は増えます。

すなわち、調整後に価格が上がっても下がっても「そこそこ良い感じ」という状態を目指します。

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