最近は話題に上ることがあまりないように思いますが、以前は「FX業者によるストップ狩り」が噂されていました。これは今でもあるでしょうか。
また、大口トレーダーによる、個人投資家のストップ狩りはあるでしょうか。それぞれ検証しましょう。
FX業者によるストップ狩りとは
下の図で考えます。青の曲線は、為替レートの動きです。
今、左上の赤丸部分で買いました。損切りの逆指値注文を、オレンジの破線部分に設定しました。
買った後、少し上昇したと思いきや、下落してしまいました。「あーあ、ダメか」と思ったものの、チャートを見るとギリギリセーフです。
「助かったあ!」と思って口座を確認すると、なぜか損切りが成立している…これが、FX業者によるストップ狩りの例です。
この種のストップ狩りは発生するのでしょうか。可能性としてはありますし、ゆったり為替もストップ狩り(のように見える状況)に遭ったことがあります。
ただし、このストップ狩りが意図的なものかどうかは不明です。たとえば、以下のような場合です。
可能性1
あるいは、こんな可能性もあるでしょう。
可能性2
ゆったり為替が遭遇したストップ狩りのときには、bidとaskの差についても確認しました。
損切りレートとチャートの表示に差があって、セーフのはずなのに…というわけで、可能性1が発生したのかもしれません。
ゆったり為替としては、どんな原因だろうと、ストップ狩りには違いありません。不愉快だった記憶があります。
スプレッドが広がってストップ狩りになる例1
ゆったり為替は、2019年に入ってからしばらく、スキャルピングの訓練をしていました。
複数の口座で取引したのですが、「FX業者はストップ狩りを意図していないだろうけれど、結果としてストップ狩りのようになっている」例に遭遇しました。
例えば、米ドル円の通常スプレッドは0.3銭です(当時)。ユーロ円や豪ドル円などでも、きわめて狭いスプレッドです。
そして、スキャルピングなので、10銭~20銭程度の値動きでも、瞬間的に発生するとチャート上では大きく動いたように見えます。
その瞬間的な動きの際に、スプレッドがいきなり広がることがあります。どれくらい広がるのか、目で追うことはなかなか難しいです(チャートを見ていますので)。
そして、約定記録を見ると、損切りになっていないはずなのに損切りになっていることがありました。1回でなく、複数回です。
大波乱時でなくても、スプレッドは広がる
このスプレッドの広がりは、大きな経済指標が出た瞬間というわけではありません。何らかの理由で、いきなり相場が動いた時の話です。
瞬間的に大きな動きが起きれば、FX業者は狭いスプレッドを維持するのが難しくなります。短時間でしょうが、スプレッドを広げます。
この時に、やられてしまったのです。
これは意図したストップ狩りなのか、通常のスプレッド提示でたまたま起きてしまったことなのか、ユーザーからは判定できません。
しかし、こういうパターンに複数回遭ってしまうと、そのFX業者で取引しようという気はなくなってしまいます。
スプレッドが広がってストップ狩りになる例2
もう一つ、知り合いの例ですが、こんなことがありました。
マイナー通貨ペアで、IFO注文を出していました。すなわち、逆指値で新規買い注文を出すとともに、利食いと損切りの決済注文を同時に発注していました。
あるとき、経済指標等の発表などない時間帯に、いきなりスプレッドが巨大化しました。
その結果、何が起こったか?です。
スプレッドが巨大化したため、新規買い注文が約定すると同時に、決済の損切り注文も約定してしまい、速攻で損失が確定しました。
ちなみに、買い注文と損切り注文の間には、50pipsの差があったそうです。
知り合いは、腹が立って仕方ないそうで、そのFX業者で二度と取引しないと公言しています(気持ちは分かります)。
マイナー通貨ペアは流動性が小さいので、このスプレッド巨大化が怖いです。
ストップ狩りをすると、FX業者は儲かる
では、仮の話として、FX業者がストップ狩りをしているとしましょう。なぜ、ストップ狩りをするのでしょうか。
それは、FX業者が儲かるからです。例で考えると、分かりやすいです。
ある個人投資家が、米ドル円の買いポジションを持っているとします。そして、100.00円で損切り注文を出しているとします。
この状況で、為替レートが円高に動きました。正直に為替レートを表示するなら、100.01円まで円高になったとします。ここで、ストップ狩り作戦開始です。
本来なら100.01円が正直だというのは、自分(FX業者)以外誰も知りません。そこで、スプレッドを少し広げます。100.00円まで下がったことにするのです。
すると、個人投資家の買いポジションは損切りになります。
FX業者から見れば、個人投資家は本来よりも安いレートで売って決済しています。すなわち、FX業者は、本来よりも安い価格で顧客から買っています。
そこで、インターバンク市場に本来の高い価格で売れば、差額を稼ぐことができます。
(こういったことが行われているかどうか、それは分かりません。よって、この話も、想像の域を出ません。)
紙一重で生き残ったポジション
その一方、「あと少しでも動いたら損切りだ―!」という状況で生き残り、その後復活したという例もあります。
記憶では、損切りまで0.1~0.3pipsくらい?だったと思います。
この場合、FX業者はストップ狩りをしていないことは明らかです。このような経験をすると、そのFX業者の信頼感は大きく上昇します。
というわけで、ゆったり為替はセントラル短資FXを使っています。
ほぼ長期運用口座ですので、損切り注文を出すことは稀です。しかし、長期間資金を預けることを考えると、信頼できる業者でなければなりません。
ゆったり為替のセントラル短資FXに対する信頼度は、元々高かったのですが、「0.1~0.3pipsくらい(?)でも生き残った事件」を契機にして、さらに強固になっています。
大口トレーダーによるストップ狩り
以上、FX業者によるストップ狩りを考察しました。次は、トレーダーによるものを見てみましょう。
ただし、トレーダーが実際にストップ狩りをしているのかどうか、それは分かりません。といいますのは、FXの場合、誰が何をどれだけ取引しているのか、全く分からないからです。
よって、噂や予想になります。
ストップ狩りが成立する条件
トレーダーによるストップ狩りが成立するには、以下の要素が必要です。
- ストップ狩りをする人:巨大な資金を動かせる
- ストップ狩りで損する人:多くは一般個人投資家
一般個人投資家が、あまり高くない流動性の中で買い進んでいくとしましょう。
このとき、大きな資金力を持っているトレーダーが一気に売り浴びせることで、個人投資家を一網打尽にできる、という流れです。
このパターンでないだろうか?と予想できる例は、日本時間夕刻の米ドル円で見られます。下は10分足チャートです(セントラル短資FXから引用)。
下のチャートで確認しましょう。
平日の朝から夕刻(上の場合は16時)にかけて、ジワジワと円安になっています。数字の1です。
そして、数字2の部分で、円安方向に跳ねました(上ヒゲが出ています)。
このあたりから、欧州勢が相場に参加しだします。一気に米ドル円の売りを浴びせます。日本時間にジワジワと円安方向になっていたのですが、一気の円高です。
日本時間の日中に買っていた個人投資家は、ことごとく損切り注文が約定します。すなわち、ストップ狩りです。
ストップ狩りを利用してトレード
上の説明が正確かどうか、確かめる手段はありません。
しかし、日中にジワジワと円安になり(あるいは、レンジで推移して)、夕刻にさらに円安傾向が強くなったかな?と思いきや、一気に円高になるというのは、夕刻以降の値動きのパターンの1つです。
この値動きパターンを知っておくと、夕刻にピョンとはねた時に「一気に円安に来た!」と思って買って損切り…というミスをなくせます。
円安にはねた時に「夕刻に円安にはねたということは、円高警戒か?」と考えることができるだけでも、損失になる確率を減らせます。
また、警戒通りに円高になれば、米ドル円を売って利食いすることも可能でしょう。