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スイスショック時の金利・為替レート・スワップポイント動向

2015年1月24日

2015年1月15日、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)は、ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)=1.20の政策を撤廃することを、表明しました。

この声明直後、複数のFX業者が経営破綻するなど、FX業界を大混乱に陥れました。そこで、スイスショックの状況を確認していきましょう。

スイスショックの引き金【スイス国立銀行声明文】

声明が発表されるまでは、スイス銀行は「ユーロ/スイスフラン=1.20のラインは必ず維持する」という趣旨の発言を繰り返していました。

ところが、一つの声明により、その政策は突然の終わりを迎えました。そこで、スイス国立銀行の声明文を確認しましょう。

以下は、スイス国立銀行声明の要約です(引用元:スイス国立銀行のプレスリリース

  • スイス国立銀行は、EUR/CHF=1.20の制限を撤廃する。
  • 要求払い預金のうち、規定額を超える額の金利は-0.25%だったが、これを-0.75%にする。
  • 政策金利誘導目標を、-1.25%~-0.25%とする(従来は、-0.75%~0.25%)。
  • EUR/CHF=1.20の制限は、スイスフランの過大評価と金融市場の不安定化阻止のために導入された。
  • しかし、過大評価の度合いは緩和された。
  • ユーロは米ドルに対して弱くなった。すなわち、スイスフランは米ドルに対して弱くなった。
  • よって、EUR/CHF=1.20を継続することを正当化できない。
  • スイス国立銀行は、EUR/CHF=1.20の撤廃が金融市場の不適切な引き締め状況に結びつかないよう、政策金利を引き下げる。
  • スイス国立銀行は、必要ならば外国為替市場において引き続き活動を続ける。

この撤廃を予想することは、とても困難でした。

2014年11月末日のスイス国民投票において、スイス国立銀行は金融政策維持の重要性を説いていました。

また、その2週間余り後の12月18日には、マイナス金利を含む措置を導入しました。その際、lEUR/CHF=1.20維持を改めて明示していました。

そのときから、わずか1か月しか経過していません。

ゆったり為替のEUR/CHFの買いポジションは当然のように全滅しましたが、損切り発注をしていたために資金が残りました。改めて、損切りの重要性を実感しています。

トレードチャンスを見つけられず

この暴落を確認してから、ゆったり為替がとった行動は何でしょうか。

トレードできないか、チャートを確認した。

実際には、買うことも売ることもできませんでした。スプレッドが数百pipsもあったため、トレードになりませんでした。

こんな大きなスプレッドは、見たことがありません。東日本大震災の際は、生きることが第一の目標でした。よって、相場を確認していません。当時もこれくらいだったかもしれません。

ユーロ/スイスフランのチャート

では、この時の為替レートの動きは、どうだったでしょうか。ユーロ/スイスフランの日足チャートで確認しましょう。

下は、くりっく365から日足四本値を取得し、チャートにしたものです。

スイスショック

くりっく365のデータでは、最安値は1.00を下回るくらいになっています。しかし、FX業者によっては、0.8台を記録したところもあるようです。

この差の理由ですが、インターバンク市場があまりに混乱していて、各社の配信レートに大きな乖離が出ていた可能性があります。

また、スプレッドが数百pips以上ありました。それも、チャート上の描画に影響を与えているでしょう。

なお、上のチャートは、日足です。しかし、巨大な陰線が出ている2015年1月15日は、1日かけて作られたものではありません。わずか数十分以内で作られた陰線です。

くりっく365では、2,000pipsの暴落です(FX会社によっては、3,000pipsを越える場合もあったようです)。

いかに大変な暴落だったか、良く分かります。

ゆったり為替は、スイスフランをしばしば取引します。このため、これは大事件なのですが、今まで相場で何度もひどい目に遭ってきました。

よって、今までと変わることなく、EUR/CHFの損切りを受け入れることとなりました。相場はこれからも続きますので、ゆっくり損を回復します。

スイス株式市場の様子

なお、スイス自身へのダメージがどれほどか、確認してみましょう。スイス株式市場のインデックスです。

  • 1月14日終値 :9,198くらい
  • 1月15日最安値 :7,930くらい

およそ、1,268ポイントの下落です。率にして、13.7%くらいです。

極めて大きな数字です。日本の株式市場で13.7%下落する場合を考えますと、その大きさがよく分かります。日経平均株価が2万円だとしますと、わずかな時間で17,200円くらいになるというイメージです。

いきなりの政策変更ですので、スイス国立銀行への風当たりが強くなったことでしょう。

政策金利を引き下げ

なお、スイス中央銀行は、EUR/CHF=1.20の撤廃と同時に、政策金利を大幅に引き下げました。

そこで、スイスの金利の実勢レートを確認するとともに、スワップポイントの様子も確かめてみましょう。

下のグラフは、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)からの引用です。政策金利(3か月物LIBOR)の推移を表しています。

スイス政策金利

EUR/CHF=1.20の制限を終了した時から、急落していることが分かります。マイナス圏でぐんぐん下落中です。

ということは、スイスフランを売る場合のスワップポイントは、大きくプラスになるのでは?と予想できます。

下の表は、GMOクリック証券で10,000通貨を買うときの、スワップポイント推移です。縦軸の数字は円です。

グラフで読み易くするために、付与日数が1日でない場合は1日あたりのスワップポイントに調整しています。

スイス:スワップポイント

EUR/CHF=1.20終了後に数字がジャンプしていることが分かります。スイスフランを売るポジションを持つと、獲得できるスワップポイントが大きくなるということです。

  • スイスフランを売ると、大きなスワップポイントをもらえそう
  • スイスフランを含む通貨ペアは、過去最低水準を更新して安値

この二つを考慮すれば、スワップポイント狙いで通貨を持つチャンスかもしれません。

この考えが正解なのかどうかは、将来になってから振り返れば分かります。スワップポイントが今後どのように推移するか、今後もチェックする価値がありそうです。

それでも、スイス国立銀行を信用するしかない

多くの投資家がは、スイス国立銀行の突然の政策変更で、損失を被りました。

そこで、「もうスイス国立銀行なんて信用しない!」と言ってしまいたいところですが、残念ながらそれは難しいでしょう。

スイス国立銀行の政策変更により、以下の構図を予想できます。

  • 損した人 :スイス国立銀行を信用していた人々
  • 得した人 :スイス国立銀行の行動に懐疑的だった人々

素直な人々が損してしまったという、あまり良くない状況だと思います。

最大限の決意(utmost determination)でユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)=1.20を守るというスイス国立銀行の発表は、何だったんだ?ということです。

そこで、もうスイス国立銀行の情報を無視したり、「また同じことがあるんじゃないか?」と懐疑的になったりするのは正しいでしょうか。

多くの場合、恐らく正しくないと思います。

スイスフランをどのように扱うか。それはスイス国立銀行が決めます。

通貨の発行高や政策金利の設定など、トレード期間が長期になればなるほど、これらの情報を無視することができません。

そして、これらの情報を提供してくれるのはスイス国立銀行です。「次の一手は何か?」を考えるには、スイス国立銀行の発表を参考にせざるを得ません。

このため、短期トレードはともかく長期の場合は、これからもスイス国立銀行の情報を正しいものとして考えることになるでしょう。

とはいえ、スイス国立銀行は正直でない、何をするかわからない、という不信感を世界中に広めたことでしょう。

これはスイスだけでなく、他の先進諸国の中央銀行にもダメージとなったと思います。「他の先進諸国が同じことをしてもおかしくない」という印象を、世界中に与えた可能性があるかもしれません。

すると、日銀の国債大量購入が突然終わる可能性は?などと、日銀にとって面白くないことを考えて行動する人が増えないとも限りません。

日銀を疑う人が多くなると、日銀の政策は成功しないかもしれません。

スイスショック後の政策金利発表

2015年3月、スイスがいきなり政策を変更してから、最初の政策金利発表を迎えました。

政策金利(LIBOR3か月物)は据え置きとなりましたが、その後の声明に注目です。スイス国立銀行は金利やスイス経済をどのように評価しているのでしょうか。

政策金利:-1.25%~-0.25%(変化なし)

声明の概要は以下の通りです。(引用元:スイス国立銀行

・スイスフランは極めて過大に評価されており、弱くなるべきだ
・スイス国立銀行は為替市場での活発な活動を継続する
・2014年12月の見通しに比べ、消費者物価指数上昇率見込を以下の通り修正する

(修正前)
2015年 -0.1%
2016年 +0.3%

(修正後)
2015年 -1.1%(1.0%下方修正)
2016年 -0.8%(0.5%下方修正)

・2014年12月の見通しに比べて、実質経済成長率を以下のとおり修正する

(修正前) 2%
(修正後) 1%未満

政策変更により、CPI上昇率及び経済成長率を下方修正しました。CPIは2014年末から再びマイナス圏にあり、プラス圏に復帰するのは2017年と見込まれています。

2012年~2013年もマイナス圏だったことを考慮すれば、スイスはデフレに陥っているという理解で良いでしょう。

為替レートをEUR/CHF=1.20以上に維持できなかったことを受けて、経済成長率も下方修正しました。失業率もいくらか上昇すると見込んでいます。

なお、2015年1月のEUR/CHF=1.20撤廃後に大きくスイスフラン高になった後、不自然にスイスフランが安くなることが複数回ありました。

市場では、スイス国立銀行の介入なのでは?と噂されていたようです。

声明でも、「スイス国立銀行は為替市場での活発な活動を継続する」とありますので、スイス国立銀行が市場介入をしていたという理解で良いと考えます。

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