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米国の長期金利・短期金利の逆転で不景気突入か。米ドル円の見通しは【2019年8月】

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米国の長期金利と短期金利の逆転現象が、話題になっているようです。そこで、3つについて確認しましょう。

すなわち、この逆転現象の様子、それが米国の景気に与える影響、そして米ドル円はどうなるかの見通しです。

長期金利と短期金利

債券は、発行時に償還時期(返済期限)が決められます。10年国債だったら、発行して10年後に借りたお金を返しますよ、ということです。

この返済期日を満期と言います。

満期までの期間が長い債券の金利を長期金利、期間が短い債券の金利を短期金利と呼びます。

長期金利という場合、一般的には残存期間10年の債券について語られる場合が多いです。

長期金利の方が高い

そして、通常は、長期金利の方が短期金利よりも大きな数字です。

例:
10年債:2.00%
1年債:0.50%

これは、私たちが他人にお金を貸す場面を想像してみると、分かりやすいです。

「今日借りて、明日返す」という場合、返済してくれる可能性は比較的高いと予想できます。よって、お金を貸す対価(すなわち、金利)は低くてもOKと判断可能です。

一方、「今日借りて、10年後に返す」という場合、10年のうちに何が起きるか分かりません。返済されないリスクが現実的ですので、お金を貸す対価(金利)を高くしてバランスを取ります。

短期金利の方が高くなる場合がある

ところが、実際には、短期金利の方が長期金利よりも高くなることがあります。

リスクと金利が見合わない…ということです。なぜ、そんな変な状態が発生するのでしょうか。

その理由の1つとして、「10年という長期を見通すと、今後は金利が低下するだろう。だから金利が低い。」があります。

今は金利が高い、しかし、長期的には金利が低いという見通し。これはどういうことかと言えば、将来は不景気になって資金需要が落ち込むだろうという予想です。

不景気になって資金需要が減れば、金利は低くなります。

金利市場の参加者は、将来の不景気を敏感に察知しているということです。

イールドカーブ

そこで、残存期間10年の債券と、1年の債券の金利を比較しましょう。残存期間が異なる債券の金利をグラフ化したものを、イールドカーブと呼びます。

下のグラフは、Quandlからの引用です。

1990年からのグラフです。30年近くの長期間で表示しています。緑色の線は、10年債です。そして紫色が、1年債です。

イールドカーブ

少々分かりづらいので、赤枠で囲みました。赤枠部分で、短期金利の方が高くなっています。

一番右の赤枠が、現在の逆転現象です。

イールドカーブ

こうしてみると、長短金利の逆転現象はレアケースだと分かります。通常は、長期金利の方が高いです。

長短金利差の逆転と、米国景気

これまでの考察で、この長短金利差の逆転は、将来の不景気の示唆だと確認しました。では、実際はどうだったでしょうか。

1960年代からのデータがありますので、確認しましょう。gurufocusからの引用です。

イールドカーブ

グラフの真ん中に、赤い線があります。これは、「10年債利回り-1年債利回り」の大きさがゼロだという線です。

すなわち、赤線よりも上で推移すれば、通常の状態です。赤線よりも下ならば、長短金利の逆転現象です。

1960年代から50年以上の範囲で見ると、長短金利の逆転現象は何度か起きていると分かります。色合いが少々見づらいかもしれませんので、枠などを追加したのが、下のグラフです。

赤の矢印部分で、長短金利の逆転現象が起きています。そして、青い枠は、米国のリセッション(不景気)の時期です。

イールドカーブ

長短金利の逆転=不景気

上のグラフを見れば、明らかなことがあります。「長短金利の逆転現象が起きたら、その後、米国はいつもリセッションになった」です。

過去50年間、1回の例外もなく、必ずリセッションになりました。

今回は、どうなるでしょうか。「今までとは違う。今回はリセッションにならない。」と言うことは可能です。将来何が起きるのか、確定的な見通しを出すことは誰にもできません。

しかし、合理的な人なら、近い将来にリセッションになることを前提に行動したいと思うでしょう。

トランプ大統領が、FOMCに対して金利引き下げを何度も要求しています。これは、根拠のない滅茶苦茶な要求ではないと分かります。

その一方で、雇用情勢などは強いです。金利を継続的に引き下げ続けるのはねえ…という判断も、理解できます。

今後の推移を見守りましょう。

米ドル円の見通し

この記事では、「近い将来に米国はリセッションになる」という仮定で話を進めます。

過去50年以上繰り返されてきた現象が、今回は起きません!と主張するだけの根拠がないからです。

では、米国がリセッションになる場合、米ドル円の見通しはどうでしょうか。最初に、1973年以降の長期チャートを確認しましょう。

米ドル/円の長期チャート

このチャートを見ますと、1990年くらいを境にして、トレンドが大きく変わっていることが分かります。

  • 1990年頃まで:大きく円高
  • 1990年頃以降:レンジ

トレードの視点で見ると、1990年までのデータは利用価値が低いのでは?とみなせます。そこで、1990年以降について確認しましょう。

下は、1990年以降の米ドル円です。そして、赤枠は、米国のリセッションと、その前後を含む時期を示しています。

米ドル円のチャート

1990年代前半と、2008年あたりのリセッションでは、円高になっています。その一方、2000年代初めのリセッションでは、円安に振れていることが分かります。

よって、米ドル円の見通しを考える際、「米国の不景気は円高に直結する」と考えると、トレードで痛い目に遭うかもしれません。

米国のリセッション=日本の不景気?

少し視点を変えて、米国がリセッションになったら日本の景気はどうなるだろう?を考えてみます。

ここでは、政府が発表する景気循環でなく、体感を重視してみます。

  • 1990年代前半:バブル崩壊直後でギャー
  • 2000年初めごろ:ドットコムバブル崩壊でギャー
  • 2008年頃:リーマンショックでギャー

すなわち、米国のリセッションは、日本にも直接的に悪影響が及ぶ可能性があります。

「今回は違う」と主張するだけの根拠があれば良いのですが、そのような根拠は、どうも見つからないようです…。

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