経済指標等

米雇用統計で、産業構造や平均時給の変化も分かる

投稿日:2016年7月25日 更新日:

米雇用統計といえば、毎月第一金曜日のイベントです。

農業を除く雇用者数が、事前予想とどれだけ異なるか?という点に注目が集まりますが、その他にも数多くの情報を提供してくれます。

そこで、どんな情報が分かるのか、確認しましょう。また、どうやって統計を作っているのかという方法もご案内します。

米雇用統計発表日は、第一金曜日というわけではない

「今週は第一金曜日だから、米雇用統計発表日だな」と思って経済指標発表予定を見ると、次の週だったということが時々あります。

これは、発表日の決め方が影響しています。

米雇用統計を管轄しているのは、米労働省です。そこで、ホームページで確認しますと、発表日について以下の通り書いてあります。

The Eloyment Situation report is typically relesased on the third Friday after the conclusion of the reference week, i.e., the week which includes the 12th of the month.

簡潔に訳しますと、「一般的に、毎月12日を含む週の3週間後の金曜日に発表します」です。

2016年7月の雇用統計発表日は1日(金)でなく、翌週の8日(金)でした。前月である6月を見ると、12日を含む週の終わりは17日(金)です。そこから3週間数えると、なるほど。1日ではなく8日になります。

日常的には、このような計算をしていられません。

そこで、FX業者の経済指標発表予定一覧表で確認することが多いと思います。万全を期して米労働省のホームページで確認したいという場合は、以下のリンクから確認できます。

リンク:米雇用統計発表予定(米労働省ホームページ)

米雇用統計のデータ集計方法

米雇用統計を見ていると、市場予想と大きく異なることがあります。また、前月発表の速報値が修正されますが、速報値と確定値で数字が大きく異なる場合があります。

その理由を確認しましょう。

発表される数字と為替レート変動を見ながら、一喜一憂する方も多いと思います。その数字の作り方を知っておくと、さらに面白いかもしれません。

調査対象になる企業

米雇用統計はプエルトリコ等を含む全米の統計です。企業数が多いので、米国の全企業を調べるわけにはいきません。

そこで、およそ146,000の企業や政府機関を調査しています。

調査対象になったら、永遠に調査に参加するか

2年~4年で他社と入れ替えになり、終了となる可能性があります。ただし、大企業になるほど長期間にわたって調査対象になるようです。

個別企業のデータは非公表ですので、「~のようです」という表現になります。

調査への参加は義務か

基本的にボランティアですので、義務ではありません。ただし、州によっては、調査票の提出が義務になっています。

公表される雇用統計の数字は、いつのデータか

毎月12日を含む給与計算期間の実績を労働省に提出し、労働省が集計します。

そして、その数字を(多くの場合)翌月の第1金曜日に公表します。このため、極めて速報性の高い数字です。

「給与計算期間」とは

例えば、月給制の企業で、1か月の給与を計算する基準が毎月1日~月末の場合、給与計算期間は1日~月末です。

週給制を採用していて、計算の基礎となる期間が月曜日~日曜日の場合、この1週間が給与計算期間になります。

速報値と改定値の差が大きいのはなぜか

給与計算期間の関係で、月末まで待たないとデータを提出できない企業もあるでしょう。その場合、集計は改定値の計算に回されます。

改定値の集計時に採用数が多い企業が含まれる場合もあるでしょうから、速報値と改定値の差が大きくなると予想できます。

市場予想と実績値が大きく異なる場合があるのはなぜか

データの集め方が以上の通りですので、企業のデータ提出が遅れれば数字も変わってきます。

また、企業内で業績見通しに大きな変化がなくても、ある月は採用者が多くて別の月は少ないということもあるでしょう。このため、予想は極めて難しいと思われます。

米雇用統計で、企業が提出するフォームを見たい

下のリンクからどうぞ。

製造業用の米雇用統計報告フォーマット(米労働省ホームページへのリンク)

米雇用統計のヒストリカルデータが欲しいです。

下のリンク先記事で、ご案内しています。

米雇用統計の見方、データ取得方法

米雇用統計は、以前に比べれば注目度が小さくなっているように感じます。しかし、毎月恒例のビッグイベントであることには変わりありません。 そこで、中長期的な視点での米雇用統計の見方と、データの取得方法を確 ...

続きを見る

平均時給の推移

米雇用統計では、雇用者数増減以外にも、様々なデータを公開しています。そこで、平均時給の推移を確認しましょう。何か分かるでしょうか。

下のグラフは、平均時給の前月比増減率を示しています(季節調整済み)。

米国平均時給20160714

このグラフを見る限り、「平均時給の動向だけで景気動向を考えるのは困難」だと分かります。

リーマンショックやその後の混乱期だった2008年~2009年でさえも、時給は毎月上昇を続けました。その一方で、2011年や2012年などで時折マイナスに転じている場面があります。

2015年には米国の景気拡大が明らかになっていますが、平均時給が下がる場面が見られます。

前月比でマイナスに転じた月に注目してみましょう。上のグラフでは8回ありますが、全ての場合で、翌週には急反発してプラスに戻っていることが分かります。

景気の良し悪しに関わらず、平均時給は下方硬直性があると予想できます。

以上のことから、FXの観点から見ると、他の指標と合わせて使えば何とか利用価値があるかも、というくらいの指標のようにみえます。

というわけで、「平均時給も増加しており、米国の景気拡大はより一層明確に…」という報道が仮にあったとしたら、その報道は、私たちの認識をある方向に誘導しようとしているかもしれません。

というのは、2008年~2009年でさえも毎月プラスだったのですから、平均時給が前月比でプラスだから景気は良いと言うのは無理があるためです。

何か経済指標を考えるときには、直近の数字だけでなく、過去10年程度以上の数字をグラフ化してみると、理解がより深まると思います。

産業構造の変化も分かる

アメリカの産業構造の変遷などを確認するのにも、米雇用統計が役立ちます。製造業とサービス業の雇用者数について、長期的な推移を確認しましょう。

最初に、製造業雇用者数の長期推移を確認しましょう。下のグラフは、米労働省ホームページからの引用です。

1971年以降のグラフです。1999年あたりまでは1,750万人くらいで横ばいだと分かります。

米製造業雇用者数20160714

1980年代、日米は貿易摩擦で大騒ぎでした。しかし、このグラフを見る限りですが、日本の輸出がアメリカの雇用を奪ってはいないとも言えそうです。

あるいは、日本がなければ右肩上がりだったのに、日本が半導体やら自動車やらを輸出するから横ばいになったのかもしれません。この場合は、雇用を奪ったともいえるでしょう。

しかし、1999年以降は明らかに雇用者数が大幅に減っています。製造拠点が中国やインドなどに移動し始めた時期と近いように思います。

その後は一方的に下落し、2010年くらいになってようやく回復に転じました。しかし、その足取りはゆっくりだと分かります。

では、この消えてしまった雇用の受け皿となったのは、どの産業でしょうか。下のグラフをご覧ください。サービス業です。

米サービス業雇用者数20160714

サービス業は、製造業と対照的に増え続けています。2008年のリーマンショックあたりで人数が減っていますが、それは例外的だと分かります。

2015年のサービス業の雇用者数は1億人を超えており、製造業の1,200万人くらいと比較すると10倍近い差があります。

以上の通り、ちょっとグラフを抽出して調べるだけで、実に様々なことが分かります。

米国労働省のホームページでは、とても多くの分野の情報について、このようなデータを極めて簡単に入手できます。グラフ化も容易です。

関連記事

-経済指標等

Copyright© FXゆったりトレード派 , 2019 All Rights Reserved.