FXの基本注文の一つに、指値注文(さしねちゅうもん)があります。短期トレードから長期トレードまで、幅広く活躍する注文方法です。
そこで、指値注文の意味から、トレードでどれだけ活躍しているかまで、広く確認しましょう。
指値注文とは
指値注文とは、現在値よりも有利な価格で買えるよう、あらかじめ発注しておく方法です。チャートを見ながら、具体的に確認しましょう。
下のチャートは、マネースクエアから引用しています。
買い注文の場合
下は、米ドル円の日足です。チャートの右半分では、円安で推移しています。しかし、全体としては伸び悩んでいるようにも見えます。
分かりやすいように線を引いたのが、下のチャートです。
赤の横線まで為替レートが来ると、なぜか反落するという動きに見えます。そこで、チャート右側の青線の通り、いったん下落して再度上昇を予想したとします。
この場合に、赤丸で買うという注文を、「あらかじめ」出しておきます(下のチャート)。
現在値よりも、円高の位置です。すなわち、現在値よりも安値で買うという注文です。
あらかじめ出す注文ですから、発注後は取引システムからログアウトしても大丈夫です。為替レートが発注レートになったら、自動で買ってくれます。
指値注文があると、取引画面をずっと眺め続ける必要はありません。とても便利な注文方法です。
売り注文の場合
売り注文の場合は、買い注文の逆です。買いの場合と同様に確認しましょう。
下のチャートは、ユーロ米ドルの日足です。右端部分では上昇に見えますが、全体としては、やや下落基調に見えます。
そこで、どこかで売りたいと考えました。どこで売りましょうか。
仮に、下の通り線を引きました。赤線あたりまでは上昇するけれど、そこからは青線の通り下落するのでは?という予想です。
この場合、今すぐに売るのは、得策でありません。もう少し上昇してから売るのが有利です。
そこで、下のチャートの赤丸の位置で売るという注文を、あらかじめ出しておきます。
その後、期待通りに為替レートが上昇すれば、注文を出した為替レートで売ることができます。
買い注文の場合と同様に、指値注文を出した後はログアウトしても大丈夫です。FX業者のシステムが自動で売買してくれます。
決済注文の場合も同様
上の解説は、取引をこれから始める場合について書いています。
既にポジションを持っていて、これから決済注文をするという場合でも、指値注文を使えます。先ほどのチャートを使って確認しましょう。
「買い注文」とある部分で、期待通り買えました。その後、為替レートが上昇すると予想しています。
そこで、為替レートが期待する位置まで上昇したら、利食い決済します。この注文を、あらかじめ出します。指値注文です。
指値注文を出した後は、先ほどと同様、取引システムからログアウトしても大丈夫です。FX業者のシステムが、自動で決済してくれます。
成行注文よりも、指値注文の方が良い?
FXで取引を始める際、成行注文・指値注文・逆指値注文のいずれかが多いでしょう。この3つが基本の注文方法だからです。
では、成行注文を多用する顧客と、指値注文を多用する顧客の間で、損益の成績に差はあるでしょうか。
この点について、マネースクエア(M2J)が資料を公開していました。『私がトラリピに恋する理由』です(今はもう公開されていません)。
その資料から、一部を抜粋します。
利益を出している投資家のパターンに決まったものが存在しないことに比べ、損をする投資家にはあるパターンが存在します。特筆すべきは以下の 4 点です。
・ログイン時間が長い
・成行注文が多い
・取引ごとに注文量がまちまち
・指値の修正や取消が多い
以上の傾向は、M2Jが顧客の取引データ(8年分)を分析した結果です。8年間というのは、大変な長さです。
あらゆる相場状況を含んでいるでしょうから、「たまたま」変な結果が出たということはなさそうです。すなわち、信頼度が大変高いです。
成行注文が多いと損だということは、指値注文が多い方が良いということになります。
指値・成行を含めて、ここで注目できる大きな点は2つだと思います。
利益のパターンに決まった形がない
これが、最も重要でしょう。
唯一絶対の解を求めてバックテストを繰り広げるのは、得策でないかもしれません。
世の中では、数多くのFXトレード手法が紹介されていたり販売されたりしています。詐欺的なものでなければ、どれも正解の方法かもしれません。
問題は、それが自分に適した方法かどうか?です。
ゆったり為替の場合、インジケーターでパズルのようになっているチャートを使おうと思っても、とても難しいです。それが有効なトレード手法であっても、です。
また、スキャルピングだと、優秀な方法であっても使いこなせません。性格が合わないのです。
- 性格
- 資金力
- リスクに対する考え方
- 取引できる時間
- 好きな手法 など
トレードする人によって、大きく異なります。このため、利益を出している投資家に決まったパターンがないというのは、納得できる情報でしょう。
ということは、最高の手法を求めるのではなく、自分に合った手法を求めるのが、成功への近道かもしれません。
損をする投資家のパターン
負ける人のパターンが4つ紹介されています。ただし、「多い」「長い」といった表現は相対的なものですから、どれくらいになると負けるかが良く分かりません。
FXで勝てないという場合、上の4パターンに当てはまっているかどうかを振り返るのは良いことかもしれません。
なお、ゆったり為替のトレードはどうか?と言いますと、以下の通りです。
ログイン時間
ゆったり為替の場合、トレードは中長期です。よって、ログイン時間は短いです。しかし、スキャルピングに挑戦していたころは、1日12時間というのも珍しくありませんでした。
よって、どんなトレード手法を主に使っているか?という視点も必要でしょう。
マネースクエアの場合、主力商品はトラリピです。マネースクエアでスキャルピングをするとは考えづらいので、中長期の顧客が多いと予想できます。
この場合、ログイン時間が長いというのは、良くない傾向かもしれません。
中長期トレードの場合、発注してから放置する時間が長くなります。その時間にもログインしていると、「つい」指値注文を変更したり、予定になかった行動をしたりしそうです。
これは、負けてしまうパターンだと言えそうです。
成行注文
ゆったり為替の場合、取引開始は、ほぼ全て成行注文です。指値注文はほとんど使いません。
と言いますのは、週足や月足を使ってトレードする場合、少々の値動きは誤差の範囲だとみなせます。そこで、売買すべきだというタイミングになるのを待って、取引します。
取引開始が少々遅れても、問題になりません。すなわち、成行注文で十分です。
日足を使う場合も、週足を基準にして考えています。このため、成行で十分です。
逆に、決済の場合は、指値・逆指値が多くなります。「これ以上ポジションを持ち続けると良くない」と思う時は、成行注文で決済します。
取引ごとの注文量
ゆったり為替の場合、取引ごとに注文量はまちまちです。と言いますのは、取引量はトレードの基準になっていないからです。
基準になっているのは、「損失になる場合、いくら損するか」です。
損切りの額を、毎回1万円にしたいと考えたとしましょう。取引開始位置から損切りレートまで100銭あるなら、取引数量は1万通貨です。
損切りまで50銭の距離しかない場合、取引数量は2万通貨です。
いずれの場合も、損切りになる場合の金額は同じです。しかし、取引数量はバラバラです。
その場の気分で取引数量を変えるのでなく、何かの基準に基づいて取引数量を変える場合には、特に問題はないだろうと思います。
指値の変更
ゆったり為替の場合、頻繁ではありませんが、指値を変更する場合があります。以下の場合です。
- 指値のレートを間違えていて、修正する場合
- 取引開始後の値動きを反映して、指値を変更
指値注文を間違えていたというのは、本来はあってはならないことです。しかし、時々やってしまいます。
間違いに気付いたら、もちろん修正します。
また、取引開始後の値動きの状況によっても、指値注文を変更することがあります。逆指値注文を変更する方が多いです。いわゆるトレールをする場合です。
というわけで、上の4パターンになると必ず負ける、というわけではないでしょう。負ける人の共通点だというだけです。合理的な根拠のある行動でしたら、問題ないだろうと思います。
よって、「成行=負ける」「指値=勝つ」という図式でなく、自分にふさわしいトレード手法のルールに基づいて、行動すれば良いでしょう。
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