世の中は、新型コロナウイルスの話題でいっぱいです。
この状態でも、為替相場は取引可能です。リーマンショックの時も、東日本大震災の時も、外国為替市場では取引が継続しました。
外国為替市場の強靭さが分かります。
では、今回の騒動を受けた通貨ペアの動きを、見ていきましょう。こういったショックを軽視できる通貨ペアもあります(軽視どころか、無視さえ可能です)。
新型コロナウイルスの影響が大きい通貨ペア
新型コロナウイルスの影響が大きいのは、以下の通貨でしょう。
- 「中国が風邪を引けば肺炎になる」通貨
- 新興国通貨
中国が風邪をひくと…
何十年も前の話ですが、「アメリカが風邪をひくと、日本は肺炎になる」と言われた時期がありました。
日本経済のアメリカ依存度が、極めて高かったことを示しています。
アメリカ経済の調子がおかしくなると、消費が減ります(風邪をひく)。すると、アメリカ向けに輸出していた日本は、輸出が減って不況になるという構図です(肺炎になる)。
中国に対して同じような構図になっている国は、経済がおかしくなりやすいです。
と言いますのは、今回の新型コロナウイルスの発信源は中国であり、最もダメージを受けているのも中国だからです。
中国依存度が高いのは、以下の両国です。
- オーストラリア
- ニュージーランド
この両国の通貨は、弱くなりやすいです。
新型コロナウイルスの影響が出る前に、既にこの2つの通貨は弱くなっていました。それに追い打ちをかけています。
豪ドル円のチャート
下は、豪ドル円の月足チャートです(セントラル短資FXから引用)。2010年以来の安値を、しっかりと更新しました。
安値目途は、55円まで行かないと見えません。すなわち、最大円高目途は55円ということになります。
とはいえ、2000年頃のチャート形状を見ますと、60円及び65円あたりで相場の壁を確認できます。
上のチャートでは、2000年前後が表示されていません。そこで、DMMFXのチャートで確認しましょう。超長期チャートは、DMMFXが極めて素晴らしいです。
下は、1987年以降の表示です。
少々分かりづらいかもしれませんが、月足で見た直近の安値目途は、65円あたりです。
ゆったり為替としては、「やっと下落したか。」という感じです。と言いますのは、豪ドルの下落を数年前から警戒し続けていたためです。
当時、FX専門誌『FX攻略.com』でも、豪ドルの長期的な大幅下落について記事を掲載させていただきました。
下の記事は、TWIを元にして、オーストラリアが中国依存度を極端に高めてきた様子を考察しています。
あとは、見通しが現実になるかどうか、推移を確認していきます。
新興国通貨ペア
豪ドルやNZドルのほかに、今回の騒動で警戒すべき通貨ペアがあります。新興国通貨ペアです。具体的には、以下の通りです。
- 南アランド円
- トルコリラ円
- メキシコペソ円 など
新興国通貨ペアは、先進国と比較して、政治的・経済的に強くないことが特徴です。
すなわち、世界的に何か大きなショックがあると、その影響を直接的に受けやすいです。具体的には、円高です。
下は、トルコリラ円の月足チャートです。
新型コロナウイルスの影響で…と書きたいところですが、トルコリラ円は2015年から一方的に下落しています。
トルコは、通貨価値を自ら引き下げる政策を連発してきました。よって、この結果は仕方ないと感じます。
新型コロナウイルスの影響で、下落が加速しなければいいな…と感じます。
しかし、「下落が加速しなければいいな…」は、分析でも何でもありません。ただの願望です。すなわち、本当は下落するだろうと感じているということです。
よって、買いでトレードするのは難しいという印象です。
また、売りのトレードは、スワップポイント損が厳しいと感じます。すなわち、取引せずに傍観します。
新型コロナウイルスの影響を軽視・無視できる通貨ペア
逆に、影響を軽視できる通貨ペアもあります。代表格は、豪ドルNZドルです。
下は、週足チャートです。月足ではありません。すなわち、新型コロナウイルスの影響があるならば、値動きにはっきりと表れるはずです。
しかし、実際はどうでしょう?「何も影響がない」と断定的に書いても構わないくらいの値動きになっています。
この理由は、「オーストラリアとニュージーランドは似ているから」でしょう。
具体的には、以下の通りです。
- 中国との結びつきが強い
- 第一次産業が強い
- 先進国
- 政治思想・経済思想が同じ
- 財政健全度が同じくらい
- 地理的に近い
為替レートとは、通貨と通貨の交換比率です。すなわち、一方の通貨に人気が出れば、その通貨が強くなります。
例えば、米ドル円において、何らかの理由で米ドルの人気が高まり、相対的に円の人気が落ちたとしましょう。
この場合、円を売って米ドルを買う動きが活発化しますので、円安になります。
ところが、オーストラリアとニュージーランドにおいては、この人気の差が出づらいです。なぜなら、両国は似ているからです。
「新型コロナウイルスで大変だ!」…となっても、両国とも同程度の影響。「中国がピンチだから自国経済に悪影響が!」…これも、両国とも同程度の影響。
こうなると、為替レートは一方に偏りづらいです。
豪ドルNZドルの年足チャート
下は、豪ドルNZドルの年足チャートです。1973年以降を表示しています。
1980年代前半に、異常値のような感じになりました。それを除くと、1.0~1.4の間で動いてきました。
50年近くにわたって、わずか4,000pipsの範囲を動いたということです。異常値に見える部分を含めても、わずか7,000pips台です。
米ドル円と比較してみましょう。1973年以降の高値は308円くらい、安値は75円くらいです。差は233円(23,300pips)くらいです。
豪ドルNZドルがいかに安定しているか、良く分かります。
安定性が最大の武器
この安定性こそが、トレード対象として見る場合の、豪ドルNZドルの「最大の武器」だと考えています。
すなわち、上昇すると思って買ったけれど、下落したとします。損切りしますが、取引数量を抑えていれば、ダメージを抑えられるでしょう。
値動きは比較的ゆっくりで、値動きの幅自体も狭いです。損切りタイミングを逃しても、他通貨ペアに比べて軽傷にできます。
また、この値動きは、リピート系注文にピッタリです。値動きの範囲が小さいので、大きな資金を要しません。
ゆったり為替は、豪ドルNZドルについて、ブログに書いてきませんでした。しかし、ループイフダンの書籍発行に際してご案内してから、しばしばブログに登場しています。
豪ドルNZドル=1.00の下値は、極めて強力です。よって、トレードしやすいです(ただし、1.0を完璧に下回る場合に備えて、資金管理は万全にしたいです)。
米ドル円はどうなのか
では、日本のFX市場で最も取引されている通貨ペア、米ドル円はどうでしょうか。
これにつきましては、下のリンク先記事の分析を維持します。すなわち、レンジです。
下は、米ドル円の月足チャートです。月足チャートからは、新型コロナウイルスの影響が良く分かりません。
現在は、ペナントを形成しています。あるいは、レンジだとみなすこともできます。下値目途は、105円または100円です。
相場観をどうやって養うか
以上の話は、相場観を元にして書いています。トレードをする場合、「今度どうなる?」という相場観を養うことが大切です。では、どうやって養いましょうか。
上の記事では、TWIという聞きなれない指標が出てきたり、1973年以降のチャートが出てきたりしました。ゆったり為替独特だと思います。
もう少し一般向けの、しかも簡単な方法はないか?ですが、あります。
この方法を使うと、豪ドルNZドルの相場観を速攻で把握し、ウェブ上で話題になる前に取引可能でした。
「何だ、ウェブでは今さら話題にしているのか。自分はずっと前から知っていたし、それを使って取引していたよ」という具合です。
その方法を、レポートに書いてお届けしています。みんなのシストレ口座を開設して取引いただくと、もらえます。
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レポートでご案内した方法に加えて、下値支持線や上値抵抗線の考え方を採り入れると、リピート系注文で大きな効果を発揮することでしょう。
方法自体は、あまりに簡単です。
「ゆったり為替は使えるけれど、他の人は無理」では、公開する意味がありません。
読んでいただき、実際にチャートを眺めて、良く分からないなあという点がありましたら、遠慮なくご質問をお寄せください。