アンティークコイン

古代ギリシャ:アテネのテトラドラクマ銀貨

2021年11月10日

今回は、古代ギリシャの都市国家アテネの銀貨「テトラドラクマ銀貨」を概観しましょう。古代の世界史を勉強すると必ずと言えるほど出てくるアテネですが、そこで流通した銀貨が現在も多数残されています。

そして、古代ギリシャは歴史的に有名ですからファンも多く、当時流通した銀貨にも人気が集まっています。

アテネのテトラドラクマ銀貨

さて、FXをしていると外国通貨について詳しくなりますが、それでもユーロ諸国が以前使っていた通貨について知らない、という世代の人が次第に多くなっています。よって、テトラドラクマ銀貨という文字を見ても「意味不明なカタカナだ!」となってしまうかもしれません。

このドラクマですが、ユーロ加盟前にギリシャで使われていた通貨単位です。古代ギリシャのアテネ時代(紀元前400年前後)時代に使われた通貨単位はドラクマ、途中でドラクマが使われなくなった時期が長いものの、西暦1900年代もドラクマ。ギリシャの歴史は大変なものです。

では、テトラとは何か?ですが、「4」という意味です。よって、テトラドラクマ銀貨とは4ドラクマ銀貨という意味です。

次に、両面のデザインを見ていきましょう。

表のデザイン

表のデザインを見ますと、ヘルメットをかぶった人物像が描かれていますが、これはアテネの守護神であるアテナ神を描いたものです。

アンティークコインは為政者の肖像が描かれている場合が少なくありませんが、当時のアテネは民主政治でしたので、肖像としては守護神を選ぶのが自然だったのでしょう(画像は(株)ダルマから引用)。

アテナ

裏のデザイン

そして、下側の写真はコインの裏側ですが、これはアテナ神の使いであるフクロウを中心に置いています。フクロウと言えば頭が良いシンボルとなっていますが、これはアテナ神が知恵・闘争・学芸の神様であったことが由来でしょう。

アテナ

ちなみに、左上にあるのはオリーブの木で、オリーブの木とフクロウの間に三日月が描かれ、右下は文字が切れていますが「AOE」すなわちアテネの略称があります。

高額なコイン

さて、今から2,400年も前のコインとはいえ、比較的多くの銀貨が現在に残されていますから、価値が高いものやそうでないものが出てきます。そこで、超高値になるテトラドラクマ銀貨とはどういうものか、ざっくりと見ていきましょう。

いくつかのポイントがありますが、円形に近いコインが良いです。当時はハンマーでたたきつける方法でコインを作りましたので、コインの形は円形とは限らず、また打ち付けた際に割れ目ができたりと、まさに手作り感たっぷりです。

よって、きれいな円形だと「おお~、美しい…」となります。

また、2,400年も前のコインですからどうしても摩耗がひどくなりますが、摩耗がないほど価値が高くなります。例えば、製造後まもなく壺で保管したら忘れ去られてしまい、2,000年の時を経て発掘!となったら最高です。

そして難易度が結構高いのが、デザイン全てがコインに収まっているかどうかです。下の写真の赤枠で、右側は鼻の頭までしっかり刻印されているか、そして左側の赤枠、ヘルメットの羽部分も全て刻印されているか。

アテナ

ハンマーを使って手作りですから、デザインが全部入っているというコインを見つけるのがとても難しい…。

今回の写真は(株)ダルマで販売中の銀貨であり、その価格は20万円台ですが、もしも完璧なテトラドラクマ銀貨が市場に出てきたら、1桁高い金額になることでしょう。そんな銀貨がオークションに出てきたら、コレクターが争うのでびっくりする高値がつくかもしれません。

アテネの敗北とコイン

ちなみに、都市国家アテネは永遠の繁栄を誇ったわけではなく、紀元前300年代には外国勢力の支配下に収まったわけですが、その痕跡がコインにも残されています。

下のコインは SIX BID から持ってきたものですが、コインの両面に大きな傷がついていることが分かります。これは何でしょう?

テトラドラクマ銀貨

この傷ですが、アテネがスパルタの侵攻を受けて没落した際、スパルタによって意図的に楔(くさび)を打ち付けられてできた傷です。

古代ギリシャ世界の盟主であったアテネ、そしてそのアテネの守護神であるアテナ神とその使いフクロウを傷つけることによって、アテネ市民にアテネの没落を印象付ける効果があったと予想できます。

また、テトラドラクマ銀貨は古代ギリシャ世界全体に広く流通しましたから、当時の世界全体にアテネ時代の終わりを告げる効果もあったことでしょう。

コインに残された傷を見て想像するだけでも、当時のギリシャ世界の混乱した様子がぼんやり頭に浮かんでくる感じがします。

古代ギリシャの地図

最後に、古代ギリシャの地図を確認しましょう。下は、Google Mapであり、現在のギリシャを赤枠で囲っています。

ギリシャの地図

そして、下の地図はThoughtCoから持ってきたもので、紀元前400年代の古代ギリシャの様子を示したものです。

ギリシャの地図

赤色はアテネとアテネの同盟国、青色はアテネのライバルだった都市国家スパルタの同盟国、灰色は中立国で、緑色はギリシャ世界以外の国々、黄色はペルシャです。

都市国家の同盟国はきれいに東西に分かれていたのではなく、複雑に絡み合うように分布していたことが分かります。この状態の2大陣営が争い、外部からの侵攻もあり…となったら、繁栄を極めた古代ギリシャ世界といえども没落してしまったのはやむを得ないかもしれません。

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