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AUD(豪ドル)

豪州の政策金利発表:TWIを頭に入れつつ読んだ方が良い

2017年5月27日

豪州の政策金利が発表される際、豪州準備銀行の声明も公開されます。米国などでも同様ですが、この声明が極めて重要ですので、読んでおきたいです。

そして、豪州の声明を読む場合は、TWIの推移を頭に入れておくと理解しやすいです。

TWIとは

TWIは「Trade Weighted Index」の略です。TWIとは、豪ドルの強さを把握するための指数です。

このTWIの推移は、豪州準備銀行ホームページで公開されています。それをグラフ化したものは、下の通りです。1970年を100として指数化しています。

TWIの推移

このグラフを見ますと、最も低い数字が50弱、最高でも80弱です。

1970年を100として指数化した数字ですから、1970年当時の豪ドルがいかに強かったかが分かります(数字が大きいほど豪ドル高です)。

また、2008年から2009年にかけての例外があるものの、2001年から2013年にかけて豪ドルが強くなり続けたことも分かります。

リーマンショック(2008年)後の大変な時期に、豪ドルが上昇を続けました。政策運営は大変だったかもしれません。

豪州準備銀行の声明

さて、豪州でも、定期的に政策金利を見直して発表しています。そして、その根拠や今後の見通しについても公開しています。

その文章の中には、為替レートについての言及もあります。2017年5月の声明を見ますと、為替レートについてこんな文があります。

The depreciation of the exchange rate since 2013 has also assisted the economy in its transition following the mining investment boom. An appreciating exchange rate would complicate this adjustment.

この文章の趣旨は、こんな感じです。

「2013年以降の為替レート下落は、鉱業投資ブーム後の過渡期の経済を支えてきた。一方、為替レートの高騰はこの調整を難しくしている。」

これを、TWIのグラフで確認しましょう。下のグラフです。

TWIの推移

2013年以降の豪ドルの下落という部分は、赤の実線部分です。そして、為替レートの上昇で調整が難しくなると言っているのは、その後ろの破線部分です。

声明とTWIは、完全に一致しています。

このグラフを知っておくだけで、豪州準備銀行が「豪ドルが高い!」と不満をいうとき、なぜそう言えるのか?の理由が分かります。

これを知っておくだけで、かなり理解しやすくなります。

オーストラリアと中国の結びつき

ここで、少し話を変えてみます。オーストラリアと中国の関係です。ここでも、TWIが活躍します。

相場を見ていると、中国の経済指標結果を受けて豪ドルが上下動することが珍しくありません。なぜ、中国の経済指標でで豪ドルが上下動するのでしょうか。

これを確認するために、オーストラリアと中国の結びつきがどれくらい強いのかを確認しましょう。

2か国間の経済的な結びつきを調べる場合、貿易統計を見ると分かりやすいかもしれません。貿易統計を見れば、中国からオーストラリアに何をいくら輸出したのか?という数字を見ることができます。

しかし、中国が発表する統計をそのまま受け入れることは、残念ながらできません。作られた数字だという疑念が常に付きまといます。

また、貿易統計などの数字を調べて分析するのは大変です。そこで、TWIを使って調べます。

TWIの数字の作り方

ここで、TWI(trade weighted index)の作り方を確認しましょう。

このTWIですが、豪州準備銀行が作ります。オーストラリアは多くの国と付き合いがありますので、その国の数だけ為替レートがあります。

すると、為替レートがたくさんありますので、今の豪ドルは強いのか弱いのかさっぱりわかりません。さっぱり分からなければ、政策を考えるのが困難になります。

そこで、各国との貿易量等を反映して、数多くの為替レートを一つの数字にまとめました。これが、TWIです。

例えば、オーストラリアとの貿易量等について、以下の関係があったとしましょう。

  • 対A国:豪州の貿易全体の30%
  • 対B国:20%
  • 対C国:20%
  • その他:30%

この場合、オーストラリアとA国の間の為替レートの重要度を、30%とします。同様に、B国との間の為替レートの重要度は、20%です。このような感じで数字を合成して、TWIを作ります。

ということは、TWIに占める各国の重要度を見れば、オーストラリアとその国の経済的結びつきの強さが分かります。

TWIの国別内訳の推移

下のグラフは、TWIに占める各国の重要度の推移です。

上位3か国のみの表示です。数字が大きいほど、貿易が緊密で、豪州経済に与える影響度が大きいことを示します。

twi

これを見ると、中国がほぼ一直線に右肩上がりだと分かります。

2000年ごろ、中国の重要度は日米の半分もありませんでした。ところが、中国の重要度はうなぎ登りになり、2位、3位を占める日米を足した数字よりも大きくなりました。

上のグラフから予想できますとおり、豪州の主要輸出先は中国です。

すなわち、「中国がくしゃみをすると豪州は風邪をひく」「中国が風邪をひくと、豪州は肺炎になる」という、大袈裟な表現も可能かもしれません。

よって、中国の経済指標ニュースは豪ドルの上下動要因となります。この傾向は今後も続くでしょうか。注目したいです。

なお、日本の影響度は下落しつづけています。

日本の総人口は、毎年数十万人減少しています。その分だけ直接的に需要が減りますから、上下動を繰り返しつつも、長期的には下落トレンドが続くかもしれません。

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