052159-2日本の景気回復は継続していますが、それを実感できない場合が多いと思います。むしろ、生活は厳しくなっているかもしれません。

その様子を、データで確認しましょう。

所得分布を比較

下のグラフは、1994年と2015年の1世帯当たりの所得分布を示したものです(厚生労働省から引用)。縦軸は、全体に占める割合です。例えば、オレンジ線の2015年で見ますと、所得が200万円~300万円にある世帯の比率が最も大きいです(13.7%)。

income

オレンジ線は2015年、そして青線は1994年です。比較すると、2015年の特徴として、以下の様子が分かります。

・所得が400万円未満の割合が大きく増えている。
・所得が500万円以上の割合が減っている。

要するに、「日本の世帯全体が貧乏になっている」様子が分かります。

専業主婦世帯と共働き世帯

そして、下のグラフは、専業主婦世帯と共働き世帯の比較です(厚生労働省から引用)。「男性雇用者と無業の妻」という組み合わせの世帯は減る一方で、「雇用者の共働き世帯」が増えている様子が分かります。

housewife
世帯という場合、一人世帯もあります。よって、上の2枚のグラフだけで判断するのは大雑把すぎますが、「1世帯で働いている人数は増えているが、世帯の所得は減っている」という様子が何となく見えてきます。

なお、一人世帯は数が増えています。ただ今、30%台です。今後、さらに割合が高まると予想できます。すなわち、世帯別の所得の大きさは減っていく可能性があるでしょう。

「所得」の意味

ここで、「所得」の意味を確認しましょう。所得とは、「自分が得た収入から必要経費を控除した額」です。税金等を引く前の数字です。

税金や社会保険料は増加傾向にあります。そして、上のグラフで分かりますとおり、所得は減っています。すなわち、自由に使える手取りの所得は、上のグラフよりもさらに減っていると予想できます。

税率の推移

次に、税率の変化を確認しましょう。国税庁からの引用です。下の表は、2007年から2014年までの所得税率一覧です。

income-tax-2007-2014

そして、下は、2015年以降です。新たに「4,000万円超」の区分が追加され、税率が高くなっていることが分かります。

income-tax-2015

一般的には、「所得が多い人から税金をたくさん取ればいいんだ」という感覚でしょう。しかし、個人で多額を稼いでいる場合、税金は以下の通りになります。

所得税:45%
住民税:10%
個人事業税:5%

合計で60%です。所得が1億円ある場合、税金で6,000万円です。4,000万円残るからいいじゃないか!と言いたくなるところですが、支払う側から見たら、苦痛でしかありません。

海外でもビジネス可能な分野で稼いでいる有能な人は、海外に逃げるでしょう。日本よりも圧倒的に税金を安くできるからです。そして、優秀な人が海外に逃げると、彼らが作り出していた「働く場所」「イノベーション」も、同時に海外に逃げてしまうことになります。

「稼いでいる人から税金を取ればいいじゃないか」が、実は働く場所の減少やイノベーションの不発(海外では発展が進むので、日本は置いていかれる)という現象を通じて、私たちを苦しめる結果になりかねません。

年金保険料及び年金額の推移

次に、年金保険料と、受け取る年金額の推移を確認しましょう。年金には、大きく分けて国民年金と厚生年金がありますので、別々に考察します。データは、日本年金機構厚生労働省からの引用です。

国民年金

下は、国民年金保険料の推移です。順調に(?)高くなっていることが分かります。縦軸の単位は円です。毎月この金額を支払うのですから、とても大変です。

pension-1

一方、下のグラフは、実際に受け取る年金額の推移(年額)です。2000年まではグイっと上昇しましたが、そこからはジワジワと減少している様子が分かります。

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年金保険料は、ササーっと上昇。一方、受け取る額は減少。支払い額に比べて受け取る額が断然大きいとはいえ、少々厳しい・・・。受け取る額の方が大きいと言っても、それは税金で補てんしているから金額が大きいのであって、得しているのか?と言われると、さて、どうでしょう。

厚生年金

次に、厚生年金の様子を確認しましょう。下は、厚生年金の保険料率です。2000年代初めに一気に下落しましたが、その後、再び上昇している様子が分かります。

employee-pension-1

そして下は、厚生年金(+国民年金)でもらった額の推移です(年額)。こちらも2000年以降、下落している様子が分かります。

employee-pension-2

なぜ、こんなに厳しいのか?

日本の景気回復が続いていると言っても、上のデータを見れば、それを実感できないのは当然だと言えるかもしれません。では、なぜこんな状況なのでしょうか。答えは簡単でしょう。人口ピラミッドの形です。

下は、国立社会保障・人口問題研究所からの引用です。2015年時点の人口ピラミッドです。

population-2015

「ピラミッド」という名前なのに、形は「壺」のような感じです。すなわち、若い人が少なく、高齢者が多いという意味です。

人口全体のうち、働けなくなる人(高齢者)の割合が増え、働く人(生産年齢人口)の割合が減ります。すると、現役世代にしわ寄せが行くのは自然なことです。

下のグラフは、2040年の人口ピラミッド予想図です。

population-2040

現在の年金保険料と年金受取額を、2040年になっても継続できるか?と問われれば、「できなさそう」というのが、率直な感想です。「いや!維持するんだ!」という場合、2040年時点の現役世代に対して、今(2018年)よりも多くのお金を払いなさい!と言うことを意味します。

上のグラフで見てきました通り、今でも支払いはキツイです。さらに払わせるのは・・・ねえ。

では、どうする

ここで、「政治が悪い」「社会が悪い」というのは簡単です。誰かに責任を押し付ければ、楽です。しかし、誰かに責任を押し付けても、私たちの生活が改善するわけではありません。

そこで、どうするか?です。

収入の観点から見て、今の生活にどこか苦しい部分があるならば、今のままジッとしていても、改善の見込みは薄そうです。上のグラフから判断する限りは、そう言えそうです。そこで、どうするか?です。

プログラミングの技術があるならば、仮想通貨は良い分野だと予想できます。国境を飛び越えて活動可能ですし、まだ発展途上ですから、今から頑張れば一気に上昇気流に乗ることが可能のように見えます(トレードで稼ぐという意味ではありません)。

あるいは、他人にマネできない何かがあれば、それを突き詰めるのも良いかもしれません。インターネット時代においては、その能力を必要としている人を見つけるのは日を追うごとに容易になっています。

何もない場合、どうしましょう。・・・「何もない」そんなことが本当にあるかどうか。何かあるはずなので、自分をゆっくりと見つめ直す機会にできそう。