ゆったり為替は、しばらくポンド円について記事を書いてきませんでした。
それは、ポンド円に関心がないのではなく、どうなるか分からないからです。適当に書くくらいなら書かない方がいいや、というわけです。
長期見通しの作り方
長期見通しを考えるとき、ゆったり為替は過去数十年分のデータを見て考えます。すなわち、単なる予想でなく、過去の事実に基づいた考察です。
例えば、「〇〇国の政策金利の上昇は、円安に結び付くだろう」といった、もっともらしい話に、すぐには賛成しないほうが良いです。
過去の事実と異なることが珍しくないからです。そこで、事実はどうだったか?を調べます。
そして、もっともらしい話と過去の事実に大きな差があるとき、大チャンスです。
黙ってトレードしましょう。勝利が近づきます。
イギリスのEU離脱は過去実績がない
この視点で考えますと、イギリスのEU離脱は過去に例がありません(当然ですが…)。
連合王国が解体されるかも?という話があちこちで出ていますが、連合王国が解体されたこともありません。よって、過去実績に基づいた考察ができません。
(イギリスは、イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの連合王国です。)
ただ、自然に考えるなら、イギリスの連合王国解体&各地域の独立は、ポンド安の原因になるでしょう。
その一方で、イギリスのEU離脱は、長期的に見てポンド高・ポンド安どちらの原因になるのか、正直なところ分かりません。
これを機に、自由度を高めて発展するかもしれません。米国との連携が、一気に進むかもしれません。逆に、デメリットの方が大きくなるかもしれません。
というわけで、「連合王国解体がポンド安につながる」という考え方を頭に置きつつ、長期チャート中心に考察します。
1997年以降の長期チャート
下は、ポンド円の長期チャートです(セントラル短資FXから引用)。
2008年のリーマンショック前には、250円を超えるような時期もありました。今では半値近くになっています。
大雑把に見ると、リーマンショック後に値動きが大きく変わったように見えます。リーマンショック後、200円を超えて上昇したことがありません。
そして、120円割れの水準に、とても強い下値支持線があることが分かります。
そこで、2007年からのチャートを確認しましょう。
リーマンショック後、底値と言えそうな水準を3回記録しています。
- 2009年:118.76円
- 2011年:116.83円
- 2016年:118.19円
いずれも、120円割れの水準です。
この記事を書いている時点の為替レートは、130円台です。歴史的安値まで少し距離があるとはいえ、近づいてきました。そして、歴史的安値付近では、反発して上昇しやすいと想定できます。
ポンド円の週足チャート
次に、週足チャートを見ましょう。小さい画面にチャートを無理に表示しています。少々見づらくてすみません。
現在の130円というのは、週足で見て相場の壁になっていることが分かります。2016年後半を見ますと、130円の部分で反発や反落が繰り返された様子が分かります。これが、相場の壁です。
今回も、130円で下落が一時的に止まる可能性があります(相場の雰囲気を見ますと、一気に120円台になるかな…とも思いますが)。
中長期的な見通し
イギリスのEU離脱問題について、さらにゴタゴタが出てくるかもしれません。よって、いつものようには書きづらいのですが、中長期の見通しを以下の通り考えています。
- 130円あたりで、いったん下落が止まる可能性
- 120円割れまでは、下落余地あり
- 連合王国解体となれば、2桁まで下落する可能性
- EU離脱の長期的影響は、分からない
いずれにしましても、ポンド円を買うという選択肢は、採用が難しいです。取引しないで見送るか、あるいは、売るかだと思います。
リピート系注文での対応
トラリピやループイフダンなど、リピート系注文でポンド円を取引している場合、相場に不安材料が渦巻いて乱高下するのは、実は最高の展開です。
乱高下すればするほど、利食いを繰り返してくれます。
ゆったり為替の場合、2010年だったか2011年だったか、ポンド円が恐怖に包まれて乱高下したときに手動トラリピを敢行し、1日で50万円くらい(だったかな?)を利食いしたことがあります。
よって、今回の乱高下は、悪いどころか最高の展開かもしれません。
しかし、よく見ると、最近の値動きは下方向に偏りすぎています。「乱高下」でなく「急落」という感じです。これだと、ポジションが増えるばかりで利食いがあまりありません。
ゆったり為替の対策
ゆったり為替が、ポンド円の買いで長期のリピート系注文をしている、と仮定する場合、おそらく以下の対応を取ります。
こうすれば、少しずつ含み損ポジションを減らして行けます。手元に残る利益は少なくなるか、またはゼロ付近になりますが、損するよりはいいや、ということです。
そして、途中でドカンと反発したら、その時は一気に利食いできるのでヤッホー!です。
連合王国
余談になりますが、イギリスの連合王国は、いつできたでしょうか。調べてみますと、1707年だそうです。
江戸時代…と書いても、日本とイギリスで場所が違いすぎてピンときません。そこで、当時発行された銀貨で見てみましょう。当時の国王は、アン女王でした(下の画像)。
ふっくらした容貌です。アンティークコイン.JPを見ますと、国王の順序と容貌が、コインの肖像とともに理解できます。長い歴史です。アン女王は、記事の下の方にあります。
さらに調べてみますと、イングランドが圧倒的な経済力・人口を使って、スコットランドやアイルランドを支配下に置いてきた様子が分かります。
古い話で恐縮ですが、2006年~2007年シーズンのチャンピオンズリーグで、セルティックの中村俊輔が、フリーキック2発でマンチェスター・ユナイテッド(マンU)を撃破しました。
セルティックファンの喜び方が尋常でなかった記憶があります。
今思うと、セルティックの本拠地グラスゴーは、スコットランドにあります。一方、マンUは、スーパーマンが集合したイングランドのチームです。
スコットランドとイングランドの確執を感じます。
今回のEU離脱問題も、北アイルランドやスコットランドは反対でした。イングランドの人口が圧倒的なので、イングランドの意向で決まってしまいました。
下の地図は、EU離脱の国民投票結果です。スコットランド(イギリスの北部分)は、真っ黄色です。すなわち、EU残留派多数です。北アイルランドは少々意見が割れていますが、全体としては残留です。
そして、イングランドは離脱です。
開票の模様は、下のリンク記事で確認いただけます。
歴史的経緯も加わり、両地域の怒りが爆発!という感じなのかもしれません。
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イギリスのEU残留・離脱を問う国民投票速報:投票日の開票状況
2019年11月9日追記: この記事は、イギリスのEU残留・離脱を問う国民投票の開票状況を、時系列の速報で追ったものです。読みやすくするため、レイアウトを修正しました。記事内容に変更はありません。 2 ...
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FXで歴史も勉強できてしまう
最後は、FXと違う方向に話が進んでしまいました。しかし、FXをすることによって、現代の外国為替だけでなく、歴史まで勉強できてしまいました。
FXって、素晴らしい。