以前のことですが、「ゆったり為替の仕事はバックテストです!」と言えるくらいに、バックテストに没頭していました。
そこで、バックテストについて、そのメリットなどを一気に確認しましょう。
バックテストとは
バックテストとは、為替や株価の推移データ(ヒストリカルデータ)を使って、値動きの特徴を探すことです。
また、ある特定のトレード手法を使って取引していたら、成績はプラスだったかマイナスだったかを調べることもバックテストと言います。
「これいいかも!」と思いついたトレード手法などが、過去に通用したかどうかを調べられます。
バックテストしないで取引すると
では、バックテストしないでトレードする場合、どんなことが起きるか想像してみましょう。
チャート分析を使う場合
インターネットを検索すると、数多くのチャート分析手法が出てきます。しかし、それらは「教科書的な内容」が書いてあります。
すなわち、そのチャート手法が通用する場面を中心に書いてあり、全然ダメな場面というのは、あまりないでしょう。
また、どこで取引を開始し、どこで決済するかというところまで詳しく書いてない場合が多数でしょう。あらゆる状況を想定して書くのは無理な話です。
すると、インターネット上では有効そうに見える手法なのに、実際にトレードしてみるとダメだったという例が多数出てきます。
トレードで勝てるようになるのに、時間がかかると予想できます。
ニュースを元にトレードする場合
為替のニュースはひっきりなしにやってきます。それを見ながらトレードするという方法です。経済指標発表を狙ったトレードも、これに含めることが可能でしょう。
問題があるとすれば、ニュースを読んだ時にはもう遅いかもしれないということです。
機関投資家だったら、人の目でニュースを読んでからトレードしていない可能性があります。AIを駆使して、1,000分の1秒の勝負です。
情報を入手すると同時にプログラム通りに取引が進みます。この場合、個人投資家では全く太刀打ちできない可能性があります。
「専門家」の予想を聞く場合
はたして、その「専門家」の意見は信用できるでしょうか。
彼らは、相場に自己資金を投入しているでしょうか。彼らは単なる情報屋で、皆さんにトレードさせようとしているだけかもしれません。
また、その専門家の予想通りにトレードして負けた場合、損失を補てんしてくれるでしょうか。ゆったり為替は、「専門家」の予想は一切見ません。
バックテストのデメリットとは
では、バックテストすれば良いのでしょうか。一概にそうとも言えません。以下の理由があるからです。
バックテストは、過去のデータ分析にすぎない
いくらバックテストをしたところで、それは過去のデータ分析にすぎません。すなわち、将来もそうなるとは限りません。
しかし、過去は現在につながり、そして現在は将来につながっていきます。
このため、バックテストが全く無意味だということはないでしょう。将来、再現性が高いと期待できるようなバックテストをします。
スリッページやスプレッドの拡大が十分に考慮されない
これは注意が必要です。バックテストの場合、米雇用統計発表時の値動きでも完璧に約定します。0.1銭のスリッページもありません。
しかし、現実にはスリッページはあるでしょうし、スプレッドも広がるでしょう。
このため、特にデイトレードやスキャルピングのバックテストにおいては、注意が必要でしょう。
FX業者ごとに為替レートが少し異なる
これも、デイトレードなどでは注意が必要でしょう。株式相場と異なり、FXでは業者ごとに少しずつ為替レートが異なるのが厄介です。
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以上のデメリットがありますが、ゆったり為替にとって、2つ目と3つ目のデメリットは無視できます。
というのは、短くても日足でトレードしますし、最近は週足~月足のトレードが多いためです。月足だったら、100銭程度は誤差として処理可能です。
よって、「過去の分析」に過ぎないバックテストを、いかに「将来のトレード」に結び付けていくかが勝負となります。
バックテスト結果を元にトレードする方法
バックテストは過去分析にすぎないので、将来にも当てはまるか不明です。かといって、バックテストなしのトレードはリスクが高くなるように思います。
では、どうすればいいの?という話になります。バックテストで良いトレード手法が見つかったとしましょう。
教科書的に書きますと…デモトレードでそのトレード手法を使います。このように、資金を投入しないで確認トレードすることを「フォワードテスト」と言います。
フォワードテストでも期待通りの成績が出たら、資金を投入して実際にトレードします。
しかし、ゆったり為替はこのステップを踏んでいません。面倒くさいからです。最初から資金を投入してトレードしています。ただし、極めて小さな数量です。
負けた時のダメージが嫌だからです。
小さな数量で取引して、いい感じだなと思えば、徐々に取引数量を増やしていきます。
バックテストの方法
バックテストについて検討してきました。最後に、バックテストの方法について確認しましょう。
チャートを目で見て確認
おそらく、これが最も基本的な方法だろうと思います。チャートを目で追って、あるトレード手法を使った時にどうなったか?といったことを確認します。
この方法は、日足や週足などでは有効と思います。しかし、1分足や5分足では難しいかもしれません。というのは、目視で5分足チャートを過去1年分検証するのは、大変です。
よって、チャートを目で見る方法は、スイングトレードからポジショントレードあたりで使うことになるでしょう。
MT4
おそらく、MT4は最強ツールと言えるでしょう。最強であるがゆえに、インジケーターやEAを自由に使うには高レベルの技術が必要です。
ゆったり為替自身は、build600問題を境にEAから遠ざかっています。稀にやってくる大きなバージョンアップが厄介だと感じます。
FX業者のツールを使う
これはかなり有効だと思います。無料で使えるうえに、そのFX業者のヒストリカルデータを使ってバックテストできるのが強みです。
無料なのに高性能で、しかも使い方が難しくない代表格と言えそうなのは、マネーパートナーズのHyperSpeed NEXTです。
エクセルを使う
ゆったり為替は、主にエクセルを使ってバックテストしていました。
移動平均線やMACDなど、インジケーターを使うバックテストはマネーパートナーズが有効と思います。それ以外の場合で、エクセルを使っていました。
エクセルでバックテストするメリット
では、ゆったり為替がエクセルを中心にバックテストしてきた理由は何でしょうか。
簡単である
エクセルは、一般ユーザーに向けて開発されたソフトです。パソコンを買うと、標準搭載されているくらいです。ということは、扱いが難しくないということです。これはとても重要です。
MT4でEAを自由自在に扱おうと思えば、MQL4の習得が必要です。しかし、MQL4は一般向きではありません。勉強がかなり大変です。
例えば、足し算の合計を出すのに「=」という記号を使いたいところですが、EAで「=」を使うと、違う意味になってしまいます。
エクセルはデスクワークで使う人も多いでしょうし、この簡単さが大きなメリットです。
エクセルが得意とするバックテスト
おそらくですが、エクセルはインジケーターを使うバックテストは得意分野でないと思います。MACDのバックテストをしたい場合は、マネーパートナーズのHyperSpeed NEXTを使ったほうが簡単でしょう。
しかし、エクセルの方が得意だというバックテストは数多くあります。
例えば、曜日ごとに円安になる確率は異なるだろうか?という調査をしたい場合、インジケーターでは確認できません。エクセル関数なら簡単です。
あるいは、3日連続で陽線になったら、翌日はどうなるだろう?といったバックテストも、エクセルなら得意です。
月曜日の窓のバックテストなども、エクセルは大得意です。ゆったり為替は、エクセルが得意とするバックテストをひたすら繰り返してきました。
バックテストをすれば、有効なトレード手法が見つかるか
ここで、ふと疑問が出てくるかもしれません。「バックテストをすれば、有効なトレード手法が見つかるか」です。
ゆったり為替の経験ですと、100回バックテストすれば、1つくらいは見つかるかなと思います。
有効かも?という候補は5つくらい見つかるかなあ、という印象です。さらに精査するとダメだったというパターンが多いですが。一時的に成績が良くても、長期的に有効というパターンはなかなか見つかりません。
10年以上に渡って有効なパターンを見つけるのは大変です。しかし、一見すると無駄に終わってしまったバックテストであっても、極めて重要です。
というのは、インターネット上の噂が本物かウソかを見分ける能力が身につくからです。
バックテストを実行すればするほど、このあたりの勘が冴えてくるように思います。インターネット上の話題に振り回されることなく、自分をしっかりと保つのに役立つでしょう。
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2019年8月12日追記: エクセルファイルをバージョンアップしました! バックテストの重要性に気づいている皆様は、大勢いらっしゃると思います。 しかし、バックテストの方法が分からないという壁にぶつか ...
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