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どうしてアメリカは金利を引き上げないのか

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アメリカの景気は、どの指標を見ても概ね好調です。しかし、政策金利は史上最低水準に張り付いたままです。この理由は何でしょうか。

主に消費者物価指数や雇用者の賃金伸び率で説明されることが多いように見えますが、今回は雇用者数を根拠に考えてみます。 



下のグラフは、米国雇用統計の数字です(農業除く、季節調整済み、前月比増減。引用元:米国労働省) 。米国雇用統計は毎月発表されますが、ここでは1年ごとに数字をまとめ、グラフを読み易くしました。縦軸の単位は1,000人です。

20150226 米国雇用者増加数
2008年~2009年にかけて、前月比の雇用者数は大幅に減少しました、減少幅を合計すると、2008年は360万人弱、2009年は500万人強です。わずか2年で850万人分の雇用が失われています。

そして2010年に急回復し、その後はさらに雇用者増加数を増やしながら現在に至っています。2008年から2014年までの前月比雇用者数の増減を合計しますと、220万人強の増加となっています。

では、雇用者数が増えているから景気は良いのでしょう?なぜ利上げしないの?とはなりません。というのは、米国では人口が増加しており、その増加分を吸収するだけの働く場所が必要だからです。

過去6年で雇用者数が増えたと言っても、2008年~2009年に失われた雇用に加えて、市場で増える労働者に見合う分だけ働く場所が増えていなければ、労働市場は回復しきっていないと言えそうです。

では、新規に市場に参入する人数は何人か?です。この人数を吸収するには、毎月10万人以上の雇用増加が必要と言われることがあります。これが正しいと仮定し、2008年~2014年に必要だった雇用増加数を計算しますと、840万人です。実際に増えた人数220万人よりも大幅に大きな数字が必要ということです。

一方、失業率は5%台まで下落しており、数字の整合性がないように見えます(米国では失業率5%は低いと見なされます)。これについては、働く場所探しをあきらめた人が多数いるのでは?という理由で説明ができそうです。

働く場所探しをやめた人の人数は、失業率の計算から除外されます。よって、彼らを含めた広義の失業率は5%よりもずっと大きいと予想可能です。

また、失業率の低さの割には賃金伸び率が低いようです。働く場所探しをあきらめた潜在的な失業者が多く、彼らが再び労働市場に参入することを考えれば、企業側は賃金を高くしなくても人を雇うことができるということで説明できそうです。

とはいえ、失業率は5%台、雇用者数は順調に増加を続けていることを考えれば、いつまでも政策金利をゼロ付近で維持するわけにもいきません。次の一手は利上げとみて良いでしょうが、焦点はいつ利上げするかになっています。

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